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第五十七話 蠢く黒い何か
しおりを挟む告白が成功し、無事に1週間が経った。
今日は卒業式だ。
私達は無事に卒業式を終え、卒業パーティーが始まった。
メスリーは私が用意したドレスに身を包み、首には魔法具型のネックレスをつけ、左手の薬指には私が贈った指輪をつけていた。
私とメスリーが会場に入場すると、視線が集まる。
やっぱり視線が集まるよな。
英雄と英雄の婚約者だからな。
私達はそんな視線を無視し、卒業パーティーを楽しんだ。
メスリーと一緒にダンスを3回も踊ってしまった。
卒業パーティーを終えたら、メスリーをエスコートして馬車に乗り込んだ。
メスリーをナスーリ子爵家まで送り、自分の屋敷に帰った。
屋敷に到着したのが遅い時間だったので、セーリは寝ていた。
執事から聞いた話だと、10分ぐらい前まで、眠そうな表情を浮かべながら私のことを待っていたらしい。
本当に可愛いな、セーリは。
私は衣装を脱いで、風呂に入ってから、セーリの部屋に向かった。
部屋に入ると、セーリが安心した表情でベッドで寝ていた。
私はそんなセーリの頭を撫でた。
頭を撫でられたセーリは嬉しそうな表情を浮べた。
私はそんなセーリに癒やされてから、執務室に向かった。
執務室に到着すると、頼んでいた情報が書かれた紙が机の上に置いてあった。
私は椅子に座り、その紙を手に取り、読み始めた。
10分ぐらいで読み終わった。
読み終わった紙を机に投げた。
やっぱりか。
魔物の皇帝を倒してから、黒い何かに包まれた魔物の目撃情報は無くなったのだ。
調べさせた情報にも目撃情報は無かった。
魔物の皇帝が黒い何かを生み出していたのか?
だが、有り得ない。
今までのことを考えると黒い何かは明らかに裏で動いているはずだ。
人の言葉が分からない魔物の皇帝に出来る筈が無い。
分からないな。
追加で調べさせておくか。
私は時計を見た。
時計の針は既に日付が変わったことを示していた。
そろそろ休むか。
いや、その前に装備を装着して、鍛錬だけしておくか。
朝してなかったからな。
私は魔法袋の中から装備を取り出し、装着してから、庭に出た。
庭は月明かりで照らされているが、暗かった。
そんな中、私は鍛錬を始めた。
鍛錬が終わり、屋敷に歩き始めたが、違和感を感じた。
違和感を感じたので、周りを見渡して見ると、庭では無かった。
黒い、黒い空間だった。
私は異常事態と察し、剣を抜いた。
周りを見渡してみたが、誰もいなかった。
それでも警戒し続けている。
警戒していると、黒い扉を見つけた。
しかもその黒い扉は何かの装飾がされていたが、不気味の雰囲気を醸し出していた。
その扉以外に移動出来そうな場所が無かったので、警戒しながらもその扉を開けた。
扉を開けると、そこは先程よりも黒い空間だった。
漆黒よりも黒く、真っ黒な空間だった。
黒過ぎて、空間を把握出来ない。
そしてその空間の真ん中に居たのは黒い何かの塊だった。
そして、その黒い何かの塊は蠢きながら、体を維持している。
あれは何だ?
何だあの存在は。
生物ではない何かだ。
いや、あれは黒い何かの本体だ。
私の直感がそう言っている。
「我々は黒き者」
驚いた。
まさか、喋るとは。
「黒き者に我々か。貴殿、いや、貴方方は何かの集合体なのか?」
「肯定。我々は負の残滓が集まった存在」
「負の残滓だと?どういう意味だ?」
「負の残滓は全ての生物の負の感情の残り滓」
「残り滓か。では、何故裏で蠢いたのだ」
「それは我々の中にある1つが動いただけ。ハイオーガを包んだのも、皇帝に成りたかった男に力を与えたのも、世界中の様々な魔物を包んだのも、堕ちた勇者に力を貸したのも」
「魔物の皇帝は?」
「あれも我々の中の1つが、国の終わりが見たいと起こしただけ」
「そうか。分からなかったことは理解出来た。それで、何故私をここに呼んだのだ?真実を教える為ではないのだろう?」
「そうだ、英雄。答えは簡単。我々は英雄を殺したい」
「それはなぜ?」
「我々の中の大多数が言う。英雄を殺せと。だから殺す。我々は1つであり、集合体である」
「そうか。なら、言葉は不要だ」
そう言い、私は剣を構えた。
「同意」
そう言い、蠢く黒い何かは形状を変え、体中を棘だらけにし、戦闘態勢を取った。
真っ黒な空間に静寂が訪れた。
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