異世界召喚された装甲兵は、自分の意思で選択する

竹桜

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第十三話 ハーフエルフ

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 エノーア嬢が泣き止んだら、馬に乗せて、エルフの森を後にした。

 その後は何事も無く、王城に到着することが出来た。

 その間、エノーアはずっとフードを被っていた。

 本当に、怖いみたいだ。

 エノーアから嬢呼びは辞めて欲しいと言われたので、エノーアと呼ぶ捨てにしている。

 そして、エノーアは私のことを篠井さんと呼んでいる。

 王城に帰ると、サリーサと委員長が出迎えてくれたが、エノーアを見て私に詰め寄ってきた。

 そして、手を引かれて、個室に連れて行かれた。

 そこで、説明を求められたので説明した。

 説明し終えると、何とか納得してくれた。

 納得した後は、エノーアの方を向いた。

 「この大陸には、エルフがいるんですね。私、エルフの人なんて初めて見ました」

 「私も初めてだわ。本当に耳が尖っているのね」

 エノーアは困惑な表情を浮かべていた。

 「えっ、えっと、私のことは、嫌いではないんですか?」

 サリーサと委員長は、意味が分からずキョトンとしていた。

 「えっ、なんでそんな質問が出てくるの?初めて会うのに、そんなこと思わないですよ」

 「サリーサの言う通りだわ。逆に、好ましいと思っているわ」

 エノーアは驚きの表情を浮かべた後に、嬉しそうに笑顔を浮かべた。 

 それからは、楽しそうに3人は話していた。

 これなら、大丈夫そうだな。

 私は薬草を納品するために、エノーアを2人に任せ、部屋を出た。

 薬草の納品を終えると、王女様に呼ばれ、別室に案内された。

 「篠井様。まさか、ハーフエルフの方を連れてくるとは思いませんでした」

 「ハーフエルフとは?」

 「ハーフエルフとは、エルフと人間の間に生まれる子供のことです。そして、忌子と呼ばれる人達のことです」

 「何故、ハーフエルフが、忌子と呼ばれているんだ?」

 「それはエルフのせいです」

 「エルフのせいだと?」

 「はい。エルフは純血こそ全てと思っているのです。ですので、ハーフエルフのことを嫌悪しています。少しでも、ハーフエルフを害したいエルフ達は、ハーフエルフを忌子と広めたのです。今では殆どの人達が、ハーフエルフは忌子という認識になっています」

 王女様は、胸に右手を置いた。

 「中にはハーフエルフが忌子ではないことを知っています。エルフが広めた話だということを。ですが、そのことを知っているのは、私を含めた一部の人達だけです」

 「何故、エルフにそこまで影響力があるんだ?」

 「エルフが、この大陸の英雄だからです。昔、人類が滅亡まで追い込んだ悪しき者を封印したんです。その時代に先程の話が広まったので、深く浸透してしまっただと思います」

 「そうか。つまり、ここの環境はエノーアにとってはあまり良くないのか」

 「いえ、この大陸の中ではいい場所だと思います」

 「それはなぜ?」

 「エノーアさんのことを忌子として接しない人達が少数ながらもいるからです。例を挙げると、私達王族と、篠井様達の異世界人と、隣の大陸のサリーサ様です」

 確かに、この大陸の中ではいい場所だな。

 だが、エノーアにとってはいい場所とは言い切れない。

 まだ、エノーアのことを忌子と呼ぶ者達が多数いるからだ。

 それなら、エノーアとした約束を守れない。

 何かしらを考えないとな。
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