ケモ耳っ娘になったからにはホントはモフられたい~前世はSランク冒険者だったのでこっそり無双します~

都鳥

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王都を離れて

ファイブピース・スウィートサマーデイズ(1)(TakeASeat先生ご提供)

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 小説家になろうで『このクソゲーをよろしく ~君、今日からゲームマスターね!と言われたので、ゲームの中を覗いてみたらサ終危機のクソゲーだった件~』を連載中のTakeASeat先生から、『ケモ耳っ娘になったからにはホントはモフられたい』の二次創作話をご提供いただきました~~

 リリアンの冒険者デビュー直後(#8の頃)の、仲間たちとのほっこり話となっております。序盤の話なので、まだ読み進めていない方もどうぞお楽しみください♪

◆登場人物紹介
・リリアン…主人公。前世の記憶を持つ、黒毛の狼獣人の少女。前世では冒険者Sランクの人間の剣士だった。冒険者デビューしたばかりの15歳。
・デニス…王都シルディスの西の冒険者ギルドに所属する、Aランクの先輩冒険者。23歳。
・ニール…冒険者見習いとして活動している自称貧乏貴族の少年。14歳。
・アラン…デニスの後輩のBランクの冒険者。ニールの「冒険者の先生」をしている。
・マーニャ…エルフでBランクの魔法使い。美人で酒に強い。しかも良く食べる。

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~王都シルディス 樫の木亭 ある日の夜~


「ウォーターメロンの収穫時期ってそろそろじゃないか?」

 私、リリアンがエールのおかわりを届けに行くと、デニスさんがジャケットの襟元をばたつかせながらつぶやいた。

「そういえば、もうそんな時期ですね。今朝ギルトに行った時にウォーターメロンの収穫クエストを募集してたので、ちょうど今が旬ではないでしょうか?」

 ワイングラス片手にアランさんが涼しい顔でそう答えた。ウォーターメロンは夏になると王都近くに群生する緑と黒の縞模様が入った果実である。満月のように真ん丸なその実を割ると断面は赤く、黒い種がまばらに入っている。果肉は甘くてジューシーで、通常はデザートとして食されている。

 デニスさんがアランさんの言葉を聞くと、何を思ったのか急に立ち上がった。

「よしっ! リリアン、明日はそのクエスト受けに行くぞ!」

 デニスさんの突拍子もない提案を聞いて、私は思わず眉間にシワを寄せた。

「え、何でですか? 明日はワイバーンを狩りに行く予定でしたよね? そのついでにモーアも狩って来るんですよね?」
「急にウォーターメロンが食べたくなった。旬の果実を逃す訳にはいかないだろ?」
「で、でも、さっきトムさんとモーアの肉を樫の木亭に持ってくる約束してたじゃないですか――」

 トムさんは樫の木亭の店主だ。狩ってきたモーアの肉をおすそ分けすると美味しい焼き鳥を振舞ってくれる。

「トムさん、そんなわけで明日はモーアを持ってこれなくなった! 代わりにウォーターメロンをたんまりと持ってくるから楽しみにしててくれ!」
「お、もうそんな時期か! 楽しみにしてるぞ!」

 デニスさんとトムさんの間でそんな約束が交わされ、私はため息をついた。反論する間もないまま、デニスさんに外堀から埋められ、あっという間に明日のウォーターメロン狩りが決定事項となってしまった。

 私がウォーターメロン狩りに否定的なのはいくつか理由があった。ひとつはウォーターメロン狩りのクエストの難易度はFランクのため、さほど経験値が貯まらない。Cランクのワイバーン狩りとは獲得経験値に天と地ほどの差があった。早く冒険者ランクを上げたいから態々わざわざデニスさんに同行を頼んだのに、これでは意味がなくなってしまう。

 そして、ふたつ目はウォーターメロンが嫌いだからだ。前世でウォーターメロンを食べて以来、その青っぽい生臭さが好きになれなかった。今世ではウォーターメロンを口にしたことはなかったが、獣人になって嗅覚が鋭くなった今、今更食べる気にはならなかった。

 夕方に済ませておいた荷造りをやり直さないといけないと思うと、自然とため息が出た。





「おう、リリアン。こっちだ」

 翌日の朝、冒険者ギルドに着くとデニスさんがこっちに向かって手を振っているのが見えた。

「おはようございます、デニスさん――ってなんでニールがいるの!? それにアランさんとマーニャさんまで!?」

 デニスさんの隣には、笑顔で「おはよう」と言うアランさんとマーニャさん。そして、大きなマジックバッグを背負ったニールがいた。

「昨日アランとマーニャには声をかけておいたんだ。あとニールも連れて来いってな」
「ウォーターメロン狩りってFランククエストですよね? デニスさんと私のふたりで十分こなせるんじゃないですか?」
「いや、このクエストには三人とも必要なんだ……」

 そうつぶやくデニスさんの顔が急に引き締まった。

 このメンバーであれば、Aランクのクエストをこなすことさえ可能である。それにもかかわらず、デニスさんは突然Fランククエストを受けることを決め、メンバーを追加招集した。これらの行動には何か裏があると思わずにはいられない。それはデニスさんの真剣そうな表情からも察することができた。

 農作業なのでクローは家に置いてこようか迷ったが、持ってきて正解だったなと思い直した。





 王都から西へ二時間ほど歩くと、ウォーターメロンの群生地に到着した。真っ平らな盆地を覆うようにして生い茂る深緑のツタ。そしてそのツタの間には、大小様々な縞模様の果実が実っているのが見て取れる。ツヤがあり、まるまると太ったその実は今が収穫時期であることを主張しているかのようだった。

「直径が30cm以上で、縞模様の濃淡がくっきりとしているものを選ぶんだ。頭上部分がへこんでいると尚いい」

 デニスさんはそう言いながら、足元にあったウォーターメロンを持ち上げて見せる。クエストで依頼された収穫量は50個である。私たちが個人的にたしなむ分を含めると60個は確保したいところだった。

 私は目ぼしい実を片っ端からノックしていく。すると、いずれの実も「ボンボン」と弾んだ音が返ってくる。

「俺、昨日下調べしてきたんだけど、食べ頃に熟れたウォーターメロンは”ボンボン”という音がするらしい。今リリアンが叩いたやつなんて良さそうじゃないか!?」

 ニールが得意げに口を挟んできた。

「うーん、食べ頃のものを収穫すると、王都に戻って皆の食卓に行き渡る頃には熟れすぎになっちゃうでしょ? クエストの場合は少し未熟のものを選ぶものなのよ」
「そ、そうなのか……」
「うん。”ポンポン”ともう少し高い音がするものを――」
「お、リリアン。それ良さそうだな!?」

 私がニールに説明している脇から、デニスさんが口を挟んだ。

「え、でもギルドに納めるには少し熟れすぎ――」
「これでいいんだ。ちょっと借りていくぞ。ふたりはクエストの収穫分を確保しておいてくれ」

 デニスさんはそう言うと、ウォーターメロンを抱えて、アランさん、マーニャさんと一緒に森の中へ入っていった。私はその様子を見て疑心暗鬼してしまう。やっぱり私たちに言えない事情が何かあるんだ。まさか秘密裏に別のクエストを受けているのだろうか――

 私の横でニールが自らの目利きの正当さを語っていたが、全く耳に入ってこなかった。

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 物語は次回へ続きます。どうぞお楽しみに!

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『このクソゲーをよろしく ~君、今日からゲームマスターね!と言われたので、ゲームの中を覗いてみたらサ終危機のクソゲーだった件~』(TakeASeat先生)

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