モテたかったが、こうじゃない 魔力ゼロになったおれは、あらゆるスパダリを魅了する愛され体質になってしまった

三ツ葉なん

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web版設定第二章

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朝早かったからか運良く誰とも会わずにアレク王子の部屋までたどり着けた。

運ばれている間、自分でも分からない感情のままレイヴァン様に冷たくしてしまったことを後悔していた。

何かが嫌で、でも…はっきりこれが嫌ってのが分からなくてモヤモヤする。

…レイヴァン様、いっぱい謝ってたな。

アレク王子にしがみついたまま顔を上げられない。

そんなおれの様子に、アレク王子は黙って部屋まで運んでくれた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「はい、到着。先ずは服着ようか。はいこれ、俺のしか無くてごめんね」

「…ううん、ありがとう」

渡されたシャツとズボンを着ようとした、が身体がガクガクでうまくいかない。

「大丈夫?手伝おうか?」

あ、アレク王子なら使えるかも。

「アレク王子って回復魔法使える?」

「ん?回復魔法って…え“、もしかしてマシロちゃん…その…」

「…使えないの?」

「使えます…っ!」

弟がごめんね…あいつ…使えないもんね…。と申し訳無さそうに回復してくれた。

流石、身体が思うように動くし痛みも無い。やっと借りた服に着替えられる。

案の定おれには結構大きかったシャツは流石に肩が出る程じゃないけど、袖は何度も折った。

ズボンはもっと酷くて、裾が余りまくって断念した。短パン持ってないんだって。

シャツが膝上まで隠してくれてるしまあいいか。

取り敢えず裸じゃなくなった事にほっとする。いくら隠してたって言ってもシーツ巻いてるだけは心許なかった。

ソファーの背凭れにぐでぇと寄りかかっていると、膝の上に何か掛けられた。上着だ。

「足…寒いかな、て」

「え、大丈夫」

「ううんっ、絶対寒いっ、いや、寒くなるから!…掛けておきなさい」

「わ、わかった…」

圧が凄い…。

上着を掛けたまま座るおれに満足げな表情をして、そのまま向かいのソファーに座った。

いつの間にか目の前のテーブルにクッキーと湯気の出ている紅茶が用意されていた。凄い。

「温かいうちにどうぞ」

おれに勧めながら自分もカップを傾けるアレク王子に何故だかほっとした。

「…いただきます」

何度か息を吹き掛けてひと口飲む。甘い。なんだろハチミツかな?美味しい。

そう言えば、レイヴァン様が淹れてくれたココア全部飲めなかったな…。せっかく買ったチョコも食べずに置いてきちゃったし、あ、レイヴァン様もまだチョコ食べてくれてなかったよな確か。食べる前に昔の話しとかレイヴァン様の気持ちとか色々聞いてそのままえっちになっちゃたし。

「マシロちゃん…大丈夫?」

「…え?あ、美味しいよ!」

「・・・・・」

向かいに座っていたアレク王子が険しい顔でおれを見る。

やべ、せっかく淹れてくれたのに考え込んじゃって、怒らせたのかもしれない。

「ごめ…っ、おれぼーっとして…っ」

ソファーから立ち上がったアレク王子がそのままおれの隣に座った。
身体がくっつくほど近くに座られてびっくりしている間に持っていたカップを取られ、素早くテーブルに置いて抱きしめられた。

「…っえ、アレ、」

「悲しい顔してる。それとも寂しい?」

悲しい…?寂しい…?いや、おれはどっちかっていうと怒ってて、・・・・。

「ごめんね。分からないからレイから離れたかったんだもんね。ゆっくりでいいから話してごらん」

「…話したら、わかるかな?」

「マシロちゃんが納得するまで一緒に考えるよ」

「一緒に考えてくれるの?」

「うん、だから俺に聞かせて。マシロちゃんの思ったこと、全部」

おれが思ったこと…。

それからポツポツと話してみた。

凄くわかりにくくて長くなったけど、アレク王子は時折相槌を打ちながら静かに聞いてくれた。

城下町に遊びに行ってレイヴァン様にお土産を買って楽しみだった事。
部屋の前で緊張してドキドキした事。
レイヴァン様がおれが来たことに想像の何倍も喜んでくれて照れた事。
チョコを喜んでくれてココアを淹れてくれて嬉しかった事。
突然キスされてびっくりした事。
レイヴァン様の昔と今の話しに感心した事。
キスの時噛んでしまて、血の味が気持ち悪いのに身体はどんどん気持ち良くなるのが怖かった事…。

「そんなおれに可愛いって言うレイヴァン様も怖くて、抵抗しても止めてくれないし、嫌って言っても本気にして貰えない。服だって勝手に消しちゃうし。…尻の穴だけは絶対舐めないで、って約束で他はいいよって言ったのに結局舐めた。おれは本気で嫌だったのに、レイヴァン様は…おれも気持ち良さそうだって…っぐず…おれが…いいって言った…て、うぅ…おれぇ…そう言う意味で、言ったんじゃない、のにぃ…ふえっ」

おれの意見を聞いてくれない。おれの言葉を信じてくれない。おれとの約束を守ってくれない。

でも好きって言う。愛してるって言う。可愛いって言う。

それって本当におれの事好きなの…?

「おれ、したくてえっちしてるんじゃないのに…っ!好きで気持ち良くなってない…っ!淫乱でもない…っ!好きって言うくせにえっちな事ばっかりしてくるじゃん!えっちしたいだけなら好きって言うなよっ!えっちしたいだけって言えよぉ…っ!考えるって言ったおれがバカみたいじゃんかぁ…っ!自慢じゃないけどな、おれは誰かと付き合ったことも、ましてや告白されたのだって今回が初めてなんだぞ、恋愛なんて分かるかぁ!そんなおれでも好かれてるんだって、浮かれちゃっただろぉ…っ!おれ、おれはさぁ…っ、一緒にチョコ食べたかったんだよぉ…っ!レイヴァンのばかぁーっ!!うわあぁぁんっ!」

魔力暴走について聞いちゃったのはおれだけどさ、まさかあんなに重い話しが出てくるなんて思わないじゃん!?
しかもおれのお陰で立ち直れたなんて言われてもピンと来ないし。おれそんなにレイヴァン様のこと知らないし。

聞きたくなかったとまでは言わないけど、もっと後にして欲しかった。

だってまだその話しを自分事だって思える距離じゃないんだよ。

好きな食べ物とか、普段何してるとか、苦手な事とか…そういう事が知りたい。

レイヴァン様の事をもっと知りたかった。
だって好きになるって先ずはそこからでしょ?

おれの事だって全然知らないでしょ?
好きだって言うならもっとおれに興味持てよ。

「おれの思ってる好きと違うぅ…っ」

ちゃんとおれを見てる?
本当に好きなのはおれ?

おれはあんたの“救世主”なんかじゃない。

ただの、マシロだよ。




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