異世界召喚された装甲兵は、自分の意思で選択する

竹桜

文字の大きさ
32 / 43

第三十ニ話 空間の歪み

しおりを挟む

 悪しき者を倒した私は、稀代の英雄と呼ばれるようになった。

 そんな大層な名前がついても私達の生活は変わることは無かった。

 あれから日が経ち、この世界に来てから丁度1年になった。

 今日は王城に呼ばれ、クラスメイト達と集まっているところだ。
 
 話していると、空間が歪み始めただ。

 私は、瞬時に装衣を身に包んだ。

 そして、3人の前に立った。

 空間の歪みは加速し、やがて全てが歪んだ。

 空間の歪みが収まると、王城ではない場所にいたのだ。

 近くには塔が立っていたが、周りはコンクリートの壁に囲まれていた。

 コンクリートの壁だと?

 まさか、帰ってきたのか。

 元の世界に。

 音が聞こえた。

 車の。

 やっぱり、元の世界だ。

 その車は、自衛隊の装甲車だった。

 自衛隊の装甲車が私達の近くに来ると、迷彩服に身を包んだ自衛隊員が降りてきた。

 そして、89式小銃を向けてきた。

 「お前達は、何だ?」

 「私達は、古井高校の元2年3組の生徒だ。多分だが、1年ぐらい行方不明になっていた者達だ」

 自衛隊員は、驚きの表情を浮かべていた。

 「それを証明することが出来るか?」

 私達は古井高校の校歌を歌い、日本の観光名所などを話した。

 「にわかに信じがたいが、どうやら本当のようだな。それで、そこにいる少女達は?日本人ではないようだが?」

 「あー、彼女達は、色々と事情があるのだ。ここでは、長くなってしまうので、別のところで話します」

 自衛隊員は無線で、何かを確認し始めた。

 5分ぐらいすると、無線を切り、私達の方にやってきた。

 「後5分ぐらいに来るトラックに乗り込んでくれ。そのトラックで移動して、建物の中で色々と聞くことにする」

 その言葉の通りに、5分後に迷彩柄のトラックがやってきた。

 私達は、そのトラックに乗り込んだ。

 10分ぐらいで、建物郡が見えてきた。

 その建物の周りには塹壕が掘られ、トーチカや見張り櫓なども設置されていた。

 何かに備えているみたいだ。

 トラックは1番大きな建物の前に止まった。

 そこで、トラックを降り、大きな部屋に案内された。

 その大きな部屋の中には、自衛隊の将校が3人待っていた。

 私達は今まで何があったのかを聞かれ、全てを答えた。

 装衣のことを、サリーサとエノーアのことを、これまであったことを。

 エノーアは、ハーフエルフだということを証明する為に、少し尖った耳を見せた。

 こんなファンタジー作品みたいな話を自衛隊の将校達らは、直ぐに受け入れたのだ。

 そのことを疑問に思っていると、自衛隊の将校の1人が説明を始めた。

 説明を聞いた私達は驚いた。

 どうやら、ここにはダンジョンがあるようだ。

 場所は元古井高校みたいだ。

 現れたのは、私達が異世界に行ってからみたいだ。

 私達が召喚されたのは、この影響のせいだろう。

 そして、自衛隊は偶に出てくる魔物を壁の外に出ないようにここで戦っているようだ。
 
 「今の我々には、抑えることしか出来ない。どうか、日本の為に力を貸して欲しい」

 皆は、躊躇した。

 当たり前だ。

 ダンジョンの中は、危険で溢れている。

 だが、私は未来を掴む為に行く。

 「分かりました。私がダンジョンに行きます」

 「わ、我々としては有り難いが、本当にいいのか?」

 「私はこう見えて、異世界では英雄と呼ばれていました。なので、戦います。まぁ、報酬に期待したいだけですけど」

 「差し支えがなければ教えてほしい。何を報酬としてほしいんだ?」

 「私の報酬は、重婚と2人の戸籍ですね。サリーサとエノーアの」

 それには、自衛隊の将校達は驚きの表情を浮かべ、面白そうな表情を浮かべた。

 「若いな」

 話は纏まった。

 少し休憩してから、ダンジョンに挑むか。

 そんなことを思っていると、いきなり扉が開いたのだ。

 その場の者の視線は、全て扉に集まった。
 

 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

嫁に来た転生悪役令嬢「破滅します!」 俺「大丈夫だ、問題ない(ドラゴン殴りながら)」~ゲームの常識が通用しない辺境領主の無自覚成り上がり~

ちくでん
ファンタジー
「なぜあなたは、私のゲーム知識をことごとく上回ってしまうのですか!?」 魔物だらけの辺境で暮らす主人公ギリアムのもとに、公爵家令嬢ミューゼアが嫁として追放されてきた。実はこのお嫁さん、ゲーム世界に転生してきた転生悪役令嬢だったのです。 本来のゲームでは外道の悪役貴族だったはずのギリアム。ミューゼアは外道貴族に蹂躙される破滅エンドだったはずなのに、なぜかこの世界線では彼ギリアムは想定外に頑張り屋の好青年。彼はミューゼアのゲーム知識をことごとく超えて彼女を仰天させるイレギュラー、『ゲーム世界のルールブレイカー』でした。 ギリアムとミューゼアは、破滅回避のために力を合わせて領地開拓をしていきます。 スローライフ+悪役転生+領地開拓。これは、ゆったりと生活しながらもだんだんと世の中に(意図せず)影響力を発揮していってしまう二人の物語です。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

俺が追放した役立たずスキルの無能女どもが一流冒険者になって次々と出戻りを希望してくるんだが……

立沢るうど
ファンタジー
 誰もが憧れる勇者を目指す天才冒険者『バクス』は、冒険者パーティーのメンバーである無能少女三人に愛想を尽かせ、ある日、パーティーリーダーとして追放を決意する。  一方、なぜ自分が追放されるのかを全く自覚していない彼女達は、大好きなバクスと離れたくないと訴えるも、彼にあっさりと追放されてしまう。  そんな中、バクスのパーティーへの加入を希望する三人が、入れ替わりで彼の前に現れ、その実力を見るために四人でモンスター討伐の洞窟に向かう。  その結果、バクスは三人の実力を認め、パーティーへの加入で合意。  しかし、それも長くは続かなかった。モンスター討伐を続ける日々の中、新加入三人の内の一人の少女『ディーズ』が、バクスとの冒険に不安を訴えたその翌日、なぜか三人共々、バクスの前から忽然と姿を消してしまう。  いつの間にかディーズに好意を寄せていたことに気が付いたバクス。逆に自分が追放された気分になってしまい、失意に暮れる彼の元に、追放したはずの『コミュ』が出戻り希望で再アタック(物理)。  彼女の成長を確認するため、自分の気持ちを切り替えるためにも、バクスが彼女と一緒にモンスター討伐に向かうと、彼女は短期間でとんでもない一流冒険者に成長していた……。  それを皮切りに他の二人と、かつての『仲間』も次々と出戻ってきて……。  天才冒険者の苦悩と憂鬱、そして彼を取り巻く魅力的な女の子達との笑顔の日常を描くハートフル冒険者コメディ。是非、ご一読ください!

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

処理中です...