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父と僕
201.琥珀_KOHAKU
しおりを挟むこれは僕がまだ小さかった頃に父が話してくれた話だ。
僕は小さかったから、曖昧にしか覚えていない。
僕の家族の歴史。
でも、あの事件以降、
父の声を聞かなくなった。
母も僕たちとは笑顔で接してくれるが、内心の感情はわからない。
父の話を出すとすごく泣きそうな目をするから。
………
父と母の出会いは覚えていないという。
小さい頃から一緒に育った仲だそうだ。
父と母は山の中にある、小さな集落に住んでいた。
そこは隣近所みんな顔見知りなくらい、穏やかなところだったそうだ。
半透明人間も不透明人間も普通に生きて、普通に恋愛して、普通に結婚できる世界が子供の頃は当たり前だったという。
家でも学校でも半透明人間が当たり前にいるので、
みんなから特別扱いされることなく、
一つの個性として感情が出やすくなるというくらいの認識だったという。
でもある日この村でも、
例のテロの被害に遭ったと訴える人が出てきた。
被害者は命に別状はなかったが、
夜道を歩くことを禁止されるようになった。
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