22 / 32
昼休み
しおりを挟む僕は友達がいない。
だから、教室にあまり居場所がない。
特に昼休み。
昼休みには、教室に居場所が全く無くなってしまう。
でも、僕は生徒会に入ってから、【生徒会室】という居場所を見つけた。
あそこは本当に人が来ない。
ほとんど物置としてしか使われていない旧校舎の一教室の3階にあるからだ。
1階ならば、部活動の部室や物置として使っている教室もあるし、2階は用務員の人たちが頻繁に出入りしているようだ。
でも、3階は違う。
生徒会があれば、生徒会室は生徒で一杯になるけれども、何もない日なんて全く人が来ない。
こんな薄暗い旧校舎の薄暗い生徒会室に寄りつく人間なんて普通はいない。
でも、僕には最高の居場所。
人が溢れている、昼休みに誰も居ないって落ち着く。
僕は、いつも通り、昼休みに入るとすぐにスーパーで特売だった4個入り100円のメロンパンと水の入った水筒、暇つぶしに図書室で借りたよくわからない自己啓発本を手に持って、生徒会室に向かった。
相変わらず、誰もいない旧校舎。
僕は、淡々と階段を登り3階に上がった。
生徒会室の思い扉を開けると、会議の時に使っている長机に白くて小さい紙切れが置いてあるのに気がついた。
それから、遠目でもわかる、『山田くん』の文字
誰からの手紙かすぐにわかった。
「先輩の字だ。」
メモに駆け寄り、内容を見る。
『山田くんへ
放課後、ここで待ち合わせたいです。』
先輩から僕への置き手紙だ。
先輩の綺麗な字を見て心が、ジーンと熱くなる。
(…先輩。僕も会いたいです。先輩、大好きです。)
前にも、先輩が置き手紙をしてくれた事がある。
先輩は、トップ進学クラスだし忙しいから、会えない代わりに、生徒会室に置き手紙をしてくれる。
生徒会の仕事のお願いだったこともあるけど、『昨日はお疲れ様』とか『手伝ってくれてありがとう!』、『明日の生徒会は16時から!』とか、いろんな事を置き手紙にしてくれる。
もちろん、今は、僕の大切なコレクション。
先週の木曜日に先輩の家に泊まってから、ちょっと先輩に、そっけない態度をとっていた。先輩にズブズブに甘えてしまうのが怖くて、先輩の事しか考えられなくなるのが怖くて、すぐにやってくるお別れが怖くて…。
そんな情けない僕。
情けない僕なのに、先輩は優しく歩み寄ってくれる。
置き手紙見つめていると、優しい気持ちになる。
涙が出そうなくらい、嬉しい。
もう先輩と離れたい、今なら忘れられるって思っていたけれど、僕にはそんな事できない。
先輩、もちろん会いに行きます。
僕は、広い生徒会室の隅っこの床に座って、メロンパンを一つだけ取り出す。
先輩からの置き手紙をじっくり見ながら、僕は昼食のメロンパンを一つだけ食べた。
もちろん、お金が無いから一つだけしか食べないのだけれども、それ以上に今日は胸がいっぱいで食欲がない。
先輩に会えるからかなぁ。
僕は、メロンパンを食べ終わってから、壁に寄りかかって、先輩の家での出来事を思い出していた。
そんなつもりはなかったけど、勝手に股間が盛り上がってきてしまう。
「先輩、会いたい…。」
でも、こんなところで自分を慰めるなんてできない。
制服のズボンの上から少しだけ擦ってみる。
気持ちいい…。
でも、このくらいの刺激じゃいつまで経っても、達することはできない。
それなのに、先輩を思い出すだけで幸せな気持ちになる。
先輩、本当に大好き…。
硬くなったモノをどうしたらいいかわからないまま、僕は昼休みの終わりを迎えてしまった。
(1秒でも早く放課後になりますように。1秒でも長く先輩と一緒にいられますように。)
僕は、先輩の事ばっかり考えながら、午後からの授業を受けた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
23
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる