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第32話 ゲルバの春
しおりを挟むリゾートホテルと市民浴場と市民プールが一般公開されて、1ヶ月後のこと。
僕は、珍しくゲルバから呼ばれて、執務室のドアの前にいた。
僕は、扉をノックした。中から入ってきてください。とゲルバの声が聞こえてきた。
僕が扉を開けて執務室の中に入ると、ゲルバと見知らぬ女性がいた。誰だろうと考えながら、椅子に座った。
「フレック伯爵、お時間を作って下さってありがとうございます」と、ゲルバが言った。
「うん、それは大丈夫だけど、そちらの女性は?」と、尋ねた。
「ああ、彼女は私の婚約者です」と、答えた。
「私は、グベルト男爵家の五女のリシア・グベルトです」と、リシアさんが言った。
僕は、その家名を聞き、驚いた。
それもそのはず、グベルト男爵の当主は、どうしようもないクズで、愛人を沢山囲い、自分の娘を商売の道具に使っている人物だからだ。
「ゲルバ、リシアさんとの出会いは?」と、聞いた。
「彼女との出会いは、館の前で仕事をくださいと頭を下げている彼女に仕事を与えたことです」と、ゲルバは答えた。
「どんな感じで仲を深めたの?」と、聞いた。
「そうですね、与えた仕事が私の手伝いだったので、距離も近く、いつの間か好きになっていました」と、ゲルバは答えた。
「うん、わかったよ。ありがとう。じゃあ、婚約に関しては問題ないよ。あ、後、グベルト男爵との縁切りはしてね。多分だけど、借金を全て払うと言ったら食いつくと思うから」と、ゲルバに言った。
「よ、よろしいのですか?借金を全て払って?」と、ゲルバに が聞いてきた。
「うん、大丈夫だよ。グベルト男爵の当主のことだから、何かしらで利益を得ようとするから、縁を切って赤の他人になった方がいいから」と、答えた。
「リシアさんもそれで大丈夫ですか?」と、聞いた。
「はい、あんなクズを父親と思っておりませんから。逆に縁は切りたかったです」と、答えた。
その返答を聞き、「じゃあ、結婚式には呼んでよね」と、言った。
そしたら、2人共顔を赤くした。
その後、リシアさんとゲルバは、グベルト男爵の当主の元に行き、婚約のことを報告し、借金と引き換えに家族の縁を切った。
家族との縁を切ったリシアさんだったが、とても幸せそうな顔をしていた。ゲルバの横で。
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