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体育祭当日2【有希】
リレーなんてあっという間に終わる種目だ。
先輩だって居てくれる。
それなのに、気持ちがこんなに重たい。
逃げ出したくてたまらない。そもそも、中学時代は体育祭当日は必ず欠席してたから、久しぶりに体育祭の雰囲気を味わう。僕は、この雰囲気に完全に飲まれていた。
いよいよリレー本番の自覚が芽生えて、緊張し出した僕は胸が苦しくて呼吸が荒くなった。
苦手な事をする時、よくこんな感じになる。
(やばい…。しんどい…。)
心臓がバクバク音を出している。
「午前中最後の種目は、部活動対抗リレーです。どの部活が速いのか、皆様ご注目ください。それでは、選手入場です。」
放送部のアナウンスが流れる。
緊張で頭がクラクラした。
必死に顔を上げて、蓮也先輩の背中にくっついて選手入場した。
1番目の走者が位置につく。
ピストルの音が鳴り響き、リレーがスタートしてしまった。
グラウンドに声援が響き渡った。
午前中最後で、花の種目かもしれない。
この種目の走者は、運動部の3年生ばかりだ。
生徒会の隣には、野球部が並んでいた。
「蓮也、お前には負けないから。」
低い声で坊主頭の3年生が、蓮也先輩に話しかけている。仲が良さそうではない。
「うん、そうだね。俺も負けないから。」
蓮也先輩は、話しかけた3年生に暗い声で返事した。
表情が見えない。怖い。
蓮也先輩は、元々野球部だった。
なにか、因縁の相手なのだろうか。
「生徒会、結構強いから。」
蓮也先輩が、もう一言返した。
「へー、でも怪我くらいで部活辞めちゃうような奴がリーダーだからなぁ~。ヤワな奴だよな~。」
嫌味ったらしく3年生が答えた。
重い空気、僕は息が絶え絶えになってきた。
重い空気を纏ったままの蓮也先輩が、1回目のスタート位置についた。
さっき話していた3年生の順番が同じみたい。
生徒会の、たぶん現役バスケ部の2年生が野球部より、少しだけリードして蓮也先輩へバトンを渡した。
(先輩…。負けないで…。)
野球部で蓮也先輩に何があったのか、僕は知らない。
でも、あんな嫌味を言うような人に蓮也先輩が負けるはずはない。そう、信じていた。
野球部も生徒会と僅差でバトンを渡した。
僕も、スタート位置についた。
「大丈夫、練習したから。」
小声で自分に言い聞かせた。
「有希くん!」
グラウンドを一周回った蓮也先輩が、野球部を僅かに引き離して戻ってきた。
僕は、震える手でバトンを受け取った。
(せめて、野球部に抜かれないようにしないと。)
呼吸が苦しい。
足がうまく動かない。
必死に足を動かしているけど、前に進んでいるのかどうかよくわからない。
口いっぱいに、鉄の味が広がった。
砂埃が顔に当たる。
背後に人の気配がした。
(やばい…!抜かれちゃう!!)
僕はもっと必死に足を動かす。
先輩が待ってるから…。
野球部の3年生と話していた蓮也先輩の顔が思い浮かぶ。
きっと、蓮也先輩は野球部で嫌な思いをしたに違いないと思った。
息が苦しい。
でも、、、
もうちょっと…。
僕は、ギリギリ、野球部からのリードを守りながら蓮也先輩にバトンを渡すことができた。
先輩だって居てくれる。
それなのに、気持ちがこんなに重たい。
逃げ出したくてたまらない。そもそも、中学時代は体育祭当日は必ず欠席してたから、久しぶりに体育祭の雰囲気を味わう。僕は、この雰囲気に完全に飲まれていた。
いよいよリレー本番の自覚が芽生えて、緊張し出した僕は胸が苦しくて呼吸が荒くなった。
苦手な事をする時、よくこんな感じになる。
(やばい…。しんどい…。)
心臓がバクバク音を出している。
「午前中最後の種目は、部活動対抗リレーです。どの部活が速いのか、皆様ご注目ください。それでは、選手入場です。」
放送部のアナウンスが流れる。
緊張で頭がクラクラした。
必死に顔を上げて、蓮也先輩の背中にくっついて選手入場した。
1番目の走者が位置につく。
ピストルの音が鳴り響き、リレーがスタートしてしまった。
グラウンドに声援が響き渡った。
午前中最後で、花の種目かもしれない。
この種目の走者は、運動部の3年生ばかりだ。
生徒会の隣には、野球部が並んでいた。
「蓮也、お前には負けないから。」
低い声で坊主頭の3年生が、蓮也先輩に話しかけている。仲が良さそうではない。
「うん、そうだね。俺も負けないから。」
蓮也先輩は、話しかけた3年生に暗い声で返事した。
表情が見えない。怖い。
蓮也先輩は、元々野球部だった。
なにか、因縁の相手なのだろうか。
「生徒会、結構強いから。」
蓮也先輩が、もう一言返した。
「へー、でも怪我くらいで部活辞めちゃうような奴がリーダーだからなぁ~。ヤワな奴だよな~。」
嫌味ったらしく3年生が答えた。
重い空気、僕は息が絶え絶えになってきた。
重い空気を纏ったままの蓮也先輩が、1回目のスタート位置についた。
さっき話していた3年生の順番が同じみたい。
生徒会の、たぶん現役バスケ部の2年生が野球部より、少しだけリードして蓮也先輩へバトンを渡した。
(先輩…。負けないで…。)
野球部で蓮也先輩に何があったのか、僕は知らない。
でも、あんな嫌味を言うような人に蓮也先輩が負けるはずはない。そう、信じていた。
野球部も生徒会と僅差でバトンを渡した。
僕も、スタート位置についた。
「大丈夫、練習したから。」
小声で自分に言い聞かせた。
「有希くん!」
グラウンドを一周回った蓮也先輩が、野球部を僅かに引き離して戻ってきた。
僕は、震える手でバトンを受け取った。
(せめて、野球部に抜かれないようにしないと。)
呼吸が苦しい。
足がうまく動かない。
必死に足を動かしているけど、前に進んでいるのかどうかよくわからない。
口いっぱいに、鉄の味が広がった。
砂埃が顔に当たる。
背後に人の気配がした。
(やばい…!抜かれちゃう!!)
僕はもっと必死に足を動かす。
先輩が待ってるから…。
野球部の3年生と話していた蓮也先輩の顔が思い浮かぶ。
きっと、蓮也先輩は野球部で嫌な思いをしたに違いないと思った。
息が苦しい。
でも、、、
もうちょっと…。
僕は、ギリギリ、野球部からのリードを守りながら蓮也先輩にバトンを渡すことができた。
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