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第二十三話 生贄

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 あれから、日が経った。

 あと1日すれば、父上は、王城に着くことだろう。

 そんなことを思っていると、シャドーアサシンから、連絡がきた。

 10人ぐらいの人間が、接近してきていると。

 私は、シャドーアサシンに、手出し無用と命令した。

 そのことを近くにいたセレリア達に話した。

 今度は、私だけで、対応することを伝えた。

 その代わり、セレリア達は、近くの部屋のドアから、見るようだ。

 シャドーナイトの装備をきて、玄関で、待っていた。

 シャドーアサシンから、また報告が来た。

 1人を残し、他の者は、帰ってしまったらしい。

 どうゆうことだ?

 疑問に思っていると、玄関のドアが開いた。

 玄関のドアには、ドレスを着た少女が立っていた。

 私は、その少女を見て、驚きを隠せなかった。

 だって、彼女は、私の元婚約者だからだ。

 私の元婚約者は、体を震わせ、真っ青な顔のまま、玄関の中央まで歩いた。

 マリネは、「わ、私の名前は、マリネ・フレシャーと言います。く、黒騎士様」

 私は、マリネに近付いた。

 マリネは、私の足音が聞こえるたびに、体を震わせていた。

 私が、眼の前まで来ると、マリネは、下を向いた。

 私は、シャドーナイトの装備を外した。

 私は、出来るだけ優しい声で、「マリネ、大丈夫だ」

 マリネは、顔を上げて、驚きの表情を浮かべた。

 「えっ、ニース?な、何で生きているの?ううん。そんなことどうでも良い。良かった生きていて」と言い、マリネは、涙を目に溜めながら、抱きついてきた。

 私は、そんなマリネを抱きしめ返した。

 マリネは、顔を上げ、私に何かを聞こうとする前に、「ニース。その人とは、どんな関係だったの?」と、後ろから声が聞こえた。

 私とマリネは、後ろを向いた。

 後ろには、セレリア達が立っていた。

 そして、セレリア達は、マリネに警戒の視線を向けていた。

 「あー、マリネは、私の元婚約者だ」と、答えた。

 「ニース。えっと、彼女達は?」と、マリネが、聞いてきた。

 「マリネ。彼女達は、私の恋人だ」と、答えた。

 マリネは、驚きの表情を浮かべ、セレリア達の方を見ていた。

 私は、「色々と聞きたいと思うけど、長くなるから、座って話そう」

 私は、セレリア達とマリネをつれて、中庭の東屋に向かった。

 私は、シャドーナイトの装備を外し、紅茶を淹れ、セレリア達とマリネと私の前に置いた。

 椅子に座り、私は、これまでのことを話し始めた。

 元弟に殺され、アンデットになり、セレリアと出会い、リタと出会い、サリラと出会い、恋人になったことを。

 そして、その時に、リタが、悪魔だということと、サリラが、堕天使だということを伝えた。

リタとサリラは、証拠として、幻術の魔法具を外し、本来の姿を見せた。

 マリネは、驚きを隠せていなかった。

 「そんなことがあったんですね。そ、それで、ニースは、私とまた婚約を結んでくれますか?」と、マリネは、

 「マリネ。私は、アンデットだ。寿命が無くなった存在だ。だから、マリネは、人間と幸せになってくれ」と答え、優しい表情を浮かべた。

 「そ、それは、そうですね。ニース。どうか、セレリアさん達と幸せになって下さい」と言い、マリネは、少し寂しそうに微笑んだ。

 「ありがとう、マリネ。そして、済まなかった。あの約束を守れなくて」と言い、頭を下げた。

 マリネは、「仕方ないですよ。ニースは、何も悪くない。悪いのは、全て第2王子様だから」

 
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