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弁当がまずい
しおりを挟むもうかれこれ40年前。
私が高校生だった頃。
当時の私は、家から1番近く公立高校に通っていました。
そんな母は、高校生の頃はいつも私にお弁当を作ってくれていました。
でも、その弁当は極端に不味かったんです。
いつもは、弁当以外は普通に美味しいご飯を食べさせてくれるんです。
でも、弁当だけ甘かったりしょっぱかったり。時には、鷹の爪が大量に入ったおかずもありました。
でも、私は母がせっかく作ってくれた弁当なので頑張って食べました。文句一つ言わなかったんです。
やがて、私は高校を卒業してかなり遠くに嫁いでしまいあまり母と関われていませんでしたが、40年経った今、母は病に倒れ亡くなりました。
亡くなる少し前に、私は帰郷しました。
姉が1人で行っていた母の介護を手伝おうと思ったのです。
そして、母が亡くなる直前に不意にこう呟いたんです。
「あなた、あれだけ呪ったのに私より長く生きるんだね…」
突然の呪いの単語に恐怖しました。
なんのことか分からない私は、黙って寝たきりの母の顔を見つめていました。
母は、そんな私を訝しげに見つめ返しました。そして、「べんとう…」と呟いたんです。
高校時代の不味かった弁当を思い出しました。
私はそれ以降母の介護は手伝わず、葬式には出ましたが、49日などには参加しませんでした。
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