ゲームの中に転生したのに、森に捨てられてしまいました

竹桜

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第五話 共闘

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 森に住み始めてから結構な時が経った。

 ベーアも成長して、体長が4メートルを超えていた。

 今思ったが、ベーアは普通の熊ではなく、熊系の魔物なんだろう。

 母熊も6メートルぐらいあったし。

 ベーアと一緒に水浴びをしたり、ベーアと一緒に狩りをしたり、ベーアと一緒に寝てたりして、過ごしている。

 ベーアと一緒に鹿を探しながら歩いていると、上から音が聞こえた。

 何かが羽ばたく音が。

 私は空を見て、驚きで固まってしまった。

 う、嘘だろ。

 この森にドラゴンがいるなんて。

 驚いている私の前にドラゴンは降り立ち、咆哮を上げた。

 そして、ドラゴンは敵対心を私達にぶつけていた。

 私は骨の槍を構えた。

 よくよくドラゴンを見てみると、右目のところに傷跡を見つけた。

 その傷跡は熊の爪の引っ掻かれたような傷だった。

 そんなことを思っていると、ベーアが唸り声を上げていたのだ。

 い、一体、どうしたんだ?

 普段、殆ど唸り声をあげないベーアが唸るとは。

 まさか、仇なのか?

 「ベーア。このドラゴンは母親の仇か?」

 ベーアは牙を見せながら頷いた。

 私の予想は当たっていた。

 このドラゴンが敵意を向けているのはベーアを殺す為だろう。

 なら、私も戦う。

 今まで苦楽を共にしてきた者だ。

 兄弟と言っても過言では無い。

 「そうか、ベーア。なら、仇討ちといこう。母の無念を晴らそう」

 ベーアは大きく鳴いた。

 鳴いた後に、ベーアはドラゴンに向かって突撃したのだ。

 ドラゴンは自分の体を横回転し、勢いをつけた尻尾でベーアを攻撃した。

 私は尻尾とベーアの間に割って入り、槍を地中深くに突き刺した。

 ドラゴンの攻撃を何とか踏みとどまり耐えた。

 糞、槍が真っ二つに割れた。

 だが、尻尾の攻撃は無力化した。

 これで、ベーアの攻撃が届く。

 ベーアはドラゴンの懐に入り、爪を下から上に引き裂いた。

 爪によって、鱗を切り裂き、傷口から血を流している。

 軽い傷ではない。
 
 ベーアは一旦距離を取るために私の隣に戻ってきた。

 折れた骨の槍を捨て、腰に携えていた骨の剣を取り出し、構えた。

 ドラゴンは怒りの咆哮を上げ、上を向いた。

 ドラゴンの口元から光が出ていた。

 上を向いていたドラゴンは私達の方を向き、炎のブレスを吐いてきた。

 私は左手をドラゴンの方に向けた。

 「ファイヤードーム」

 すると、1箇所だけ空いた火のドームが現れ、ブレスはその中に吸い込まれた。

 全てを吸い込んだら、入り口を閉じた。

 少ししてからファイヤードームを解除すると、焼け野原になった地面が現れた。

 空気が無ければ火は燃えることがない。

 だから、閉じ込めて空気を限定し、消化したのだ。

 ドラゴンは驚きを露わにしていた。

 驚いたせいで、ドラゴンは反応が遅れた。

 その時、既にベーアが懐に入っていたのだ。

 ベーアは爪で残っていた左目を引き裂いたのだ。

 これで、ドラゴンは完全に視覚を失った。

 それでも、ドラゴンは諦めなかった。

 多分、匂いで私達を感知している。

 ドラゴンは私達に向かって、突撃を始めた。
 
 私は隣りにいるベーアに視線を送った。

 ベーアは鳴かずに頷いた。

 次で決めるという意図は伝わったな。

 私は骨の剣の刃の部分に左手で触った。

 これを使ったら、骨の剣は使えなるが。

 私の最大限の力を出し切らなければ、倒すことは不可能だ。

 だから、私が今できる全てを出す。

 「ファイヤーウェア」

 すると、火が骨の剣に纏ったのだ。

 だが、暑さで徐々に骨が溶け始めていたのだ。

 ベーアは両腕に満身の力を込めていた。

 最高の一撃にするために。

 私とベーアは、互いの矛を大きく振り上げ構えた。

 私達の準備が全て整う頃にはドラゴンは目と鼻の先にいたのだ。

 ドラゴンは両手の爪を大きく振り上げていた。

 ドラゴンが振り下げるよりも前に互いの矛を振り下ろした。

 火を纏う骨の剣と満身の力を込めた両手の爪はドラゴンの体を真っ二つに斬り裂いた。

 そのままドラゴンは真っ二つのまま、地面に倒れた。

 倒した。

 本当に倒せた。

 ドラゴンを。

 魔法を解除すると、骨の剣は溶けて無くなってしまった。

 倒した事実に唖然としていると、ベーアが私に近づき、右手を私の方に向けてきた。

 意図を瞬時に理解し、私も右手をベーアの方に向けた。

 「最高だったぞ、ベーア」
 
 そう言いながら、ベーアとハイタッチをした。

 そして、ベーアは嬉しそうに鳴いたのだ。

 

 

 
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