上 下
32 / 44

第三十二話 ミレイネとのデート

しおりを挟む

 2人と同様にミレイネとは、屋敷では無く、噴水広場で待ち合わせることにした。

 僕は、約束の15分前には、噴水広場に着き、ミレイネを待っていた。

 5分ぐらいが経つと、後ろから声を掛けられた。

 声を掛けられた僕は、後ろを振り返った。振り返った先には、真っ白で、後ろの腰ら辺に大きめなリボンが付いているワンピースを着たミレイネが居た。

 「ど、どうですか?に、似合っていますか?」と、ミレイネは、少し照れながら、聞いてきた。

 「うん、とっても似合っているよ」と、答えた。

 「そ、それなら、良かったです」と言い、ミレイネは、微笑んだ。

 「じゃあ、行こうか」と言い、僕は、ミレイネの方に手を伸ばした。

 「はい、行きましょう」と言い、ミレイネは、僕が伸ばした手を取ってくれた。

 僕達は、手を繋ぎながら、街の方に向かい、歩き始めた。

 街に着いた僕達は、昼食や買い物などをした。

 デートしている時のミレイネは、感動と嬉しさが混ざった表情を浮かべていた。

 2人とのデート同様に楽しい時間というものは、直ぐに過ぎ、夕日になってしまった。

 夕日を見ながら、ミレイネは、「レティさんや菜月さんが、心配するので、そろそろ帰りましょう」

 夕日に照らされ、輝いている金髪をしているミレイネに見惚れながら、「最後に一つだけ寄って帰らない?」と、聞いた。

 「はい、大丈夫ですよ」と、答えてくれた。

 その返事を聞いた僕は、影移動を使い、ある場所に移動した。

 着いた場所は、クラリス王国からかなり離れた距離にあり、近くには、美しい海があるところだ。そして、満月が僕達のことを照らしている。

 「わぁー、凄く綺麗な場所ですね」と、ミレイネは、感想を漏らした。

 僕は、「喜んでくれなら良かった。ここに来たのは、ミレイネに伝えたいことがあったからだよ」

 「伝えたいことですか?」と、ミレイネは、首を傾げて、聞いてきた。

 「ああ、絶対に伝えないといけないことだよ」と答え、僕は、ミレイネの前で、膝を着いた。

 ミレイネは、僕が膝を着いたことに驚きの表情を浮かべた。

 僕は、懐から小さい箱を取り出した。

 ミレイネは、僕の手にある小さい箱を見ても、何が入っているのか分からないのか、不思議そうな表情を浮かべていた。

 「ミレイネ、君と出会ったのは、偶然だった。だが、その偶然の出会いは、僕にも君にも幸運を運んできた。君は、優し過ぎるんだ。君は、8年間も苦しめられたのに、あの罪人達に恨み言一つも言わなかった。僕は、そんな優し過ぎる君が、好きです。だから、僕と結婚して下さい」と言い、小さい箱からアメジストが埋め込まれた指輪を取り出し、ミレイネの方に差し出した。

 「わ、私が、恨み言を言わないのは、エドさんに出会えたからです。エドさんに出会ってから、私は、幸せというものを知りました。レティさんがいて、菜月さんがいて、エドさんが居てくれば、私は、それ以外何も要らないです。だから、私のことをもっと、いっぱい、幸せにして下さい」と言い、指輪を受け取り、2人と同じくらい美しい笑顔を浮かべた。

 「ありがとう、ミレイネ」と言い、僕は、立ち上がり、ミレイネの美しい金髪を掻き分け、おでこにキスを落とした。

 キスされたミレイネは、徐々に顔を赤くして、最後には、湯気が出そうなぐらいにまで赤くなった。

 言葉にならない声で、何かを言った後に、キャパオーバーしたのか、気を失ってしまった。

 僕は、ミレイネが、地面に倒れる前に、支えた。

 顔の赤いまま気を失ってしまったミレイネをお姫様抱っこして、影移動を使い、屋敷に帰った。


 

  
しおりを挟む

処理中です...