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第八章
8-3 魔王
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「アリア、ラウルにも俺たち『魔族』の話をするが、いいか?」
ジャウマさんの言葉に、アリアちゃんは一度目をまん丸にさせる。それから、こくりと無言で頷いた。
「……本当は自分で思い出した方がいいのだが。仕方ないだろう」
セリオンさんがそう言うのは、これから聞くことについて、本当は僕は知っているのに思い出せていないということだろう。そして、僕とは違いセリオンさんたち3人は、自分で思い出したということだ。
戦う力や、獣になる能力だけでなく、記憶までもが、僕は3人に置いていかれている。
僕が一番最後に仲間になったから、その所為なのかもしれないけれど……
でも、ちょっと、なんだか悔しい気がした。
「ああ、そうだな。ラウル、まだお前に話せないこともあるが、そこは承知してくれ」
セリオンさんとヴィーさんにも、確認をするような視線を投げてから、ジャウマさんは改めて僕の方を見て話しはじめた。
「まず、ここは人間の世界だ。そして、ラウルも知っているだろうが『魔族』とは、遥か昔にこことは別の世界から来た者たちだ。そしてその頃『魔族』は、人間とは違う姿と、この世界の生き物には無い魔力を持っていた」
え……? この世界の生き物には、無い?
いやでも魔力なんて、殆どの人間が持っているものじゃないか。
魔力が少ないというならともかく、無いなんてことが、あるのか……?
心の言葉を口には出さず、黙ってジャウマさんの次の言葉を待つ。でも少しだけ、喉が渇いている気がして、ごくりと唾を呑んだ。
「この世界に呼ばれたのは俺たちだけでない。俺たちの世界はこの世界と混ざりあって一つになってしまった。今、俺たちがいるアリアの城、この地も元は俺たちの世界の一部だった。アリアが眠っている間に行ったダンジョン。あれらも俺たちの世界の切れ端だ。そして――」
そこで言葉を止めると、ジャウマさんは少し寂しそうな目で僕を見た。
「そして、俺たちは帰る世界を失った」
ふーっと、セリオンさんが吐いた長く大きなため息だけが部屋に響く。
「人間とは違う恐ろしい獣の姿、人間にはない特別な力。その力を恐れた人間たちは、俺たちのことを『魔族』と呼び、名付けた。この世界の人間たちにとって、俺たちは『招かれざる獣』だったんだ」
獣――
それを聞いて脳裏に浮かぶのは、3人とアリアちゃんが獣になった、あの姿だ……
「そして、この世界の住民に『受け入れられる』為に、『魔族』はある手段によって人と同じ姿を得た。それが『神魔族』だ」
『神魔族』、最初にその言葉を聞いたのは、あの月牙狼に襲われていた村でのことだった。
あの村の食堂のおじさんの息子さんをレイスに変えたのは、おじさんの中にある『神魔族』の力だろうと。おじさんの祖先に――
え……?
「ジャウマさん…… 今、この世界の人間たちは元々は魔力を持っていなかったと言いましたよね。そして『魔族』は魔力をもっていたのだと。……もしかして――」
もしかして、
「……もしかして今この世界の人間たちが持っている魔力とは、元は『魔族』のものなんですか?」
「はっ、やっぱりラウルは頭がいいな」
「お前と違ってな」
ヴィーさんの言葉にセリオンさんが横槍を入れて、いつものようにヴィーさんがセリオンさんを睨みつける。
アリアちゃんはさっきからずっと、俯きがちにしたままぎゅっと握った自分の手を見ている。
「ああ、以前行ったあの村でのオヤジさんの様に、この世界に居る魔力を持った者たちは、少なからず血脈のどこかで『魔族』とつながっている」
「『獣人』は、その内でも獣の姿を持つ『魔族』の特性を多く受け継いだ者たちだ。もう人間とは別の種族となってしまっているが」
セリオンさんが、後ろから言葉を挟む。その言葉の先をヴィーさんが繋いだ。
「ついでに言うと、『魔獣』は元々俺たちの世界に居た野生の獣たちだ。だから『魔獣』は魔力を持っている」
「この世界の人間に近い姿を得た一部の『神魔族』はこの世界に受け入れられた。でも『魔族』の王はそれだけでは納得しなかった。だから力を以てこの世界を統べようとした。これが、俺たちの知る遥か昔の話だ。その『魔王』がどうなったかは、ラウルも知っているだろう」
ああ、知っている。
この世界に住む者なら、子供でも知っている物語だ。この世界を暴力を以て統べようとした『魔王』は何者かによって倒された。
「だが『魔王』はそのうちに復活する」
「え……」
セリオンさんの言葉が、僕の考えを止めた。
「あのダンジョンで『神魔族』に会っただろう? あれも俺らと同じ『神魔族』だが、簡単に言うとあれは俺らの敵だ」
「同じ『神魔族』なのに?」
そう言うと、ヴィーさんはニヤリと笑って言った。
「同じ人間同士だって戦争しているだろう? あれは『魔王』の手下なんだよ」
「私たちは――」
今までずっと黙っていたアリアちゃんの声が、鈴音の様に響く。
「私たちは、力を以てこの世界を統べようとしている『王』の命に背いているのです」
「あいつら『魔王派』に見つかってしまった。これからは積極的に手を出してくるだろう。だから、今までみたいな悠長なことはしていられない。アリアの力を取り戻すのを急いだほうがいいだろう。この先は『黒い魔獣』を積極的に探していく。ラウルもそのつもりで力を貸してくれ」
ジャウマさんの言葉に迷いながら頷く。でも、弱い僕が貸せる力なんて殆どないだろう。
それでも、少しでもアリアちゃんの、そして皆の力になりたいと、自分自身に願った。
ジャウマさんの言葉に、アリアちゃんは一度目をまん丸にさせる。それから、こくりと無言で頷いた。
「……本当は自分で思い出した方がいいのだが。仕方ないだろう」
セリオンさんがそう言うのは、これから聞くことについて、本当は僕は知っているのに思い出せていないということだろう。そして、僕とは違いセリオンさんたち3人は、自分で思い出したということだ。
戦う力や、獣になる能力だけでなく、記憶までもが、僕は3人に置いていかれている。
僕が一番最後に仲間になったから、その所為なのかもしれないけれど……
でも、ちょっと、なんだか悔しい気がした。
「ああ、そうだな。ラウル、まだお前に話せないこともあるが、そこは承知してくれ」
セリオンさんとヴィーさんにも、確認をするような視線を投げてから、ジャウマさんは改めて僕の方を見て話しはじめた。
「まず、ここは人間の世界だ。そして、ラウルも知っているだろうが『魔族』とは、遥か昔にこことは別の世界から来た者たちだ。そしてその頃『魔族』は、人間とは違う姿と、この世界の生き物には無い魔力を持っていた」
え……? この世界の生き物には、無い?
いやでも魔力なんて、殆どの人間が持っているものじゃないか。
魔力が少ないというならともかく、無いなんてことが、あるのか……?
心の言葉を口には出さず、黙ってジャウマさんの次の言葉を待つ。でも少しだけ、喉が渇いている気がして、ごくりと唾を呑んだ。
「この世界に呼ばれたのは俺たちだけでない。俺たちの世界はこの世界と混ざりあって一つになってしまった。今、俺たちがいるアリアの城、この地も元は俺たちの世界の一部だった。アリアが眠っている間に行ったダンジョン。あれらも俺たちの世界の切れ端だ。そして――」
そこで言葉を止めると、ジャウマさんは少し寂しそうな目で僕を見た。
「そして、俺たちは帰る世界を失った」
ふーっと、セリオンさんが吐いた長く大きなため息だけが部屋に響く。
「人間とは違う恐ろしい獣の姿、人間にはない特別な力。その力を恐れた人間たちは、俺たちのことを『魔族』と呼び、名付けた。この世界の人間たちにとって、俺たちは『招かれざる獣』だったんだ」
獣――
それを聞いて脳裏に浮かぶのは、3人とアリアちゃんが獣になった、あの姿だ……
「そして、この世界の住民に『受け入れられる』為に、『魔族』はある手段によって人と同じ姿を得た。それが『神魔族』だ」
『神魔族』、最初にその言葉を聞いたのは、あの月牙狼に襲われていた村でのことだった。
あの村の食堂のおじさんの息子さんをレイスに変えたのは、おじさんの中にある『神魔族』の力だろうと。おじさんの祖先に――
え……?
「ジャウマさん…… 今、この世界の人間たちは元々は魔力を持っていなかったと言いましたよね。そして『魔族』は魔力をもっていたのだと。……もしかして――」
もしかして、
「……もしかして今この世界の人間たちが持っている魔力とは、元は『魔族』のものなんですか?」
「はっ、やっぱりラウルは頭がいいな」
「お前と違ってな」
ヴィーさんの言葉にセリオンさんが横槍を入れて、いつものようにヴィーさんがセリオンさんを睨みつける。
アリアちゃんはさっきからずっと、俯きがちにしたままぎゅっと握った自分の手を見ている。
「ああ、以前行ったあの村でのオヤジさんの様に、この世界に居る魔力を持った者たちは、少なからず血脈のどこかで『魔族』とつながっている」
「『獣人』は、その内でも獣の姿を持つ『魔族』の特性を多く受け継いだ者たちだ。もう人間とは別の種族となってしまっているが」
セリオンさんが、後ろから言葉を挟む。その言葉の先をヴィーさんが繋いだ。
「ついでに言うと、『魔獣』は元々俺たちの世界に居た野生の獣たちだ。だから『魔獣』は魔力を持っている」
「この世界の人間に近い姿を得た一部の『神魔族』はこの世界に受け入れられた。でも『魔族』の王はそれだけでは納得しなかった。だから力を以てこの世界を統べようとした。これが、俺たちの知る遥か昔の話だ。その『魔王』がどうなったかは、ラウルも知っているだろう」
ああ、知っている。
この世界に住む者なら、子供でも知っている物語だ。この世界を暴力を以て統べようとした『魔王』は何者かによって倒された。
「だが『魔王』はそのうちに復活する」
「え……」
セリオンさんの言葉が、僕の考えを止めた。
「あのダンジョンで『神魔族』に会っただろう? あれも俺らと同じ『神魔族』だが、簡単に言うとあれは俺らの敵だ」
「同じ『神魔族』なのに?」
そう言うと、ヴィーさんはニヤリと笑って言った。
「同じ人間同士だって戦争しているだろう? あれは『魔王』の手下なんだよ」
「私たちは――」
今までずっと黙っていたアリアちゃんの声が、鈴音の様に響く。
「私たちは、力を以てこの世界を統べようとしている『王』の命に背いているのです」
「あいつら『魔王派』に見つかってしまった。これからは積極的に手を出してくるだろう。だから、今までみたいな悠長なことはしていられない。アリアの力を取り戻すのを急いだほうがいいだろう。この先は『黒い魔獣』を積極的に探していく。ラウルもそのつもりで力を貸してくれ」
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それでも、少しでもアリアちゃんの、そして皆の力になりたいと、自分自身に願った。
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