隻腕の剣士は魔具と共に

竹桜

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第五十話 妹

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 あれから1ヶ月が経った。

 今日はカーシャと一緒に歩いている。

 隣を歩いているカーシャは真偽瞳を隠す魔法具をつけている。

 「無事に買えて良かった」

 「ん。前から欲しかった」

 そう言い、カーシャは店で購入した紙袋を抱き締めていた。

 ちなみに、カーシャが抱き締めている紙袋の中には熊のぬいぐるみが入っている。

 まぁ、纏めるとカーシャが可愛いということだ。

 (小僧は自身の婚約者達のことになると偶にバカになるよな)

 (し、仕方無いだろ。可愛いからな)

 (まぁ、今に始まったことではないから慣れたが)

 こんな会話をしているとカーシャは嬉しそうな表情を浮かべていた。

 か、可愛い。

 可愛いカーシャのことを眺めているとある馬車とすれ違ったのだ。

 いつもならただ通り過ぎるのだが、何故か止まった。

 その瞬間、私は警戒した。

 まさか、あの暴徒達か?

 そんな疑問が頭を巡ったが、馬車から降りてきたのは少女だった。

 その少女は高そうな服に身を包んでいる。

 そして、その少女はカーシャの方だけを見続けていたのだ。

 だが、何処かカーシャに似ている気がする。

 そんなことを思っているとその少女は口を開いたのだ。

 「お、お姉ちゃん」

 お姉ちゃん?

 そんなことは。

 そう思いながら、私はカーシャの方を向いたが、信じられないような表情を浮かべていたのだ。

 「ま、まさか、リニ?」

 「はい、お姉ちゃんの妹のリニです」

 どうやら、本当にカーシャの妹みたいだ。

 「やっと会えました。これからお姉ちゃんは何か用事はありますか?」

 「無いけど」

 そう言い、カーシャは私の方を向いてきた。

 私は頷いて答えた。

 「ありがとう、お姉ちゃん。ここだとゆっくり出来ないので、移動しましょう。そちらの方もご一緒にどうぞ」

 私達がカーシャの妹に案内されたのは個室のカフェだった。

 注文した飲み物が到着してからカーシャの妹が話し始めたのだ。

 話を纏めるとカーシャの妹は既に独り立ちし、家族との縁を切ったみたいだ。

 商人として様々な場所に行き、生き別れたカーシャのことを探していた。

 そして、再会したのだ。

 全てを聞き終わった後、カーシャはこれまでのことを話した。

 全てを聞き終えたカーシャの妹は信じられないような表情を浮かべていたのだ。

 「つ、つまり、お姉ちゃんは隻腕の剣士の婚約者ということ?」

 「ん」

 そう言い、カーシャは頷いたのだ。

 それを聞いたカーシャの妹は何かを呟いていた。

 それは聞き取れない。

 折角、出会えたのだ。

 家族に。

 だから、私は。

 「リニ嬢。これは私からの提案なんのです」

 「どんな提案なのですか?」

 「カーシャと一緒に暮らしませんか?」

 私の提案にリニ嬢は目を輝かせていた。

 それから私はリニ嬢と話し、最終的にカーシャの許可を得たのだ。

 これから、カーシャはリニ嬢の屋敷で2日程暮らすことになった。

 送り迎えは私達がする。

 それにはリニ嬢も直ぐに賛同した。

 まぁ、仮にも王者決定戦の優勝パーティーだからな。

 その日はカーシャはリニ嬢と一緒にいるみたいなので、リニ嬢の屋敷まで送り届けた。

 送り届けた後、私は家に帰り、あったことを話したのだ。

 それを聞いたシェリル達は嬉しそうな表情を浮かべていた。
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