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最終話 隻腕の英雄
しおりを挟む際限無き欲を倒してから半年が経った。
そんな日に私は正装に身を包んで、待合室にいる。
まさか、あの時の映像が世界に流されていたなんて。
最悪だ。
本当に。
そのせいで、私は父上の後を継ぐことになってしまった。
隻腕の英雄と有名になってしまったからだ。
しかも、私に譲ったのだ。
だから、断る理由が無い。
あ、そうそう。
冒険者ギルドはやめた。
色々と干渉してきたので、面倒になったから。
そうだ。
正室がエシアになったのだ。
私はシーグス王国の次期国王になる。
だから、元王女のエシアの方が色々と都合が良い。
そして、側室にカーシャ、エシア、シェリルに。
これには本人達の了承を得ている。
カーシャは筆頭公爵家の次期当主の婚約者の妹がおり、エシアは男爵の養子に入っている。
だが、シェリルだけは違う。
ただの平民なのだ。
彼女達はそんなことは気にしてなかった。
まぁ、無事に結婚式を迎えられたからいいか。
そんなことを思っていると時間になった。
最終確認を終えた私は会場に向かったのだ。
会場で少し待っていると鐘がなった。
その鐘と共にウェディングドレスに身を包んだ愛する者達とその家族にエスコートされ、入場してきたのだ。
1番最初に来たのはエシアとマーシア嬢だった。
「お姉様のことをよろしくお願いします。私も支えますから」
そう言い、マーシア嬢はエシアのエスコートをやめ、離れていった。
次に来たのはカーシャとリニ嬢だった。
「お姉ちゃんのことをお願いします。もし、幸せにしなかったら、許しませんから」
そう言い、リニ嬢もカーシャのエスコートをやめ、離れていったのだ。
その次に来たのはツーヤとツーヤの叔父さんだった。
「ハーグ殿。どうか、姪のツーヤを頼みます」
そう言い、ツーヤの叔父もツーヤのエスコートをやめ、離れていったのだ。
最後に来たのはシェリルと父上だった。
「幸せになれ、息子よ」
そう言い、父上もシェリルのエスコートをやめ、離れていったのだ。
それから、私はシェリル達のことをエスコートし、神父のところまで向かった。
神父の前に到着すると結婚式は始まったのだ。
結婚式は順調に進む。
ちなみに、シェリルの元家族は関係者では無いので、客人として招かれている。
結婚式は誓いまで進んだ。
シーグス王国では神に誓うのだ。
一生涯守ると。
男が。
「ハーグ・シーグスの名において誓う。我が身、我が魂、我が信念を掛けて、一生涯守り続けると」
誓いが終わると同時に祝福の拍手が会場を包んだ。
そんな祝福を受けながら、私は会場の外に出た。
会場の外にはシーグス王国の国民達がいる。
そんな中、私は魔具の漆黒の義手を空に向かって上げ、握ったのだ。
すると、国民達は歓声を上げた。
溢れんばかりに。
愛する者達はそれに手を振って答えている。
その時、何故かシェリルが気になったのだ。
その時、自然と漆黒の義手に目が行く。
あの時。
私は出来なかった。
隻腕だったから。
だが、今は。
そう思い、私はシェリルに近付いたのだ。
いきなり近づいてきた私にシェリルは不思議そうな表情を浮かべていたが、私は了承無しにシェリルをお姫様抱っこしたのだ。
いきなり、お姫様抱っこされたシェリルは真っ赤になっていた。
「え、えっ、ハーグ?」
「シェリル。私は隻腕だったから、お姫様抱っこを出来なかった。だけど、これからは出来る」
「そうだね、あの時は確かに出来なかった。でもね、それは僕だけじゃなくて、後でカーシャ達にもしてあげてね」
「当たり前だ」
「なら、いいよ。ハーグ、僕、今がとても幸せだよ」
そう言い、シェリルは幸せそうに微笑んでいたのだ。
そんな表情を浮かべた後、シェリルはカーシャ達の方を向いた。
「これからもよろしく、ハーグ」
「ハーグさん。これからも私達のことをよろしくお願いしますね」
「オレ達のことを幸せにして下さい、ハーグさん」
そう言い、カーシャ達も幸せそうに微笑んでいたのだ。
「ああ」
そう言い、私も幸せそうに微笑んでいただろう。
実際に幸せだったからだ。
幸せを噛み締めていると音が聞こえた。
音が聞こえたのは私の目の前だったのだ。
音の主を見た私は驚いてしまった。
だって、漆黒の騎士がいたからだ。
そして、それは私にしか見えてない。
近くにいるシェリル達が気づいていないからだ。
漆黒の騎士は言葉を発すること無く、ただ頷くだけだった。
私も言葉を発さず、ただ頷いた。
頷いた後、漆黒の騎士は愉快そうに笑い、消え去ったのだ。
私の戦友よ。
どうか、私達を見守っていてくれ。
私の人生を。
自分の心に従い、悔いなき選択をする。
そして、満足しながら死ぬ。
それまでよろしく頼む。
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