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第四十三話 待ち伏せ
しおりを挟む私が王座の間を出て、魔王城を出ると人影があった。
私は警戒しながら、その人影に近づいた。
その人影の正体を知り、私は驚いた。
いたのはなんと逃げた筈の主人公だったのだ。
「な、何故、ここにいるのですか?」
「転移石で帰ってきただけだ。そんなことはどうでもいい。魔王を倒したんだろ?」
「何故、私が魔王殿を倒したことを知っているのですか?」
「空に浮かんでいたからだ。ちなみに、王都の方でも浮かんでいたぞ」
「そうなのですか。では、何故戻って来たのですか?」
主人公はその問いには答えず、強力な魔法剣を抜いたのだ。
「何のつもりですか?」
私は剣の柄を握った。
その問いにも答えず、喋り始めた。
「お前の強さは魔法具だろ?まさか、ゲームに出てこない魔法具があるとは。お前はただチートの魔法具を使って俺から手柄をとっただけだ。だから、寄越せ」
「もし断ると言ったら?」
「殺す。口封じの為に」
そう言い、魔法剣を構えたのだ。
「なら、死ぬ」
そう言いながら、斬り掛かってきたが、あまりにも遅かった。
私は剣の柄から手を離し、鳩尾を殴った。
鳩尾を殴られた主人公は魔法剣を地面に落とし、地面に倒れ込んで腹を押さえている。
やっぱりか。
アイテムだけ集めて、全く修行してないから弱過ぎる。
本当に弱い。
要らないが、没収しておくか。
魔法剣を魔法袋の中に入れておいた。
腹を押さえながら、主人公が立ち上がった。
「これで分かりましたか?」
「お、俺がゲームに出てこないモブよりも弱いことなんかある筈無いだろ」
主人公は怒りに身を任せ、殴りかかってきたが、カウンターで股間を蹴り上げた。
主人公は股間を押さえながら、地面に倒れ込んだ。
この世界はゲームの中だが、いくら主人公に転生したとしても修行しなくては弱い。
例え、良いアイテムを持っていたとしても。
主人公は痛がりながらも魔法袋の中から透明な石を取り出し、それを砕いた。
すると主人公は光に包まれ、私の前から消えた。
転移石を使ったか。
敵わないと思い、撤退したか。
本当に無駄な時間を過ごした。
私も転移石を使うか。
私は魔法袋の中から転移石を取り出し、砕いた。
私の体は光に包まれた。
光が晴れると、私はある屋敷の近くにいた。
私がふっと空を向くと、映像が浮かんでいた。
映像は無人になった魔王城を映し続けている。
まさか主人公とのやり取りも映し出されていたのか。
もしそうなら主人公は終わりだろう。
そんなことはどうでもいいから、屋敷に向かおう。
私は歩いて近くの屋敷に正門に向かうと、私の姿を見た門番は驚いた表情をう浮べていた。
そして、私の方にやって来た。
「こ、これはベアード子爵」
「少し夜遅いが、メスリーとセーリは今いるか?」
「は、はい、おります。直ぐに呼んで参ります」
私は呼び止めようとしたが、門番は屋敷の方に向かって走っていた。
そう、ここはナスーリ子爵家の屋敷だ。
正門で待っていると、ナスーリ子爵家の屋敷からメスリーとセーリが出てきた。
少し小走りで私の方にやって来た。
「レーク」
「お兄様」
メスリーとセーリは私の胸に飛び込んできた。
メスリーとセーリは私の胸から顔を上げた。
自然と上目遣いとなっている。
「約束を守ってくれたんだね、レーク」
「お兄様。本当に良かったです。何事も無くて」
私は2人を抱き締めた。
「ああ、私は約束を守り、無事に帰ってきた。だから、安心してくれ」
私は愛おしい2人を抱き締め続けた。
ナスーリ子爵がやってくるまで。
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