ゴミのように切り捨てられた傭兵は異世界に迷い込みました

竹桜

文字の大きさ
9 / 10

最終話 異世界で

しおりを挟む

 スタンピードが起きてから約ニ年が経った。

 俺はいつもの装備に身を包み、ある場所に立っている。

 立っている場所はスタンピードによって破壊されてから、修復された第一障壁の上だ。

 修復された第一障壁は前とは違い、様々な防衛装備が設置されている。

 その防衛設備はスタンピードから王都を守るために新たに作られた。

 第一障壁の上から見ているのと鎧に身を包んだ男がやってきたのだ。

 「ウース様。今日も異常はありません」

 「そのようだな」

 そう言い、俺はスタンピードが起きた森の方を向いた。

 「いつものことだが、警戒は怠らないように。俺はこれで帰る。後は任せる」

 「お任せ下さい」

 部下と別れた俺はある部屋に向かった。

 到着した部屋には責任者室と書かれていたのだ。

 そう、私は第一障壁の責任者に就任した。

 ある者の推薦と褒美として。

 俺を推薦したのは前責任者の老人で、褒美はスタンピードを食い止めた時のものだ。

 ちなみに、前責任者は責任を取らされて辞めた訳ではなく、ただ定年だ。

 まぁ、俺は朝から夕方までの責任者でそれ以外の時間には別の責任者がいる。

 今日の仕事を終えた俺は黒い布で体を包んだ後、第一障壁から出た。

 そのまま俺は第二障壁を通り過ぎ、王都の中に入ったのだ。

 そして、俺は王都を歩き続けるとある庭付きの大きめの一軒家に到着した。

 何も迷わず、俺はその一軒家の敷地内に入り、玄関に向かった。

 そして、玄関のドアを開けたのだ。

 すると、一軒家の奥から玄関の方に向かってくる音が聞こえてきた。

 姿を現したのはネーアだった。

 ネーアはエプロンに身を包み、左手の薬指にはネーアの瞳の色の宝石が埋め込まれた指輪をつけている。

 そう、俺は約1年の交際を経て、結婚したのだ。

 夫婦になってからは大体1年ぐらい経っている。

 「おかえりなさい、ウースさん」

 「ああ、ただいま」

 「はい。ご飯の準備は後少しですから、その間にお風呂を入ってきて下さい」

 「そうさせて貰う」

 その後、私はお風呂を入ってからネーアが作ってくれた夕食を食べた。

 夕食を食べた後、ネーアは何故か顔が真っ赤になっていたのだ。

 ど、どうしたんだ?

 何か理由が無いかと考えているとネーアが話し始めた。

 「あ、あの、ウースさん。す、少し報告したいことが」

 「報告したいこと?」

 「は、はい。じ、実は、その、えっと」

 「どうしたんだ?」

 「そ、その、お、お腹に中にウースさんとの」

 「そ、それは子供ということか?」

 ネーアは真っ赤な顔のまま、頷いて答えてくれた。

 「そうか、そうか」

 そう言い、俺は立ち上がり、ネーアに近づいた。

 そして、右手をネーアのお腹に触れた。

 「ありがとう、本当にありがとう。ネーア」
 
 それを聞いたネーアは首を振ったのだ。

 「お礼を言うのは私の方です。ウースさんと出会えて、結婚できて、本当にありがとうございました」

 そう言い、ネーアは笑顔を浮かべたのだ。

 その笑顔はとても幸せそうだった。

 俺もその笑顔につられ、笑顔を浮かべていたことだろう。

 ゴミのように切り捨てられたが、迷い込んだ世界で俺は幸せを手に入れた。

 2つの。

 1つ目はかつての部下達が私のために世界を越えて集結してくれたことだ。

 そして、2つ目は異世界でできた妻のネーアだ。

 ああ、俺は。

 とても幸せ者だ。

 だから、これからも静謐であることを祈る。

 もう2度、スキルを使うことがないようにと。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

阿里
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

悪役令嬢が処刑されたあとの世界で

重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。 魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。 案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

追放された検品係、最弱の蛇に正しく聞いたら鉱脈を掘り当てた ~この世界は精霊の使い方を間違えている~

Lihito
ファンタジー
精霊に「やれ」と言えば動く。この世界の全員がそう信じている。 レイドだけが違った。範囲を絞り、条件を決め、段階的に聞く。それだけで最弱の蛇は誰より正確に答える。——誰にも理解されず、追放された。 たどり着いた鉱山町で、国が雇った上位精霊が鉱脈探査に失敗し続けていた。高性能の鷹が毎回違う答えを返す。 原因は鷹じゃない。聞き方だ。 レイドは蛇一体で名乗り出る。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

処理中です...