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第三十二話 兄襲来
しおりを挟む後期が始まった。
いつも通り過ごしていると、廊下から、揉める声が聞こえてきた。
その揉める声は、どんどん大きくなった。
どうやら、近づいているようだ。
その声は、Aクラスの前に止まった。
そして、乱暴にドアが、開けられた。
ドアにいたのは、僕の兄だった。
兄は、先生の制止を無視し、Aクラスの中に入った。
そして、兄は、キョロキョロして、誰かを探している。
兄の視点は、緋月のところで止まった。
「やっと、見つけたぞ」と、兄は、呟いた。
僕は、嫌な予感がしてならなかった。
兄は、緋月の方に向かって、進み始めた。
僕は、席から立ち上がり、兄の前に、立ち塞がった。
「兄さん、一体、なんなの?」と、聞いた。
僕の質問には、答えず、兄は、「うん?お前は、ハズレ天賦の出来損ないの弟か。これは、驚いた。お前みたいのが、Aクラスにいるなんて。俺は、今、忙しいんだ。どけ」
僕は、「いえ、どきません。僕の質問に答えてくれ」
「しつこいな。答えてやるよ。俺は、あそこにいる女を嫁にするために、来たんだ」と言い、兄は、緋月のことを指差していた。
僕は、「兄さん、残念だね。緋月は、僕の恋人、いや、婚約者だ。そして、緋月は、既に、父さんと母さんにも認められている」
その発言に、この場にいる全員が、騒ついた。
「出来損ないのお前が、あの女の婚約者だと?ふざけるな」と言い、兄は、机を強く叩いた。
兄は、続けて、「あの女は、俺にこそ相応しい。俺よりも強くて、美しい女は」
「私は、主様、いえ、エレン様以外の人と、結婚したいと思ったことは、ありません。ですので、帰って下さい」と、緋月は、兄に冷たい視線を向けながら、断った。
「何だと、女?少し強いから、調子に乗りやがって。いいだろう。聖騎士の俺が、ハズレ天賦の出来損ないの弟を叩き潰してやろう」と言い、兄は、ニヤリと笑った。
その笑いは、聖騎士が、浮かべるような表情では無かった。
悪役とかが、浮かべるような表情だった。
僕を指差し、兄は、「天賦を賭けての決闘だ。断ることは、出来ないぞ」
僕は、視線だ、先生に聞くと、頷いて答えて来た。
少し厄介なことになったな。
天賦を賭けた決闘か。
天賦を賭けた決闘に負けると、天賦を失ってしまう。
天賦を失った者に、明るい未来は、訪れない。
僕の中で、1つだけ、決めたことが出来た。
それは、決闘後で、いいや。
僕は、緋月と一緒に、決闘場に向かった。
決闘場に着いたので、緋月と別れようとしたが、突然、緋月が、抱きついて来た。
「エレン様、勝って下さい」と、聞こえて来た。
「ああ、必ず」と、答えた。
緋月と別れ、僕は、決闘場の中に入った。
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