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何度生まれ変わっても
しおりを挟むクラメリア王国である大事件が起きてしまった。
この国の第1王女であり、現国王の愛娘であった、ユリナ・クラメリアが、王宮内で、不幸の事故で亡くなってしまった。
現国王は、怒り狂い、その場に居なかった第1王女の婚約者に、罰を与えた。
その罰は、あまりにも酷いものだった。
国外追放と呪いというものだった。
この呪いに、掛けられた者は、二度とクラメリア王国の土地を踏むことが出来なくなってしまう。
もし、この呪いを受け、クラメリア王国の土地を踏んでしまうと、体に激痛が走り、体を徐々に崩れてしまう。
そして、最後には、塵となって、何も残さず消えてしまう。
それを知りながら、その婚約者は、全てを受け入れた。
その婚約者は、現国王と約束をしていたのだ。
第1王女を守り抜くと。
その婚約者が、関係無いところで起きた不幸の事故なのに、約束を守れなかっと、受け入れたのだ。
そして、その婚約者は、呪いを掛けられ、国外追放された。
その事件から、10年後。
クラメリア王国から、遠く離れた村に、右半身に呪いを受けた男が、大量のひまわりを持って、なにかの準備をしていた。
何かの準備を終えた男は、覚悟を決めた表情を浮かべて、何かを起動された。
すると、男がいた部屋は、光に包まれた。
男は、何処かの綺麗な丘に着いた。
着いた瞬間、男の体には、激痛が走った。
男は、激痛に耐えながら、体を少しずつ崩しながら、頂上を目指した。
頂上には、誰かの墓が、あった。
男は、持ってきた大量のひまわりを墓の前に置いた。
男は、その墓の前に、膝を着いた。
「すまない、ユリナ。来てしまうのが、遅くなってしまって」
そう言い、男は、墓に頭を下げた。
「これだけのひまわりを準備するのに、結構掛かってしまったよ」
そう言い、男は、微笑んだ。
「999本のひまわりを準備したよ。ユリナのために」
「分かってるよ。私は、ユリナのことを守れなかった男だ。でも、信じて欲しいんだ。私は、ユリナのことを愛していた。この世界の誰よりも」
男は、墓に問いかけるように。
「知ってる?ひまわりの花言葉を。多分、ユリナのことだ。ひまわりの花言葉は、知っていると思うよ。だけど花言葉は、本数によって変わるんだよ」
「気になると思うけど、私には、もう時間が無いんだ。次に、会った時に教えるよ」
男は、居るはずが無い亡き第1王女と目を合わせた。
「私は、今までもこれからもユリナのことを世界で1番愛している。また、会おう」
そう言い、男は、微笑んだ。
微笑んだと同時に、体が崩れた。
崩れたかけらは、塵となり、風に吹かれ、何処かに消えてしまった。
男が身につけていたものも消えた。
墓の前に置かれた999本のひまわりしか残らなかった。
その1時間後に、愛娘の婚約者に呪いを掛け、国外追放にした元国王がやってきた。
元国王は、愛娘の墓の前に置かれた999本のひまわりを見つけた。
元国王は、それが、誰のものか理解した。
元国王は、膝から崩れ落ちた。
「すまない、すまない、すまない、ユリナ、すまない、すまない、レアカ。わ、儂は、なんてことをしてしまったのだ」
元国王は、愛娘に懺悔するように、愛娘の元婚約者に懺悔するように、言葉を繰り返した。
突然、元国王の体を風が包み込んだ。
国王には、生きているはずが無い愛娘の声が聞こえた。
「お父様、そんなに、自分のことを責めないでください。今回は、幸せになれなかったけど、また、レアカと一緒に、幸せになるから、大丈夫だよ。最後に、長生きしてね」
元国王は、泣いた。
例え、ここが、人通りがある場所でも泣いただろう。
元国王は、愛娘の優しさに触れた。
数分泣いた元国王は、立ち上がり、涙を拭き、何かを覚悟した表情を浮かべて、愛娘の墓から背を向けた。
その後、元国王は、クラメリア王国の発展に尽力した。
そのため、素晴らしき王と言われたが、本人は、否定し続けた。
最後の最後まで、働き続けた。
90歳になったある日に、仕事椅子に座りながら、逝ってしまった。
その時の表情は、とても穏やかなものだった。
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