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第一話 転生したのに
しおりを挟む何も変わらない日常があの時までは続くと思っていたが、それは突然として終わりがやって来た。
何処かで悲鳴が聞こえた。
その悲鳴と同時に人が走り出したのだ。
な、何だ?
そんなことを思い悲鳴がした方を向くと、黒いパーカーを着た男が立っていたのだ。
その男の手には、血だらけの包丁が握られていた。
そして、その男は何かを繰り返し呟いていた。
私はやばいと思い、逃げようとしたが、1足遅かった。
狂った男に刺され、いや、首に血だらけの包丁を刺された。
血反吐を吐き、そのまま地面に倒れた。
い、息が。
わ、私は死ぬのか?
怖い、怖い、怖い、怖い、怖い。
誰でもいい、助けてくれ。
こんなところで死にたくない。
その願いは叶うことが無く、悲鳴が聞こえる中、意識を失った。
次に、目が覚めると見知らぬ場所にいた。
こ、ここはどこだ?
疑問を抱いていると、禿げた男に抱っこされた。
その禿げた男は中世のような服装に身を包んでいた。
その時に自分の手を見てみると、赤ちゃんの手だった。
どうやら私は死んで、転生したようだ。
しかも異世界に。
折角、転生したんだ。
色々なことを挑戦してみよう。
5歳になったときに、書斎の中で見たある本を読んだ。
その本には知っている地名がいくつもあったのだ。
生前、プレイしていたゲームの地名が。
そのゲームは結構好きだったので、3回ぐらいやり直した。
最後とかは縛りプレイとかしていたな。
予想もしてなかった。
まさか、ゲームの中に転生するとは。
だが、とても嬉しいな。
でもな、私が転生したのは舞台となる国の隣国の貧乏伯爵家の長男。
ゲームに参加することは出来ないだろうな。
まぁ、いいか。
ゲームに参加出来なくても新たなことに挑戦は出来るからな。
そのためにも知識をつけよう。
それからの私は勉強に力を入れた。
7歳になったときに、魔力鑑定を行い、火属性だと分かった。
どうやら、チートは持ってないようだ。
ゲームの主人公は珍しい光属性だったから、少しだけガッカリした。
ガッカリしたが、魔法を鍛えよう。
それに並行して、体も鍛えておこう。
鍛えておいて損は無いからな。
それからの私は魔法と体作りにも力を入れた。
8歳になったときに、弟が生まれた。
その弟には火属性と水属性と地属性を持って生まれてきたのだ。
凄いな、3属性持ちとは。
その時の私は楽観的だった。
ある時、私は父親に連れられて、馬車で4日ぐらいかかる森に向かった。
途中で、馬車は止まった。
突然止まったことを疑問に思っていると、父親が私の手を掴み、私を馬車の外に投げたのだ。
私は反射的に受け身を取ったので、怪我することは無かった。
父親は馬車から顔だけを出した。
「私達は火属性のお前よりも末息子の3属性を当主にしたい。だから、この森で野垂れ死んでくれ」
馬車の護衛達が剣を抜き、私に向けてきた。
これは駄目だな。
本気で私を捨てるようだ。
そうか。
なら、こちらこそ願い下げだ。
確かに属性が多い方が良いとされるが、長男から次男に家督を譲るためだけに殺されそうとする者の近くにいるなんてな。
私は馬車から背を向け、森に向かって歩き始めたのだ。
すると、馬車が走る音が聞こえてきた。
それは徐々に消えなくなり、いずれ聞こえなくなった。
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