魔王の側近はお暇を頂く

竹桜

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第八話 終戦処理

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 万全な準備を整えた魔王国と同盟とは名ばかりの自身の手柄を優先している人間達の国と戦争が始まった。

 結果から言おう。

 まともな戦闘をせずに魔王国が完勝したのだ。

 人間達は足並みが揃わず、バラバラで攻めてきたので、各個撃破していったのだ。

 だから、死傷者無しに戦争が終わった。

 まぁ、怪我人は数人いたが。

 そして、その怪我人達を出したのは勇者パーティーだ。

 でもな、勇者パーティーは第4師団長1人によって敗北したがな。

 怪我人も回復魔法で完治出来たので、被害無しだと言ってもいいだろう。

 完勝したが、待っていたのは戦後処理だった。

 まず、動いたのは責任をとる者達の選定だ。

 まぁ、それは直ぐに決まった。

 各国の支配者達だ。

 その者達の権力を責任として没収し、新たな国を作り出した。

 分かれていた国を人間国という国に1つに纏めたのだ。

 それと法律を魔王国と同様にした。

 最後は議会制を取り、その議会で今後の決め、魔王様が判断する。

 それが戦後処理だ。

 あ、そうそう。

 勇者パーティーにも責任をという声もあったが、あれは強い兵士ぐらいしか見てないので、そんなことはしなかった。

 まぁ、勇者パーティーというのは解散させたがな。

 戦後処理は無事に終わったが、この終戦処理によってこの世界の勢力図が大きく変化したのだ。

 戦後処理は戦争の時よりも長く1ヶ月もかかってしまった。

 そして、私も忙しかった。

 様々な資料を処理しなければいけなかったからだ。

 だから、休みなく働くことになってしまった。

 リーフとの時間はあまりとれなかった。

 だが、それも今日までだ。

 今日で全ての作業が終わる。

 そんなことを思っていると最後の書類の最終確認が終わったのだ。

 「皆、最終確認が終わったから、これで終わりだ。本当にご苦労だ」

 私の言葉を聞いた第一資料室の職員達は嬉しそうな表情を浮かべていたが、カリーサは何か一息ついたような表情を浮かべていた。

 そのことを疑問に思っているとカリーサが私の方に近づいてきたのだ。

 「グリークス様。こちらをお願い致します」

 そう言い、カリーサは私の方にある書類を手渡してきた。

 手渡してきた書類は有給申請書だったのだ。

 驚いたが、まずは確認だ。

 期間は1週間程で理由は実家に帰省か。

 特に問題になるところは無いな。

 「うん。特に問題無いから受理する」

 「ありがとうございます、グリークス様。では、私は明日から帰省する準備があるのでこれで失礼します」

 「カリーサ、くれぐれも気をつけてくれ」

 カリーサは微笑みながら会釈し、第一資料室から退出した。

 私はカリーサを見送った後、この有給申請書を必要な部署に提出するために第一資料室から退出したのだ。

 
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