光の勇者外伝・アイオテ

ヨッシー

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4章

デッドアイランド・中心部

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囮を使い、誘き出す作戦を始めて1年が過ぎると、一行はさらに内側へとバリケードを進めていった
バリケードと言っても、ゲキツヨさんには破られてしまうが、バリケードから外に向かって敵が居ない事が重要であった

バリケードと新たな拠点を設けて、さらに1年が経つ
しかし、ここ半年はゲキツヨさんどころか、強化ゾンビも獣ゾンビすら現れなくなっていた
拠点から外側は平和そのもので、一見すると穏やかにすら見える

ミネルバ「もういい加減大丈夫よね?」
エリオット「だと思うw…ここ半年は何も戦ってないし」
アイオテ「ゲキツヨさんはもっと中央にいるのかな?」
ミネルバ「あの真ん中にはもう岩山しかないけどね…」
アイオテ「あの岩山を調べ尽くせば、もうこの島の冒険も終わるかな?」
エリオット「そうだと思う…でもここから見る分に、もはや何も居ない感じだよな…どう思う?…それともあの岩山の上に居るのかね?」
ミネルバ「それはないと思う…あんなとこじゃエサもないだろうし…ゲキツヨさんは登れてもゾンビには無理よね」
アイオテ「でも登って確かめてみないと…もしも1匹でも残ってたら…」
ミネルバ「そうね…けど、岩山なんか登った事ないし…登れるかね?」
エリオット「正直言って鎧着てたら登れないし、途中で襲われたら戦いようもない…奴らにやられるか、落ちるかしてしまうよ」
ミネルバ「そうよねえ…」
アイオテ「うーん…ボク1人で行くよ」
ミネルバ「え?」
エリオット「ひ、1人で?!」
アイオテ「う、うん…たぶんボクは身軽だから登れるし、もしも襲われても結界出せば大丈夫だもん」
ミネルバ「なあるほど」
アイオテ「それに、たまに結界を出して岩山を削れば、足場とかになって、登りやすくなるかもしれないよ」
エリオット「たしかに!…それならオレたちも登れるかも!」
ミネルバ「すごいじゃない、アイオテ!…ギュ…ナデナデ」
アイオテ「えへへ///…実は前から考えてたの///」
ミネルバ「けど、1人で大丈夫?」
アイオテ「うんとね…いろいろ考えてみて、寂しいって事以外は大丈夫だと思うの」
ミネルバ「うん…アタシも寂しい」
エリオット「寂しいのは辛いなあ」
アイオテ「うん…でも頑張るよ…リュックにたくさんサンドイッチ入れて」
ミネルバ「じゃあいっぱい作るかw」
エリオット「ああw」

そうして、翌日、準備を整えると岩山の麓まで3人で行き、岩山を見上げた

アイオテ「高いなあ」
ミネルバ「登れそう?」
アイオテ「うん!」
エリオット「オレたちはここにいるよ」
アイオテ「あ、ううん…ここにいると危ないかも」
ミネルバ「そう?…たぶんもうゲキツヨさんも来ないと思うけど…」
エリオット「うんうん」
アイオテ「そうじゃなくて…ボクが結界を出した時にね…あ、ちょっとやってみるね」

アイオテは岩山に近づき、結界を出し、またすぐやめてみた
すると、球の内側の岩が落ちる

アイオテ「あ、ほら」
ミネルバ「ああ~…そうなるのね!」
エリオット「へぇぇ~!…てっきりアイオテくんから広がって出るもんだと思ってたけど、パッと現れるんだねえ!」
ミネルバ「ね!…アタシもそう思ってた」
アイオテ「しかも、この内側の物は落ちないんだよ…だから消えないの…ボクが動けば消えるかもしれないけど、そうするとボク苦しいんだ」
エリオット「なんで落ちないのかな…不思議だね…」
ミネルバ「ね!…神様の力は不思議だわ」
アイオテ「ボクね、なんとなくわかったんだよ」
エリオット「え?…どういう事?…興味ある」
ミネルバ「うんw…でも、また後で聞きましょうよw…ここはバリケードの中なんだし」
エリオット「あ、そうかw…たしかにここに居たら岩が降ってくるね」
アイオテ「うん、だから拠点の高台から見てて?」
ミネルバ「うん…気をつけてね…落ちないでね…」
アイオテ「落ちても大丈夫なんだよw」
ミネルバ「どうして?」
アイオテ「見ててね」

アイオテは垂直に高くジャンプして、結界を出した
すると、そのジャンプした地点で止まった

アイオテ「よっ!…ね?」
エリオット「う、浮いてた!!」
ミネルバ「ええ~!!」
アイオテ「これが内側の物が落ちないのと関係してるの」
ミネルバ「そ、そうなの?」
アイオテ「うん…だから、落ちても結界を出したりしまったりしながら着地出来るよ」
エリオット「すげ~ww」
ミネルバ「だからアイオテにしては自信満々だったのね~w」
アイオテ「えへへ///…岩山登るのは大変だけど、危なくはないから///」
エリオット「そっか…でも、ちゃんとずっと見てるよ…力になれなくてごめんね」
アイオテ「ううん」
ミネルバ「一応、食べ物も作ってすぐに駆けつけられるようにしておくね」
アイオテ「うん!」
エリオット「じゃあ無事でね?…ミネルバさん、離れよう」
ミネルバ「うん」

エリオットとミネルバが離れると、アイオテは山を登り始めた

エリオット「おお~!!…アイオテくん、すげえ身軽ww」
ミネルバ「ほんとww…すっごいw…アタシらも一緒に登ったりしたら、かえって本当に足手まといでしかないねw」
エリオット「ほんとだよw…あんなぴょんぴょん行けないよw」
ミネルバ「…なんか感無量だわ…こんなに逞しくなって…」
エリオット「うん…まるで親の気分だ」

2人はしばらく見守ったのち、拠点の高台に戻った

アイオテは30メートル程登った場所に、立てる場所があったので、そこで結界を出し、セイブザクイーンで内側の岩を外側に押し出すようにつつく
すると、内側の岩は結界に当たり、消えていく
セイブザクイーンが当たらないように気をつけながら、ギリギリまで押し消すと、結界を解いた

アイオテ(ここでサンドイッチ一つ食べよう)

アイオテは高台に向かって2人に手を振ってから、サンドイッチを一つ食べた

アイオテ(結界を出しながら動くの、少しなら大丈夫なのかな?)

アイオテは今居る場所から、少しずつ斜め上に結界を出しながらジャンプすれば、坂道となり楽に登れると考えた

アイオテ(もしそれが出来るなら、一番下からやれば、あの2人も登れるぞ)
アイオテ(少し試してみよう…)

アイオテは結界を出して、斜め上に60センチ程飛んで、すぐに解いた

アイオテ(あう…ちょっと苦しい…だけどこれくらいなら大丈夫だぞ♪)
アイオテ(どうしよう…ここまで登ったの無駄だったな…でもいいや)
アイオテ(はっきり言って、ボクの腹減り問題の方が不安だし…あの2人が来れるようになるなら、食べ物持ってもらえる)
アイオテ(そうしよう!…よーし、飛び降りてみるぞ)
アイオテ(だ、大丈夫だよね…うう…やっぱり怖い…けど、普通に降りたら時間かかっちゃう…)
アイオテ(…よーし…)
アイオテ「えい!…ピョン」

アイオテは思い切って飛んで、すぐに結界を出した

アイオテ(お…よし、一回消して…)

アイオテ(また出す…なんだ、全然大丈夫だw)

一度試してみると、その恐怖はなんて事なかった

ミネルバ「あ!…飛んだ!!」
エリオット「ああ!」
ミネルバ「ああ~…止まった…良かった…心臓に悪いね」
エリオット「全くだ…それより、下に降りるなら食べ物持って行ってあげよう」
ミネルバ「そうね!」

2人はお弁当を持って、アイオテの元に駆けていく

アイオテ「ほっ!…スタッ…意外と楽しいw」
ミネルバ「アイオテ~!」
アイオテ「ミネルバさーん!」

ミネルバ「はいよ、お弁当」
アイオテ「やったあ!」
エリオット「もう降りることにしたの?」
アイオテ「うん、いい考えが浮かんだの…ちょっと一旦拠点に戻って話すね」
ミネルバ「オッケー」

アイオテはサンドイッチを食べ歩きして、拠点に帰った

アイオテ「うんとね、まず、ボクが落ちる途中で止まったり、丸の中の物が落ちなかったりするのはね」
エリオット「うんうん」
アイオテ「ボクの考えだと、『落ちる』力さえ消してるからだと思うの」
ミネルバ「落ちる力?」
アイオテ「うん…ボクらは普段みんな地面に落ちてる状態でしょ?」
エリオット「うーん、まあ、そうとも言えるね」
アイオテ「その…なんていうか、見えない力で地面に引っ張られてるんだと思うんだよ」
ミネルバ「ほうほう…その力すら『光』は消しているって事か…」
エリオット「うーん…すぐには理解しがたいけど、そう考えると納得いくね」
アイオテ「うん…そういう仕組みなんだと思うんだ…それでね、今降りてくる前に、ボクは穴を空けたでしょ?」
ミネルバ「うん、空けてた」
アイオテ「ボクはそこから少しだけ斜め上に結界を出したままジャンプしてみたの…」
ミネルバ「え?!…それ大丈夫なの?」
アイオテ「ちょっとだけ苦しかったけど、大丈夫だった…でね、そうすると当然ジャンプした分、坂道になるんだよ」
エリオット「ああ~…」
アイオテ「だからボクは一番下から岩山の周りを螺旋状に少しずつ、そうやって進む事にしたの…時間かかっちゃうけど、それならミネルバさんもエリオットさんも来れるもんね」
ミネルバ「たしかに!」
アイオテ「ボク、お腹減っちゃうから、食べ物を運んでほしいんだ」
エリオット「お安い御用だよ」
ミネルバ「うんうん…それは明日からやる?」
アイオテ「うん」
ミネルバ「じゃあ、今から食べ物の下ごしらえしよっか」
エリオット「ああ」

それから3人は、食べ物の下ごしらえをして、明日に備えた
翌日からまた何ヶ月もかけ、岩山を削っていく
その労力に見合わず、敵は全く出なかった

アイオテ「…なんだか、全然敵が出なくてごめんね…」
ミネルバ「なんで謝るのよw」
アイオテ「だって…2人に付き合わせてるのに、無駄な事してる気がするから…グス」
エリオット「無駄なんかじゃないって!…『居ない』ってわかる事が大事なんだから…ギュ…泣かないでよw」
アイオテ「うん…ギュ」
ミネルバ「それに、あと少しで山頂じゃないw…もうちょっとだよw…ナデナデ」
アイオテ「うん!」
エリオット「むしろ、今やってる作業はアイオテくんばかり苦労してて申し訳ないよ」
ミネルバ「ほんとよ…」
アイオテ「ううん…ボク、ジャンプしてるだけだものw」

そしてようやく山頂まで到達したが、やはり何もなかった

アイオテ「…やっぱりなんにも居なかったね…」
エリオット「うん…しかし、すごい見晴らしだなあw…オレたちこんなにもたくさん拠点を作ったんだ…」
ミネルバ「ねw…すごいわねw…殲滅して島が安全になったら、この拠点たちはきっと役に立つわ」
エリオット「この岩山も観光名所になるだろうねw」
アイオテ「あははw…そうかも」
ミネルバ「ここから見る限り、どこにも何も動いてるものはないね」
エリオット「うん、もう完全に居なくなったんじゃないか?」
アイオテ「だったらいいなあw」
ミネルバ「…この岩山は大丈夫だった…あとは岩山の周りを何周か回ってみましょうか」
エリオット「そうしよう…それが済んだら一通り島中を見て周るかね」
ミネルバ「そうね…面倒くさいけど、念には念をってやつよね」
エリオット「うん…またゾンビ復活したら、その方が面倒くさいよ」
アイオテ「うん…また制圧しろって言われても、もう嫌だよ~」
エリオット「オレもw」
ミネルバ「じゃあここでごはん食べて…それから下りようか」
アイオテ「うん」

一行は絶景の中で楽しく食事をし、それから下山して、拠点に戻った

翌日からは岩山の周囲を確認する
岩山に沿って進んでいくと、人が1人通れる程度の亀裂があった

ミネルバ「これどう思う?」
アイオテ「絶対この中に居るよ…ここから出る空気、臭いもん」
エリオット「うん、ゾンビの肉の臭いだ」
ミネルバ「この狭い通路は嫌だねえ…」
アイオテ「嫌だねえ…」
エリオット「けど、無視は出来ない」
ミネルバ「うん…とりあえず、松明がないと入ってはいけないよ」
エリオット「松明作るか…」

一行はまた一旦近くの拠点に戻って松明を作った
念のため1人3本ずつ作り、狭い中でも戦える様に、ダガーも装備した
そして翌日、亀裂の中へと突入していく

ミネルバ「…臭いねえ」
エリオット「ああ…口に布まくか」
アイオテ「そうしよう」

その通路は進むうちに多少広くなっていったので、3人は少し安心した
さらに少し歩くと、ロアーヌの兵士の兜が落ちていた

エリオット「これは…ロアーヌの…ここに逃げ込んだのか?」
ミネルバ「…かもしれないね…」

3人はさらに奥へと進むと、通路が終わり、中は広い空間になっていた
ミネルバは松明だけを出し、空間を観察する

ミネルバ「あっちこちに鎧が散乱してるよ…」
エリオット「鎧だけ?…死体とかは?」
ミネルバ「それはない…鎧や剣だけ…ロアーヌのだよね?」
エリオット「…どれ?…ああ…型は古いけど、ロアーヌの兵士のだ…入ってみよう」

エリオットを先頭に3人は広間へと入った
散乱している鎧に近づき、エリオットはかがんで鎧を拾い、調べてみた
すると、上からものすごい速さで飛び降りてきた物体に、エリオットは襲われた

エリオット「ぐわああぁぁあ!!」
ミネルバ「エリオット!!」
アイオテ「エリオットさん!!」

エリオットは肩から腹にかけて、降ってきた化け物に切り裂かれてしまった
エリオットはその一撃であっけなく即死してしまった

アイオテ「エリオットさーん!!!…ああ…この野郎!!」
ミネルバ「よくもエリオットを!!」

その化け物はゲキツヨさんよりもさらに一回り大きく、能力も高かった
ミネルバとアイオテが左右から一撃離脱を繰り返すが、化け物には全くと言っていいほど効かない
化け物は叫びながら凄まじい速さで、ミネルバに腕を振り下ろしてきた
ミネルバはそれをガードしたが、あまりの怪力に受け切れず、化け物の長い爪がミネルバの腹を貫通した

ミネルバ「あああーーー!!…ガク」
アイオテ「……ああ…こ、この…フッ…」

そこからアイオテは意識を失い、狂戦士となって化け物と戦った
その化け物は今までの中でも最強であったが、アイオテはさらにその上をいっていた
アイオテが左右に猛烈に剣を振るうたび、化け物は斬り刻まれていく
アイオテのスピードと力と、セイブザクイーンの切れ味の前に、バラバラになっていく化け物

数分後には百を超える肉片に変わり果て、アイオテの勝利で終わったが、アイオテも体力を使い果たして倒れた

ミネルバ「う…ゲボ…あ、アイオテ…今…行くね…」

ミネルバは最後の力を振りしぼり、這いずりながらアイオテに近づき、うつ伏せに倒れたアイオテをひっくり返し、泣きながらキスをした

ミネルバ「ここで…みんな終わりかな…グス…」
アイオテ「う…う…」
ミネルバ「…アイ…オテ…」
アイオテ「…ミネルバ…さん…」

アイオテはかすかに残った体力で、ミネルバに少しだけ光の治癒を施した
完全に回復はしなかったが、腹の傷が塞がり、出血は止まった
ミネルバは意識を取り戻す事が出来た
ミネルバが死んでいないということは、アイオテも生きているということだ

ミネルバ「あ…アイオテ!!」

ミネルバは急いでサンドイッチを口に頬張ると、口移しでアイオテに与えた
アイオテはそれを力なく飲み込む
一口飲み込むと、少しだけ元気になり、『ミネルバさん』とつぶやいた

ミネルバ「アイオテ!!…大丈夫?…グス…ほら、食べれる?」
アイオテ「うん…食べさせて…」
ミネルバ「うん…うん!」

アイオテはミネルバにサンドイッチを食べさせてもらい、一つ食べ終わると、自分で持ってバクバクと食べ始めた

アイオテ「う…ミネルバさん!…もう少し光を当てるね!」
ミネルバ「お願い…」

アイオテは腹も満たされて、ミネルバは完全復活した
2人はエリオットの元へ行き、エリオットにすがって泣いた

アイオテ「あああーー!!!…エリオットさん!エリオットさん!!」
ミネルバ「あんた…ここまできて、死ぬんじゃないよ!!」

しかし、2人の願いは届かず、何度光を当てても、もう生き返る事はなかった

アイオテ「さよならも言ってないのに…グス」
ミネルバ「…うっ…グ…エリオット…グス…」

ミネルバ「…アイオテ…エリオットがさ…奴らの仲間になる前に…トドメ刺さなきゃ…」
アイオテ「…うん…グス…」
ミネルバ「アタシがやるね…」
アイオテ「…ボクがやるよ…」
ミネルバ「いいのよ…辛い思いはしなくていいの…ギュ」
アイオテ「うっ…うっ…グス…ギュ…じゃ、じゃあ一緒にやろう?…せめてボクたちの手で…」
ミネルバ「…グス…うん…」
アイオテ「その前に、2人でキスをしてあげようよ…」
ミネルバ「うん…」

2人はエリオットの頬にキスをして、セイブザクイーンを一緒に掴む

アイオテ「…今までいつも…長い間ありがとう…ごめんなさい…幸せにしてあげれなくて」
ミネルバ「…本当にごめん…あんたの事はいつまでも忘れない…永遠にずっと親友だよ」

別れの言葉を言い、2人はセイブザクイーンをエリオットの頭に突き刺した
そして、しばらくの間、気の済むまで、抱きしめ合って泣いていた

アイオテ「…ミネルバさん…こいつがラストかな…」
ミネルバ「たぶんね…強かったねえ」
アイオテ「うん…でも、どうしてコイツは外に出なかったのかな」
ミネルバ「出たくても出られなかったんじゃない?…あの大きさだとさ」
アイオテ「そっか…バカだね」
ミネルバ「ね…きっとここに逃げ込んだ兵士の誰かがゾンビになって、全員に広まって…さらに共食いをした慣れの果てなんだろうね」
アイオテ「…そっか…ミネルバさん…ボク、いっぱい肉片増やしちゃったけど…頑張って消してね?」
ミネルバ「うん…エリオットはどうする?」
アイオテ「う…グス…拠点に連れてって…埋葬しようよ」
ミネルバ「…そう…あ、いや…このエリオットの身体にはきっとウイルスってのがまだ残ってる…だから…」
アイオテ「消すの?…グス」
ミネルバ「アイオテ…もしこのエリオットの身体が残ってたせいで、またゾンビが復活しちゃったらさ…その時一番悔しいと思うのはエリオットだよ」
アイオテ「…それもそうだね…エリオットさんは誰よりもみんなの平和を願って、戦ってたんだもんね」
ミネルバ「…うん…ごめんね、エリオット…ちゃんと弔ってあげれなくて…」
アイオテ「ごめんなさい…グス」
ミネルバ「ごめん…消すのに大変だから切り刻んでしまうね…」

ミネルバは目を覆い、泣きながら、エリオットの身体を切断し、アイオテの結界に放り込む
いつもタフで、勇敢なミネルバだったが、この作業は非常に心が痛み、重かった

最後に頭を持ち上げ、抱きしめて、頬にキスをし、投げ込むと、完全にエリオットの身体はこの世から消滅した

アイオテ「…ずっと一緒だったのに…最後ってこんなにあっさりとやってくるんだね…」
ミネルバ「うん…グス…」
アイオテ「…せめてこのエリオットさんの大事にしてた剣だけは…ボクらが持っていてあげよう」
ミネルバ「うん…ギュ…」

2人はエリオットの剣を間に挟み、少しだけ抱きしめ合ってから、拠点へと帰った
拠点に帰ると、カイルが待っていた

カイル「おかえりなさい…エリオットは?」
アイオテ「…うっ…グス…」
ミネルバ「…エリオットはもう…帰らない」
カイル「え?!…エリオットは…死んだ?」
ミネルバ「そう…あっという間だった…ごめん、カイル…」
カイル「うっ…ぐっ…グス…エリオット…」
アイオテ「カイルさん…これ、エリオットさんの大事な剣…ボクらはずっとこれを持って生きていくよ…」
カイル「うん…そうしてあげてくださいっス…それが一番の供養になると思うっス…」

ミネルバ「カイル…今日はアタシが夕飯を作るから、座って休んでな?」
カイル「…い、いえ…オレがやるっス…」
ミネルバ「いいから…親友が死んだんだ…無理をするなよ」
カイル「いえ…何かしてた方がいいっス…」
ミネルバ「じゃあみんなでやろっか」
アイオテ「うん」


カイル「…そうだったんスね…あの岩山の中に昔の兵士たちの慣れの果てが…」
ミネルバ「でもアイツがあの中に閉じこめられてたのは良かったよ…」
アイオテ「そう?…アイツが島を自由にしてたら、ゾンビも少なくなってたかもだよ?」
ミネルバ「けど、それだと、その分アイツはもっと食って強くなってたし、この島に来たばっかりのアタシらじゃ、敵わなかったよ」
アイオテ「ああ…そっか…」
ミネルバ「そうじゃなくてもさ…今のアイオテが狂戦士になって、やっと倒したほど強かったもん…アイオテが居なかったら、アイツに殺されてアタシもエリオットもゾンビよ」
カイル「…それは死ぬより嫌っスね」
ミネルバ「そうよ…いや、むしろアイオテが居なかったら、外周さえ制圧出来てないよ」
アイオテ「そ、そうかなあ…」
ミネルバ「そうよ~」
アイオテ「でもボクだけでも無理だったよ」
カイル「…この後はどうするっスか?」
ミネルバ「どうする?…帰る?」
アイオテ「うーん…ボクは念のため、もう一度島中を見て周るほうがいいと思うの…早く帰りたいけど、それで1匹でも見逃してたらと思うと…エリオットさんに申し訳ないよ」
ミネルバ「そうだね…じゃあまたしばらくぐるぐるしようか」
カイル「オレも最後まで付き合うっスよ…まあ、メシ作るくらいっスけど」
ミネルバ「全然それで助かるよw」
アイオテ「ほんと、エリオットさんが言った通りだね…カイルさんみたいな人が居なかったら戦えないって…」
カイル「それは光栄っスねw」
ミネルバ「アタシら王様から褒美の報酬もらったらさ…カイルにも分けるわね…エリオットもタロンも居なくなっちゃったし」
カイル「スコットとグラハムにもっスね」
ミネルバ「もちろん!」
カイル「オレ、その金でエリオットに立派な墓を作ってやるっス」
アイオテ「…それはボクが作るよ…カイルさんはそのお金で、あとは幸せに暮らしてほしい」
カイル「アイオテくんは…やっぱり勇者っスね…正直言うと、最初は頼りなく思ってたけど…今となっては、正真正銘、立派な勇者っス」
ミネルバ「そうよおw」
アイオテ「え?///…えへへ///」

それからアイオテはエリオットの剣を背中に担ぎ、2人で1年と少しかけて、島中をぐるぐると見回りをした
それでもゾンビは獣や鳥も確認出来なかった
2人は完全に殲滅したと確信し、ロアーヌへと帰る決断をしたのであった
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