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第十九話 魔王

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 この世界に帰ってきて、5日が経っていた。

 今日は、情報招集をしないで、レティと菜月とミレイネとお茶をしながら、話をしていた。

 そろそろ昼食の時間と頭の片隅で考えていると、空に投影魔法が映った。

 僕とレティは、菜月とミレイネを守る体制を瞬時に取った。

 菜月とミレイネは、驚いた表情を浮かべていた。

 「初めましてだな、人間達よ。我は、魔王だ」と、空から聞こえてきた。

 「この映像は、全部の国に流れている」と、言ってきた。

 その言葉から、この魔王は、結構の魔力量があると理解できた。

 「我は、あまり時間を掛けるのが好きではない。だから、本題に入ろう。人間達、滅びたく無かったら、100年に1度聖女を生贄として、差し出せ」と、言ってきた。

 その言葉を聞いたミレイネは、顔を青くし、体がブルブルと震えていた。

 僕は、ミレイネの手を取って、「大丈夫だよ、ミレイネ。君は、元聖女だから生贄にはならないよ。それに、もし魔王が来ても僕が絶対に守るから」と、ミレイネを安心させた。

 ミレイネは、僕の言葉を聞いて、顔色が良くなり、体の震えも止まった。

 「このことに反論がある者は、我に立ち向かうと良い。だが、辿りつけたらの話だがな。1週間待とう。良い返事を期待している」と言い、投影魔法が消えた。

 「あの、エドさん、その、守ってくれると言ってもらえて、嬉しかったです」と、ミレイネは、微笑んだ。

 「当たり前だよ。だって、ミレイネは、僕の大切な婚約者だからね」と言い、ミレイネの頭を撫でた。

 撫でられたミレイネは、嬉しそうな表情を浮かべた。

 レティと菜月もミレイネの頭を撫で、ミレイネの事を安心させた。

 「み、皆さん、ど、どうしたんですか?」と、ミレイネは、嬉しそうな声で聞いてきた。

 「なんか、ミレイネの事を撫でたくなってね」と、レティが答えた。

 「その気持ち、分かります」と、菜月がレティの言葉に同意した。

 「僕もレティも菜月もミレイネの事が好きだから、撫でたくなるんだよ」と、言った。

 「み、皆さん。わ、私も、エドさんもレティさんも菜月さんも大好きです」と言い、満面の笑みを浮かべた。

 その後は、遅めの昼飯を4人で食べた。
 
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