ケモ耳っ娘になったからにはホントはモフられたい~前世はSランク冒険者だったのでこっそり無双します~

都鳥

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討伐隊選出

102 再会(2)

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◆登場人物紹介(既出のみ)
・リリアン…主人公。前世(前・魔王討伐隊『英雄』のアシュリー)の記憶を持つ、黒毛の狼獣人の少女。転移魔法や姿を変える魔法を使う事が出来、人間の騎士の姿に扮する時には『リリス』と名乗っている。
・ニール(ニコラス)…前『英雄』クリストファーの息子で、現国王の甥。正体を隠して冒険者をしている。
・シアン…前・魔王討伐隊の一人で、Sランク冒険者(実力はSSランク)。デニスの兄貴分。ずっとアシュリーに想いを寄せていた。
・デニス…Sランクの実力を持つAランクの先輩冒険者。リリアンに好意を抱いている。
・アラン…デニスの後輩の冒険者。騎士団に所属しながら、ニールの「冒険者の先生」をしている。

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「ひっでーや…… 皆で俺をだましてたんだな……」
 ニールががっくりと項垂うなだれた。
「ごめんねぇ、ニール。元はそんなつもりじゃなかったんだけどさ。でもニールに話したら、一緒に行きたがるでしょう?」

 これは本当だ。連れて行ってもらいたがりのニールが、旅の話を聞いて黙っているわけはない。
「うーー……、そりゃあ、俺も皆と一緒に行きたい……」
 ニールは否定をせずに、ねたように唇を尖らせた。
「で、アランに相談したら、それならめいっぱい突き放してから出ていってほしいって言われたんだよ」

 シアさんが言ったのも本当だ。ただ、どのようにまでとは決めていなかったし、私たちが王都を出た後でも、三日おきに――女性騎士にふんした私――がニールの特訓を手伝うと、そこまでの話を付けた上でだった。
「でも結果的には、ちゃんと将来を見定める事ができたじゃないですか。特訓にも身が入りましたし」
「うっ…… そうだけどさ、でもなぁ……」

 そうそう簡単には機嫌の直らないニールの背中を、バンバンとシアさんが叩いた。
「ニール、特訓すげえ頑張ってたそうじゃないか!! どうだ? ちったあ強くなったか?」
「ま、まあなーー」
 人の良い笑顔を向けられて、つられるようにニールもねてた顔を緩ませた。

「俺たちもだいぶ強くなったんだぞ」
「ええーー?! そういや、今までどこで何してたのさ!? 聞かせてくれよ!!」
 ニヤリと自慢げな笑みを見せるデニスさんの言葉に、すっかり以前のニールに戻った。

「また夜にでもな。今日はまず冒険者ギルドに行って報告をしてこないと。それでアランを呼びに来たんだ。ちょっと付き合ってくれ」
 アランさんに目配せをしながら席を立つデニスさんに、合わせるようにシアさんも席を立つ。
「俺も王城に報告に行ってくるわ」
 ひらひらと手を振りながらシアさんが二人に続いて店を出ると、テーブルには私とニールだけが残された。


「リリアンはどうするんだ?」
 ニールがテーブルに身を乗り出す様にして、こちらに話し掛けてきた。

 本当にさっき王都に帰って来たばかりの身だけれど、家の事はメイドゴーレムのアニーがしっかりとこなしてくれているので、別に片付ける物もなければ、洗濯をする必要もない。
 今朝まで仙狐せんこの住処でゆっくりとしていて、転移で跳んで帰って来ただけだから、疲れなども全くない。
 先王ケヴィン様へは、むしろリリスの姿で三日おきにお会いしていたので、わざわざ今日報告するような事もないし、シアさんに任せておけばいいだろう。

「今日は特に用事はないかな」
 そう答えると、ニールがいつものキラキラしたような目になった。
「じゃあ、ちょっとクエストにでも行かないか?」
「今から? そんなに時間あるかなぁ?」
「近場の簡単なクエストだったらいいだろう?」

 首をひねる私に、ニールがさらに食い込んでくる。いつもはデニスさんたちと、高ランクのクエストに行きたがるのに、どうしたんだろう?
 そう思いながらも、首を縦に振った。


 ニールと冒険者ギルドに行ったけど、近場で簡単に出来そうなクエストはグース狩りくらいだった。
 寒くなるこの季節に受けられる依頼はとても少ない。野原で採取できる薬草などは育ちが悪いし、虫や小動物たちも大抵は身を潜めてしまっているからだ。
 だから、グース狩りでも受けられるクエストがあったのは運が良かったのかもしれない。

 でもグース狩りのランクはFで、見習いのニールでも一人で受けられるような簡単な依頼だ。
 だから、わざわざ私と一緒に受けなくてもいいのだけれど、どうやらニールにとってはそこが問題ではないらしい。

 「リリアンたちが居ない間にさ。俺もたっくさん練習したんだ。剣もだけどさ、弓もだいぶ上手くなったんだぜ」

 そういえば、いつだかモーア狩りに行った時には、ニールはまだ弓の練習をはじめたばかりで、アランさんにもさんざん怒られていた。
 そうか、上達した様子を私に見せたいんだ。なんだかニールらしいなと思ってくすりと笑うと、なんだよーと不満げな口調で、でも嬉しそうな顔でニールが言った。


 王都からさほど歩かぬ距離にある大きな湖が、目的の狩り場だ。
 このクエストは、半獣化すれば私一人でも簡単に終える事ができる。でも、えてそうはせずに私も弓を持った。

 リリスとして教えた、一度に何本も矢をつがえる射法も、飛び上がったグース動く的を射るコツも、見事にこなして見せたニールは、私に向かって得意げに笑ってみせる。
 クエストに必要な10羽と別に、お土産にとさらに3羽狩った。こうしてお土産を獲って帰る事も、言わなくてももうわかっている。あの頃のニールとは全然違う。

 ここしばらくの間はリリスとしてニールをずっと見ていたはずなのに、こうしてリリアンとして彼の横に立って初めて彼のもう一つの変化に気が付いた。

「そういえば、ニール、背が伸びた?」
 そう訊くと、まあなと嬉しそうに言った。
「俺も、もうすぐ15歳になるからさ」
 うん、知っている。そしてニールの誕生日の数日後には、次の闘技大会が開かれる。私たちは、それに間に合うように王都に戻って来たんだから。

「誕生日のお祝いしないとね」
 そう言うと、ニールの顔がパーーッと明るくなった。
「ホント!? 俺、友達に誕生日祝ってもらった事ないんだよ。楽しみだな」
「ケーキも用意しないとね」
「3段に重ねたでっかいケーキがいいな!」
「そんなに食べきれるの??」
「デニスさんとマーニャさんが居ればあっという間だろう?」
 ニールがお道化どけたように言ってみせるもんだから、それもそうだねと一緒に声を上げて笑った。

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(メモ)
 ケンカ別れ(#85、#91)
 モーア狩り(#3)
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