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母ちゃんとオレ
7話
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それからしばらくして
オレはユウトくんに呼び出された
場所はいつものサイゼだったけど
ユウトくんは家の車を借りてきてて
車で出かけた
着いたらそこは、個人経営のステーキ屋さんだった
すごく美味そうな匂いが、店の外にも出てる
「まあ、入ろうぜw」
「う、うん」
オレたちは案内されて、窓際の席に座った
そんで渡されたメニューを見てビックリした
安くても4400円とかする
「オレ…こんな金持ってない」
「気にするなよw…オレのおごりだから」
「え?…なんで?」
「こないだの礼だよ」
「なんの?」
「ハリマグロとミラボレアスを助けてくれたろ?w」
「…ケンカのこと?…上手く仲直りできたんだ?」
「ああw…カオくん…ファンゴwのおかげでなww」
「あはははw…良かった…けど、礼なんて…オレはちょっとでも恩返しできたなら、それでいいのに」
「つべこべ言うなよw…オレは恩なんか与えた覚えねえしw…な?」
「けど…こんな高いの…」
「高いけど美味いからさw…カオくんは物欲ねえから何あげて嬉しいかわかんねえし…そもそもオレ、物をプレゼントとかあんまりしたくねえし」
「ああ…え?…どうして?…物あげるの嫌なの?」
「嫌ってわけじゃねえけどさ…難しいんだよ、プレゼントって」
「え?…ああ…何が喜ぶのかな?って事?」
「それももちろんある」
「…値段とか?」
「それもある」
「…あとは?」
「んー…そんなの後にして、とりあえず頼もうぜ?w」
「う、うん…でもオレ…どれが良いかわからない…」
「ここはさ、いろんな国産牛を取り扱ってるんだよね…カオくんも聞いた事とか見た事あるだろ?…松坂牛とか飛騨牛とか神戸牛とか」
「うん…ある」
「で、それによって値段が少し違うし、あとヒレとかリブロースとか、部位でも違うのね」
「へぇぇ!」
「で、人によっては脂身が好きとか、嫌いとかあるのね」
「うん…」
「カオくんはどう?」
「オレ…あんま好きじゃない…脂身は」
「おっw…良かったw…じゃあヒレが美味いと思う…オレも一番好きだ」
「うん…でもヒレっての一番高いよ…」
「値段の事は言うなよw…とは言え、本当松坂牛のヒレなんて8800円とかしてるだろ?…グラム数少なくてもw」
「う、うん…ヤバい値段」
「でね、オレはなんでこんな店知ってるかっつうと、教授がたまに連れてきてくれるからなんだ」
「ええ~…こんな高いのに?」
「教授はドクターで博士号持っててさ…まあ、金持ちなんだわ…で、この店が好きなんだけど、奥さんは肉があんまり好きじゃない…ていうか、ほとんどヴィーガンみたいなんだって」
「ビーガン?」
「ああ…なんつうか、動物性の食べ物を食べないんだよ…かわいそうとかそんな感じでねw」
「ええ!…そんな人いるの…」
「居るんだなw…世の中にはいろんな人間がいるもんだ…で、教授はまあ、そんなわけで、息子さんとかと一緒に来たいみたいなんだけど、息子さんはパパンと2人でメシ食いに行くのを嫌がるんだなw…たぶん、照れてるんだと思う」
「そうなの…オレは母ちゃんとならどこでも行くけど…」
「言ったろ?…人それぞれ、いろいろなんだよw…で、教授はだから、いつも研究を手伝ってるオレを気に入ってくれてて、息子さんの代わりに連れてきてくれるんだよw」
「へぇぇ…そっかあ…」
「そんなわけでオレもこの店知っててさ…まあ、高い店なんて他には知らねえから、ここにカオくん連れてきたわけさ…礼だからなw…安くてもカオくんは喜んでくれるのはオレは知ってるけど、オレの気持ち的にそれは嫌なんだ」
「そうなの…サイゼでもいいのに」
「わかってるw…けどよ、逆ならどうする?…カオくんが母ちゃんとケンカして、オレが仲直りのキッカケになったとして、カオくんにお金あったらさ…そんでオレがサイゼでも嬉しい性格でもさ…カオくんはサイゼにするか?」
「…いや…しないww…オレもこの店とかにするww」
「だろ?ww…わかってくれた?」
「うん!」
「じゃあ遠慮なく食ってくれよ」
「うん…ありがと!」
「いや、ありがとはこっちがしてるからw…まぁいいやw…でな、このさ、一番安い4400円のあるじゃん?」
「うん」
「オレはこれにする」
「オレもそれでいい」
「いや、違くてね…オレがこれにするのは、このいろんな種類の試した中で、これが一番美味かったからなのね」
「え!?…安いのに?」
「そうw…でも、オレがコレにしちゃうと、カオくんは高いの頼みづらいよな?」
「うん…そうでなくても」
「だよな?…だからカオくんはこの一番高えのにしよう」
「え?!」
「でさ、オレの頼むコレと、一番高い松坂牛のヒレと、半分ずつ交換するの」
「ああ…うん」
「そんでさ、カオくんがどっちが美味いか判断するの」
「オレ…わかるかなあ」
「わかるよw…でも、オレがこっちが美味いって言ったから美味いって言うのは無しね?…ちゃんとカオくんが美味いと思う方を言ってくれ」
「う、うん」
「そういうプレゼント、楽しくないか?」
「楽しいww」
「だよな?w」
(カッコいいなあ…)
そんでユウトくんは、店員さんを呼んで、注文した
「ユウトくん、さっきのさ」
「うん?」
「物をあげるの嫌な理由って他になに?」
「ああw…オレさ、結構そういうの悩むんだわw…意外だろうけど」
「そんなことないw」
「物あげるのってさ、人にもよるけど、単純に高価な物あげれば喜ぶってわけじゃねえじゃん?…とくにオレが好きな奴はそうだ」
「あ、うん…悪いなって思っちゃう」
「うんうん…ハルも案外そうだ」
「ハルさん、ギャルだけどそうだよね」
「そうw…で、そういう奴に下手にそういうもんあげると、『一生大事にしないといけない』って思うんだ…違う?」
「思う!」
「オレはそういうのって、全然相手を思いやってねえと思うわけ…オレとしては売ったって捨てたっていいって気持ちで渡しても、カオくんとかハルは、ぜってえそんな事しねえから…安物だって大事にする奴らなのに、高けりゃもう余計にそうなるだろ?」
「うん…なる」
「そうなるとさ、もはや半分は義務感で持ち続けるハメになるじゃん…それってさ、オレが一方的に縛っちまうような気がしてね…そういうの押し付けるのはオレ的には無しなんだよ」
「…そっか…あんましそこまで考えた事なかった…」
「…かと言ってね、高い値のはるもんを嬉しく簡単に受け取っちゃう奴は、そもそも嫌いなんだ…ケチってるわけじゃなくてな?…オレは全然そういう奴は信用できないからだ」
「…そうかも…」
「で、オレが思うに、プレゼントの最適解ってのはさ」
「さいてきかい?」
「ああ、一番良いと思う答えって事ね」
「あ、うん///」
「ははw…かわいいなw…で、その一番良いと思うのってね」
「うん」
「『ちょっとこれは買うほどでもないけど…あったら嬉しいな』ってもんだと思うんだ…あるだろ?そういうの」
「…ある~、たまに思う…これ使ってみたら便利そう…でも、そんなに使う回数ないかも…ってやつとかでしょ?」
「そうそうそうw…それそれ」
そこまで話すと、ステーキが来た
もう見るからにすごく美味そう
ユウトくんは店員さんに、メニューは言わないで適当に置いてと言った
だからオレはどっちがどっちかわからない
ユウトくんは、半分ずつ切って、オレのと交換した
そん時もユウトくんは、大きめの方をオレの鉄板に乗せる
マジ、カッコいい
「まあ、まずは食ってみようよ」
「うん…ゴクリ」
「いただきます」
「い、いただきます!」
オレは一口でビックリした
世の中にこんな美味い肉があるなんて
初めて知った
見た感じ、ほとんどタレは付いてないのに
すんごく美味い
一切れでごはん一杯いけそう
オレは、交互に一切れずつ食べた
「…どう?…カオくん…どっちが美味い?」
「…んー…こっち!」
「おっ…どうしてそう感じた?…どっちも美味いよね?」
「うん…どっちも美味いけど…こっちのお肉は、噛んだ時ジュワッと出るんだけど…それがね…その」
「遠慮なく言ってくれ」
「そのね…しつこいなって…オレ、たぶんこれは飽きちゃうなって…半分ならいいけど、まるまる一つはキツいと思った」
「うんうん…こっちは?」
「こっちもジュワはあるけど、なんていうか『肉』って感じ…上手く言えないけど…こっちはまるまる一つ食ってもずっと美味しく食べれると思う」
「おお~ww…オレと一緒一緒w」
「じゃあ最初のが高いやつ?」
「そうそうw…いやあ、良かったわ」
「もちろん、こっちもすごく美味い」
「うん…でも飽きるよなw」
「だと思うw」
「いや、別にこっちが美味いって判断も全然良いと思うけどねw…けど、物の良し悪し…良い悪いは、値段じゃ決まらないから、自分の感覚とか感性で判断するのが大事ってのをカオくんに知ってもらいたいと思ったのよ」
「うん!…オレ、すごく勉強になった!」
「良かったわw…ごはん、おかわり頼めよ?…楽しめよな」
「うん!…ありがと!」
オレはもう、夢中で食った
オレは好きな方を後に食べる
だから、高い方を先に食って
ごはんが少なくなると
ユウトくんが大盛りライスをオレに聞かずに注文した
マジ、カッコいい
オレもこんなふうに、気の使える人間になりたい
こんなふうに、気前のいい人になりたい
オレは夢中で食って
かつてない満足感だった
「ユウトくん…ありがと…グス」
「な、泣くなよw…大げさだなw」
「ううん…そんなことない…美味いのもそうだけど…ユウトくんの優しいのがなにより嬉しい…グス」
「や、やめろって…ウル…こっちこそありがとな…かわいいファンゴくん」
「あははw…グス」
オレはしばらくは喋れなそうだったから
黙って
涙を手で拭ってた
ユウトくんも黙って待ってた
そんで、オレはやっと喋れるようになったから
さっきのプレゼントの話の続きを聞いた
「ユウトくん…さっきの続き…聞かせて?」
「…ああ、プレゼントの?」
「そう…買うほどでもないけどってやつ」
「ああ…そう、オレはそういうプレゼントが一番貰って嬉しいと思うんだわ」
「うん…オレもそう思う」
「そういうのってさ、すげえ相手を理解してないとあげれないし、そういうもんはずっと持ち続けても、義務感はないと思うんだ」
「うんうん!…たまに使う時にきっと…優しい気持ちを思い出すと思う」
「だよなw…けどさ、そんなのってしょっちゅう一緒にいねえと、なかなかわからないじゃんか」
「うん…そうだね」
「だからさ、オレは下手に物をあげるっての好きじゃねえんだ…だったら、こうして食べ物とかがいいと思う…食ったらそれでおしまいだからな…食べ物じゃなくても、どっか遊びに行くでもいい」
「…なぁるほど…」
「まあ、単なるオレの持論ってやつだけどなw…それで今日はカオくんにご馳走したわけさ」
「よくわかった…ありがと…今日はいろんな事知った…ちょっと待ってね…メモメモ」
「メモってるwww」
「え?…えへへ///…オレ、バカだから」
「バカなわけあるかよ…カオくんはバカなんかじゃない」
「…ユウトくん…グス」
「いつかさ…カオくんが彼女出来てさ」
「う、うん」
「そんで結婚とかなったらさ」
「うん…」
「バイトじゃ無理だからさ」
「うん」
「でも、カオくんは学歴ねえからさ…きっと困るよな」
「…ああ…」
「だからさ、そん時はオレが最低でも一般的な給料出せるくらいには、使ってやるよw…そん時までにオレは出世しねえとなww」
「どうして?…どうしてそんな…グス」
「好きなんだよ、カオくんがw…カオくんはいつもオレに恩を感じてるけど、オレだってそうだ…カオくんが一番信用できるし…オレのダチが全部居なくなっても、カオくんだけは居てくれると思うから…すげえ心強いんだわ…ある意味ハルよりもね」
「嬉しいよ…グス…オレ泣いちゃうよ…」
「うん、泣けよw…カオくん泣かすのもオレは好きなんだw」
「あははw…グス」
「始まりは履歴書だったのになw…人生ってな、そんなささいな事が重要になったりするもんだよな…」
「うん…」
オレはユウトくんが好きだ
母ちゃんとおんなじくらい
「ファンゴにはもったいないねw」
「ファンゴだろうが、ハリマグロだろうが、ミラボレアスだろうが、命はおんなじだ…でも命の価値は違う…汚ねえ心のミラボレアスより、キレイな心のファンゴの方が価値がある…まあ、医者を目指してる奴が言う事じゃねえなw」
「…そっか…オレ、ユウトくんがガッカリしないように生きるよ」
「わかってるw…オレもそうする…オレにそんな大層な価値があるかはわかんねえけどさ」
「うん」
「ハルもカオくんも、『どうしてアタシなんか』とか言ってるだろ?」
「あ、うん」
「…まあさ、そりゃわからんでもない…自分で言うのもなんだけど、世間的に見たら、オレは見た目もそこそこいいし、医大に現役で受かってるし、教授からも気に入られてるんだからな…そんじょそこいらよりエリートなんだと思う」
「うんうん!」
「でも、それは命の価値じゃない…カオくんが歩んだ人生が、他人から見てどんだけちっぽけだったとしても、オレはそんな事で判断しない…オレが判断するのは『信用』だ…カオくんもハルも一番信用できるからさ…オレは大切に思うんだ…わかるだろ?…カオくんだって、すげえ金持ちで美人な女より、母ちゃんの方が最高だって思うだろ?」
「…うん!」
「だからさ…『どうしてオレなんか』とかさ…そういう事もう言うなよw…な?」
「…うん…グス…メモメモ」
「またメモってるしww」
「へへ///」
「メモったら帰るかw」
「うん…メモメモ」
お会計は2万円近かった
ユウトくんは『いつもごちそうさま…美味かったよ』って金を払うと
レジの女の子は『ありがとうございます』って
なんだかこの子もユウトくんが好きな感じw
そりゃモテるよね
ほんと
こんなカッコいいのに
オレの友達なの不思議
帰りの車の中でも話した
ユウトくんはハルさんをとても愛してるって
だから本当にオレがハルさんに言った事が嬉しかったって
オレもそう言われたのが嬉しくて
また泣いちゃった
そしたらオレの頭をポンポンとして撫でた
マジカッコいい
オレは帰ってから
その今日の出来事をメモに出来るだけ書いて
母ちゃんに聞かせたら
めちゃくちゃ感心しながら聞いてた
オレは誇らしかった
オレは大した人間じゃないけど
きっとオレの人生は素晴らしいって
そう思えた
オレはユウトくんに呼び出された
場所はいつものサイゼだったけど
ユウトくんは家の車を借りてきてて
車で出かけた
着いたらそこは、個人経営のステーキ屋さんだった
すごく美味そうな匂いが、店の外にも出てる
「まあ、入ろうぜw」
「う、うん」
オレたちは案内されて、窓際の席に座った
そんで渡されたメニューを見てビックリした
安くても4400円とかする
「オレ…こんな金持ってない」
「気にするなよw…オレのおごりだから」
「え?…なんで?」
「こないだの礼だよ」
「なんの?」
「ハリマグロとミラボレアスを助けてくれたろ?w」
「…ケンカのこと?…上手く仲直りできたんだ?」
「ああw…カオくん…ファンゴwのおかげでなww」
「あはははw…良かった…けど、礼なんて…オレはちょっとでも恩返しできたなら、それでいいのに」
「つべこべ言うなよw…オレは恩なんか与えた覚えねえしw…な?」
「けど…こんな高いの…」
「高いけど美味いからさw…カオくんは物欲ねえから何あげて嬉しいかわかんねえし…そもそもオレ、物をプレゼントとかあんまりしたくねえし」
「ああ…え?…どうして?…物あげるの嫌なの?」
「嫌ってわけじゃねえけどさ…難しいんだよ、プレゼントって」
「え?…ああ…何が喜ぶのかな?って事?」
「それももちろんある」
「…値段とか?」
「それもある」
「…あとは?」
「んー…そんなの後にして、とりあえず頼もうぜ?w」
「う、うん…でもオレ…どれが良いかわからない…」
「ここはさ、いろんな国産牛を取り扱ってるんだよね…カオくんも聞いた事とか見た事あるだろ?…松坂牛とか飛騨牛とか神戸牛とか」
「うん…ある」
「で、それによって値段が少し違うし、あとヒレとかリブロースとか、部位でも違うのね」
「へぇぇ!」
「で、人によっては脂身が好きとか、嫌いとかあるのね」
「うん…」
「カオくんはどう?」
「オレ…あんま好きじゃない…脂身は」
「おっw…良かったw…じゃあヒレが美味いと思う…オレも一番好きだ」
「うん…でもヒレっての一番高いよ…」
「値段の事は言うなよw…とは言え、本当松坂牛のヒレなんて8800円とかしてるだろ?…グラム数少なくてもw」
「う、うん…ヤバい値段」
「でね、オレはなんでこんな店知ってるかっつうと、教授がたまに連れてきてくれるからなんだ」
「ええ~…こんな高いのに?」
「教授はドクターで博士号持っててさ…まあ、金持ちなんだわ…で、この店が好きなんだけど、奥さんは肉があんまり好きじゃない…ていうか、ほとんどヴィーガンみたいなんだって」
「ビーガン?」
「ああ…なんつうか、動物性の食べ物を食べないんだよ…かわいそうとかそんな感じでねw」
「ええ!…そんな人いるの…」
「居るんだなw…世の中にはいろんな人間がいるもんだ…で、教授はまあ、そんなわけで、息子さんとかと一緒に来たいみたいなんだけど、息子さんはパパンと2人でメシ食いに行くのを嫌がるんだなw…たぶん、照れてるんだと思う」
「そうなの…オレは母ちゃんとならどこでも行くけど…」
「言ったろ?…人それぞれ、いろいろなんだよw…で、教授はだから、いつも研究を手伝ってるオレを気に入ってくれてて、息子さんの代わりに連れてきてくれるんだよw」
「へぇぇ…そっかあ…」
「そんなわけでオレもこの店知っててさ…まあ、高い店なんて他には知らねえから、ここにカオくん連れてきたわけさ…礼だからなw…安くてもカオくんは喜んでくれるのはオレは知ってるけど、オレの気持ち的にそれは嫌なんだ」
「そうなの…サイゼでもいいのに」
「わかってるw…けどよ、逆ならどうする?…カオくんが母ちゃんとケンカして、オレが仲直りのキッカケになったとして、カオくんにお金あったらさ…そんでオレがサイゼでも嬉しい性格でもさ…カオくんはサイゼにするか?」
「…いや…しないww…オレもこの店とかにするww」
「だろ?ww…わかってくれた?」
「うん!」
「じゃあ遠慮なく食ってくれよ」
「うん…ありがと!」
「いや、ありがとはこっちがしてるからw…まぁいいやw…でな、このさ、一番安い4400円のあるじゃん?」
「うん」
「オレはこれにする」
「オレもそれでいい」
「いや、違くてね…オレがこれにするのは、このいろんな種類の試した中で、これが一番美味かったからなのね」
「え!?…安いのに?」
「そうw…でも、オレがコレにしちゃうと、カオくんは高いの頼みづらいよな?」
「うん…そうでなくても」
「だよな?…だからカオくんはこの一番高えのにしよう」
「え?!」
「でさ、オレの頼むコレと、一番高い松坂牛のヒレと、半分ずつ交換するの」
「ああ…うん」
「そんでさ、カオくんがどっちが美味いか判断するの」
「オレ…わかるかなあ」
「わかるよw…でも、オレがこっちが美味いって言ったから美味いって言うのは無しね?…ちゃんとカオくんが美味いと思う方を言ってくれ」
「う、うん」
「そういうプレゼント、楽しくないか?」
「楽しいww」
「だよな?w」
(カッコいいなあ…)
そんでユウトくんは、店員さんを呼んで、注文した
「ユウトくん、さっきのさ」
「うん?」
「物をあげるの嫌な理由って他になに?」
「ああw…オレさ、結構そういうの悩むんだわw…意外だろうけど」
「そんなことないw」
「物あげるのってさ、人にもよるけど、単純に高価な物あげれば喜ぶってわけじゃねえじゃん?…とくにオレが好きな奴はそうだ」
「あ、うん…悪いなって思っちゃう」
「うんうん…ハルも案外そうだ」
「ハルさん、ギャルだけどそうだよね」
「そうw…で、そういう奴に下手にそういうもんあげると、『一生大事にしないといけない』って思うんだ…違う?」
「思う!」
「オレはそういうのって、全然相手を思いやってねえと思うわけ…オレとしては売ったって捨てたっていいって気持ちで渡しても、カオくんとかハルは、ぜってえそんな事しねえから…安物だって大事にする奴らなのに、高けりゃもう余計にそうなるだろ?」
「うん…なる」
「そうなるとさ、もはや半分は義務感で持ち続けるハメになるじゃん…それってさ、オレが一方的に縛っちまうような気がしてね…そういうの押し付けるのはオレ的には無しなんだよ」
「…そっか…あんましそこまで考えた事なかった…」
「…かと言ってね、高い値のはるもんを嬉しく簡単に受け取っちゃう奴は、そもそも嫌いなんだ…ケチってるわけじゃなくてな?…オレは全然そういう奴は信用できないからだ」
「…そうかも…」
「で、オレが思うに、プレゼントの最適解ってのはさ」
「さいてきかい?」
「ああ、一番良いと思う答えって事ね」
「あ、うん///」
「ははw…かわいいなw…で、その一番良いと思うのってね」
「うん」
「『ちょっとこれは買うほどでもないけど…あったら嬉しいな』ってもんだと思うんだ…あるだろ?そういうの」
「…ある~、たまに思う…これ使ってみたら便利そう…でも、そんなに使う回数ないかも…ってやつとかでしょ?」
「そうそうそうw…それそれ」
そこまで話すと、ステーキが来た
もう見るからにすごく美味そう
ユウトくんは店員さんに、メニューは言わないで適当に置いてと言った
だからオレはどっちがどっちかわからない
ユウトくんは、半分ずつ切って、オレのと交換した
そん時もユウトくんは、大きめの方をオレの鉄板に乗せる
マジ、カッコいい
「まあ、まずは食ってみようよ」
「うん…ゴクリ」
「いただきます」
「い、いただきます!」
オレは一口でビックリした
世の中にこんな美味い肉があるなんて
初めて知った
見た感じ、ほとんどタレは付いてないのに
すんごく美味い
一切れでごはん一杯いけそう
オレは、交互に一切れずつ食べた
「…どう?…カオくん…どっちが美味い?」
「…んー…こっち!」
「おっ…どうしてそう感じた?…どっちも美味いよね?」
「うん…どっちも美味いけど…こっちのお肉は、噛んだ時ジュワッと出るんだけど…それがね…その」
「遠慮なく言ってくれ」
「そのね…しつこいなって…オレ、たぶんこれは飽きちゃうなって…半分ならいいけど、まるまる一つはキツいと思った」
「うんうん…こっちは?」
「こっちもジュワはあるけど、なんていうか『肉』って感じ…上手く言えないけど…こっちはまるまる一つ食ってもずっと美味しく食べれると思う」
「おお~ww…オレと一緒一緒w」
「じゃあ最初のが高いやつ?」
「そうそうw…いやあ、良かったわ」
「もちろん、こっちもすごく美味い」
「うん…でも飽きるよなw」
「だと思うw」
「いや、別にこっちが美味いって判断も全然良いと思うけどねw…けど、物の良し悪し…良い悪いは、値段じゃ決まらないから、自分の感覚とか感性で判断するのが大事ってのをカオくんに知ってもらいたいと思ったのよ」
「うん!…オレ、すごく勉強になった!」
「良かったわw…ごはん、おかわり頼めよ?…楽しめよな」
「うん!…ありがと!」
オレはもう、夢中で食った
オレは好きな方を後に食べる
だから、高い方を先に食って
ごはんが少なくなると
ユウトくんが大盛りライスをオレに聞かずに注文した
マジ、カッコいい
オレもこんなふうに、気の使える人間になりたい
こんなふうに、気前のいい人になりたい
オレは夢中で食って
かつてない満足感だった
「ユウトくん…ありがと…グス」
「な、泣くなよw…大げさだなw」
「ううん…そんなことない…美味いのもそうだけど…ユウトくんの優しいのがなにより嬉しい…グス」
「や、やめろって…ウル…こっちこそありがとな…かわいいファンゴくん」
「あははw…グス」
オレはしばらくは喋れなそうだったから
黙って
涙を手で拭ってた
ユウトくんも黙って待ってた
そんで、オレはやっと喋れるようになったから
さっきのプレゼントの話の続きを聞いた
「ユウトくん…さっきの続き…聞かせて?」
「…ああ、プレゼントの?」
「そう…買うほどでもないけどってやつ」
「ああ…そう、オレはそういうプレゼントが一番貰って嬉しいと思うんだわ」
「うん…オレもそう思う」
「そういうのってさ、すげえ相手を理解してないとあげれないし、そういうもんはずっと持ち続けても、義務感はないと思うんだ」
「うんうん!…たまに使う時にきっと…優しい気持ちを思い出すと思う」
「だよなw…けどさ、そんなのってしょっちゅう一緒にいねえと、なかなかわからないじゃんか」
「うん…そうだね」
「だからさ、オレは下手に物をあげるっての好きじゃねえんだ…だったら、こうして食べ物とかがいいと思う…食ったらそれでおしまいだからな…食べ物じゃなくても、どっか遊びに行くでもいい」
「…なぁるほど…」
「まあ、単なるオレの持論ってやつだけどなw…それで今日はカオくんにご馳走したわけさ」
「よくわかった…ありがと…今日はいろんな事知った…ちょっと待ってね…メモメモ」
「メモってるwww」
「え?…えへへ///…オレ、バカだから」
「バカなわけあるかよ…カオくんはバカなんかじゃない」
「…ユウトくん…グス」
「いつかさ…カオくんが彼女出来てさ」
「う、うん」
「そんで結婚とかなったらさ」
「うん…」
「バイトじゃ無理だからさ」
「うん」
「でも、カオくんは学歴ねえからさ…きっと困るよな」
「…ああ…」
「だからさ、そん時はオレが最低でも一般的な給料出せるくらいには、使ってやるよw…そん時までにオレは出世しねえとなww」
「どうして?…どうしてそんな…グス」
「好きなんだよ、カオくんがw…カオくんはいつもオレに恩を感じてるけど、オレだってそうだ…カオくんが一番信用できるし…オレのダチが全部居なくなっても、カオくんだけは居てくれると思うから…すげえ心強いんだわ…ある意味ハルよりもね」
「嬉しいよ…グス…オレ泣いちゃうよ…」
「うん、泣けよw…カオくん泣かすのもオレは好きなんだw」
「あははw…グス」
「始まりは履歴書だったのになw…人生ってな、そんなささいな事が重要になったりするもんだよな…」
「うん…」
オレはユウトくんが好きだ
母ちゃんとおんなじくらい
「ファンゴにはもったいないねw」
「ファンゴだろうが、ハリマグロだろうが、ミラボレアスだろうが、命はおんなじだ…でも命の価値は違う…汚ねえ心のミラボレアスより、キレイな心のファンゴの方が価値がある…まあ、医者を目指してる奴が言う事じゃねえなw」
「…そっか…オレ、ユウトくんがガッカリしないように生きるよ」
「わかってるw…オレもそうする…オレにそんな大層な価値があるかはわかんねえけどさ」
「うん」
「ハルもカオくんも、『どうしてアタシなんか』とか言ってるだろ?」
「あ、うん」
「…まあさ、そりゃわからんでもない…自分で言うのもなんだけど、世間的に見たら、オレは見た目もそこそこいいし、医大に現役で受かってるし、教授からも気に入られてるんだからな…そんじょそこいらよりエリートなんだと思う」
「うんうん!」
「でも、それは命の価値じゃない…カオくんが歩んだ人生が、他人から見てどんだけちっぽけだったとしても、オレはそんな事で判断しない…オレが判断するのは『信用』だ…カオくんもハルも一番信用できるからさ…オレは大切に思うんだ…わかるだろ?…カオくんだって、すげえ金持ちで美人な女より、母ちゃんの方が最高だって思うだろ?」
「…うん!」
「だからさ…『どうしてオレなんか』とかさ…そういう事もう言うなよw…な?」
「…うん…グス…メモメモ」
「またメモってるしww」
「へへ///」
「メモったら帰るかw」
「うん…メモメモ」
お会計は2万円近かった
ユウトくんは『いつもごちそうさま…美味かったよ』って金を払うと
レジの女の子は『ありがとうございます』って
なんだかこの子もユウトくんが好きな感じw
そりゃモテるよね
ほんと
こんなカッコいいのに
オレの友達なの不思議
帰りの車の中でも話した
ユウトくんはハルさんをとても愛してるって
だから本当にオレがハルさんに言った事が嬉しかったって
オレもそう言われたのが嬉しくて
また泣いちゃった
そしたらオレの頭をポンポンとして撫でた
マジカッコいい
オレは帰ってから
その今日の出来事をメモに出来るだけ書いて
母ちゃんに聞かせたら
めちゃくちゃ感心しながら聞いてた
オレは誇らしかった
オレは大した人間じゃないけど
きっとオレの人生は素晴らしいって
そう思えた
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颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?
無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。
どっちが稼げるのだろう?
いろんな方の想いがあるのかと・・・。
2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。
あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。
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