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第三十八話 切り札
しおりを挟む俺は短剣を抜き、短剣を高く掲げた。
「衛星兵器、撃ち方用意」
すると、宇宙に衛星兵器が現れた。
そして、短剣を勢いよく下に下げた。
「霊亀に向かって、撃て」
すると、衛星兵器は様々な鉄で出来た1つの杭を撃った。
その杭は大気圏を突入した。
その姿はまるで流星のようだった。
大気圏を突破した杭は霊亀に向かって、自由落下していく。
その杭は確実に霊亀に近付いていく。
そして、杭は霊亀の甲羅に吸い込まれた。
弾着するのと同時に物凄い衝撃と音が発生した。
衝撃と音は5キロ離れているここにも伝わってきた。
俺の切り札。
衛星兵器。
前世では抑止力の1つの兵器だったがまさか、使えるとは思ってなかった。
今、霊亀の周りは煙で見えなくなっていた。
煙は徐々に晴れ、霊亀の姿を現した。
ま、まさか、効かなかったか?
いや、違う。
甲羅を破壊している。
そして、甲羅の先の肉が見えている。
よし、これで倒せる。
俺は右手で霊亀を指差した。
「全隊に告ぐ。甲羅が壊れ肉が露わになっている場所に向かって、撃て、撃て、撃て、撃て、撃ちまくれ。何でも良い、撃ちまくれ。霊亀を倒すまで」
全ての兵士達が全ての火器を撃ち始めた。
兵器に乗っている乗組員達は最低限の人数を残し、兵器の外に出てきて、個人携帯火器を使用し、撃ちまくっている。
全火力が破壊された甲羅から見えている肉体に集中した。
その攻撃は10分続いた。
だが、突然兵士達は撃ちやめたのだ。
霊亀が生きているのに。
何だと思いながら、よく霊亀を見てみると核らしき物が丸見えになっていた。
そして、兵士達は全員俺の方を向いていた。
そういうことか。
俺がとどめをか。
分かった。
良いだろう。
俺が終わらそう。
俺はホルスターからリボルバーを抜いた。
そして、俺はリボルバーを霊亀の核に狙いを定めた。
「済まないな。真なる神獣、霊亀。私にも守りたい者がいるんだ。人間らしく、自分勝手だろ。私は霊亀、お前のことを忘れない。もちろん、ベヒーモスもクラーケンもドラゴンのこともだ。君達神獣は生きようとしただけだと。では、さらばだ。霊亀」
俺はリボルバーの引き金を引いた。
発射された銃弾は霊亀の核に吸い込まれていく。
そして、銃弾は霊亀の核を貫通した。
核を貫通させられた霊亀は静かに海に沈んでいく。
霊亀が沈んだところには新しい島が出来たみたいに新たな陸が出来上がっていた。
俺だけに聞こえた。
霊亀の声が。
殺してくれて、ありがとうと。
そうか、そうか。
お前は死に場所を探していたのか。
なら、ゆっくり休め。
もう生きなくていいんだ。
霊亀は後で弔うとしよう。
その前に撤退するか。
「全隊、大変ご苦労であった。諸君らの攻撃、見事なものであった。本当にありがとう。ありがとう」
そう言い、俺は兵士達に向かって、敬礼をした。
兵士達は俺の方を向き、ニヤリを笑った後、敬礼をした。
俺は敬礼を続けたまま、最後の指示を出した。
「諸君らもゆっくり休んでくれ。総員、撤退せよ」
すると、兵士達は霧のように消え去った。
消え去ったのを確認した俺は敬礼を解いた。
「私は今後表舞台に出ることは無くなるでしょう。ですので、これでおさらばです」
俺は懐からある魔法具を出した。
そして、俺はその魔法具を使用した。
俺の体は光に包まれた。
光が晴れると、俺は獣王国の王都の近くの森に転移した。
先程の魔法具は転移石だ。
俺は軍服と軍帽と鉄仮面を外し、ツキミが待っているギンレイ家の屋敷に向かった。
街の中は騒がしがったが、それらを全て無視し、俺はギンレイ家の屋敷に向かった。
屋敷に入ると、ツキミが出迎えてくれた。
そして、ツキミは俺に抱きついてきた。
ツキミは俺の胸に顔を埋めた。
「ありがとう、リアン」
ツキミは俺の胸から顔を上げ、笑顔を浮かべてくれた。
「本当にありがとう。リアン、大好き」
俺はこの笑顔を守れて本当に良かったと心の底から感じた。
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