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第二話 革命
しおりを挟むあれから私とクラーラさんの関係は変わってないが、状況は変わってきた。
それは革命軍が現れたのだ。
革命軍は邪悪に落ちた異世界人を倒すことを掲げ、領主の屋敷を襲い始めたのだ。
頭がいいのか分からないが、最初に襲撃したのは戦闘能力を持たない異世界人だった。
その襲撃が成功したことで影響力を持ち、どんどん戦力を増やしていったのだ。
国王陛下はこの事態をどうにかしようと手を打ち始めたが、全く意味をなさなかった。
5回目の襲撃が成功した翌日の空に浮かんだのだ。
映像が。
その映像に映りだされたのは若い男だった。
その男は革命軍参謀と名乗り、話し出したのだ。
「我々は異世界から異物を無くすために戦う。例え、この国の危機を救ってくれた元英雄だとしても」
異物か。
確かにそうかもな。
私達は異物だ。
だが、私達は望んでこの世界に来たわけではない。
「だが、我々は1人だけは殺さない。そのい、いや、異世界人の方は邪悪に落ちず、今でも食料支援や農業の知識を広めている。今でも英雄だからだ」
私のことか。
「さて、我々はこれで失礼する」
そういい終えると空に浮かんでいた映像は消えたのだ。
今までのことが報われたという形なのか?
私はただ力を活かしただけだというのに。
そんなことを思っているとノックも無しに部屋の扉が開けられたのだ。
私は驚きながらも扉の方を向いた。
開けられた扉には凄く嬉しそう表情を浮かべていたクラーラさんがいたのだ。
「凪さん、やりましたね」
「ク、クラーラさん。取り敢えず、落ち着いてくれ」
「えっ、あ、ごめんなさい。凪さんが革命軍に狙われ無くなったのが嬉しくて」
「クラーラさん。私の為に喜んで下さってありがとうございます」
「いえいえ。わ、私はただ凪さんのことが」
クラーラさんが続けようとした言葉は初老の男の声で遮られたのだ。
「失礼します、当主様。面会希望の方が」
「分かりました。応接室に通してください」
そう言い、クラーラさんは喜びの表情から当主の表情に変わったのだ。
「それでは、凪さん。また後で」
そう言い、クラーラさんは応接室に向かった。
クラーラさんは何を言おうとしていたのだろう。
次に機会があれば、聞いてみるか。
そんなことを思っていたが、それは聞けなかった。
それからこの領に様々な者が面会に来るようになったのだ。
ある者は商談の為に、ある者は保護を求める為に、ある者は食料に関する話をするために。
その話を受けるかどうかはクラーラさんに任せるしか無かった。
私は農業することしか出来ないから。
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