短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)

本野汐梨 Honno Siori

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アレ

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 行きつけの個人経営のカフェは、吹き抜けの2階まであるかなり広い店内で、コーヒーもご飯も美味しいが、ほぼ客がいない。そのかわり、沢山のアレが漂っている。

 幽霊は、上に行きたがるという話を聞いたことがあるだろうか?

 アレ達は、幽霊では無いと思うが午前中は一階の出入り口付近におり昼くらいには一階と吹き抜けの中間でぶらんぶらんと揺れている。夕方になって、僕が帰る頃には、吹き抜けの2階の電灯の横で天井に何度も自身をぶつけている。

 僕は、アレが何かわからない。僕には多分霊感はない。
 でも、僕がこのカフェに通う理由はアレを見るためなんだ。
 取り憑かれているのかもしれない。時々、アレが見たくて見たくて仕方がなくなる。
 そして、アレを見たくなると仕事をサボってでも見に行く。そしていつも、気づけばカフェでコーヒーを飲みながらアレを見ていた。それに至るまでの記憶は曖昧。ただ、強烈にアレが見たくなったことだけは覚えている。
 アレのせいで、正社員を辞め、気づけば貧乏フリーターになってバイトを転々としている。


 アレは妖怪なのだろうか。ご存じの方がいらっしゃったら教えていただきたい。
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