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父と僕
206.勿忘草_WASURENAGUSA
しおりを挟む次の出動令が来ることはなかった。
あの兄弟の兄を最後に、数週間後に終戦が宣言された。
国中の人が安堵して、勝利を祝った。
それから数週間後には
出動していた男たちが帰ってきた。
村が一気に賑わったが、それは以前のものと少し違う空気があった。
帰ってきた半透明人間は、
帰ってくるなり、少し村の外れの小屋に隔離された。
戦争は解決したけれど、無差別透明人間によるテロの犯人はまだ捕まっていないそうだ。
犯行の元凶は戦争の敵国だと分かったけれど、結局捕まえた実行犯は3人らしい。
無差別で複数都市で行われていたテロ。
ましてやこんな村にまで被害者が出ている。
3人では明らかに少なすぎる。
半透明人間が大量に帰ってきたことによってまたテロが起こることを怖がり、
村では隔離することが決まっていた。
その決定を反対することは、テロの実行犯の肩を持つことと同義だった。
だから誰も声をあげれなかった。
出動令で村から半透明人間が減っても、
犯行の被害は出ていた。
残っていた老人や子供たちは厳重に監視されていたから、
村内部から犯人はいないという結論にはなっていた。
しかし、武器さえあれば半透明人間は誰でも犯人になりうる。
そんな恐怖から、今回隔離することが当たり前のように決まった。
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