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第五話 復讐
しおりを挟む私は、魔法で空を飛び、中央広場の上空で止まった。
そこで、別の魔法を唱えた。
すると、王家の人間が、中央の広場に現れた。
王家の人間は、突然のことに唖然としていた。
私は、魔法で、王都中に届けるために、拡声の魔法を使った。
「王家は、私からの全てを奪った。手柄を、故郷を、家族を、愛する者を。だから、罰を与えよ。罰は、私の故郷を蹂躙した通りに。女は犯せ、男は拷問しろ。この大罪人達に、罰を与えない者達は、同じ目に会うとしれ」
王都に住む者達は、自らが助かる為に、王家の者達を蹂躙し始めたんだ。
まずは、高価な服や高価な装飾品を剥ぎ取った。
次は、生まれたままの姿になった王家を拘束具に拘束させ、逃げられないようにした。
その後は、王妃や王女達は犯され、王や王子達は死なないように拷問を受けた。
特に、私から手柄を奪った王子は、念入りに拷問されていた。
拘束されている王家の者達は、悲鳴を上げることしか出来なかった。
私は、心残りを片付けるために、転移の魔法を使って、ある場所に移動した。
到着した場所には、メイド服を着た女性と、ベッドで、安らかに眠っている少女がいた。
メイド服を着た女性は、私に気づいて、一瞬驚きの表現を浮かべた後、頭を下げた。
「勇者様のお怒りは充分承知しております。ですが、どうか、妹の命だけは、助けて頂けませんか?」
「顔を上げてくれ、ソーリン。ソーリンは、私を最後まで勇者と言ってくれた。だから、殺すことはない。この王都から逃がすために来たんだ」
私は、ソーリンの妹の治療と、お金を渡した。
「勇者様。最後のお願いが御座います。どうか、生まれて間もない子供だけでも助けて頂けませんか?」
生まれて間もないか。
確かに、その子供達には、罪は無いな。
「分かった、ソーリン。1歳以下の子供は、この国中の孤児院の前に転移させる。それでいいか?」
ソーリンは、頭を下げて、答えた。
王都にいる1歳以下の子供達を転移の魔法で移動された後、ソーリン達を住みやすい国に転移された。
これで、後は、全員殺すだけだ。
一旦、中央広場に戻るか。
中央広場に戻ると、王家の者達は、見るも無残な姿に変わり果てていた。
私は、変わり果てた王家の者達を見た後に、王都の者達を見た。
王都の者達は、これで許されると顔に出ていた。
「なんでこれで許されて思っているんだ。お前達も同罪だぞ。そもそも、私は、許すなんて一言も言ってないぞ」
様々な魔法陣を展開した。
「さて、復讐の時間だ。出来る限り、苦しんで死んでくれ。この王都から誰一人逃しはしない」
許されないと知った王都の者達は、悲鳴を上げながら、逃げ始めた。
だが、この王都から出ることは出来ない。
王都の中を逃げ惑うしかないのだ。
私は、様々な魔法を王都中に唱えた。
ある者は、復讐の炎に焼かれ、ある者は、空から降り注ぐ岩に押し潰され、ある者は、意思がある水に溺死させられ、ある者は、魔法によって倒壊した建物に下敷きにされた。
誰も彼もが、苦しみながら、息絶えた。
この日、王都は蹂躙された。
そして、その蹂躙は、1日中続いた。
復讐を誓った元勇者の手によって。
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