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前を走る友達の車
しおりを挟む8人で車で1時間くらいかかる場所のプールに遊びに行った。真夏の昼間の事。
まだ当時は学生だった。貧乏な僕らは、軽自動車2台をレンタルして遊びに行った。1台に4人ずつ乗った。
僕は、運転手を申し出た。酔いやすい体質だから。
行きの道中は、みんなで騒ぎまくった記憶しかない。時折、前を走る車の窓から友達が手を振ってきたり、信号待ちで後ろを振り返ってきて変なポーズとか変顔したりしてふざけてた。
そんな感じで、ふざけながら楽しくプールまでの道中を過ごすことができた。
プールは、最高だった。
平日だったが、8月はやはり小学生が夏休みなのでそれに合わせて大人達も休むのか、それともお盆の前後に有給をとっているのかわからないが、周りは山ばかりの田舎のプールなのに、かなりの人で混み合っていた。
僕らは、小学生に負けないくらい、というよりも僕らが1番はしゃいでいた。
帰る頃には夕方になっていた。というより、もう19時だった。
僕らは、プールの閉園後も駐車場でいつまでも8人で騒いでいたんだ。
いよいよ、駐車場を閉めるから出て行ってくださいって係員に言われて、渋々出て行くことにした。
夏の明るい夕方の中を僕らは帰路に着いた。
帰り道、また行きと同じように僕は友達の運転する車の後ろをついていった。もちろん運転手。
前を走る車に乗っている4人が、しょっちゅう手を振ったり、リアガラス越しに後ろを振り向いてくる。
別に、行きと変わらないような楽しい時間を過ごしていた。
でも、僕はちょっとおかしなことに気がついていた。
前を走る車の後部座席には2人しか乗っていないはずなのに、3人の頭がみえている。
しかも、男8人で遊びに来たのに女の頭に見える。
そして、消えたり現れたりする。
助手席の友達にその事を言おうか迷った。
でも、言わなかった。
多分、誰も気がついていないから。
僕は、いわゆる霊感が強い方なんだ。
だから、たまにこういうことがある。見えないものが見えてしまうことがある。
僕は、背筋が凍る思いをしながらやっとレンタカー屋に着いて車を返却した。
車を降りて確認した。やっぱり、女が後部座席に座っている。
僕は、もう気にしない事にした。
お店を出る時に視線を感じて振り返った。
僕らが借りていたレンタカーが、そこに停められていた。
前を走っていた車の後部座席には、まだ女が座っていた。
そして、その女と目が合った。
突然、僕の脳内にその女の声が響き渡ってきた。
「見えてるんだぁぁぁあー。」
女は、フロントガラスに顔がくっつくくらい身を乗り出して、君の悪い笑みを浮かべていた。
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