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体育祭当日5 【有希】
体が熱いまま、風呂場を出た。
服は、蓮也先輩の物を借りた。
「ブカブカでかわいいね。彼シャツってやつ?えっちだね。」
蓮也先輩がブカブカのシャツを見て茶化すから、ちょっと恥ずかしかった。でも、身体中を蓮也先輩に包まれているみたいで心地が良かった。
蓮也が笑顔だったから、僕も自然と笑顔になった。
それから、2人で先輩が買ってくれたご飯を食べた。
「有希くん、リレー大変だったよね。一緒に走ってくれてありがとうね。」
「いえ、こちらこそ誘ってくれてありがとうございます。」
2人でくっつきながらご飯を食べる。
蓮也先輩のスマホで、お笑い芸人の動画を見た。
「ね、一個だけ聞いてもいいかな?」
「はい、なんでしょう。」
僕は、直感で蓮也先輩が僕に何を聞きたいのかわかった。
「過呼吸?って言うのかな。よくなるの?」
「たまに…。今日は、迷惑かけてすみません。お昼ご飯、食べれなかったですよね?」
ご飯を食べる手を止めて俯いた。
せっかく楽しい体育祭だったのに、僕のせいで昼休みが潰れてしまった。
蓮也先輩も手を止めた。
「迷惑じゃないよ。それにお昼ご飯食べられなかったのは有希くんもでしょ?俺は、有希くんが元気になってくれて嬉しい。それに、俺も無理させてたから…。こちらこそ、ごめんね。」
「いえ…。」
少しだけ空気が重くなった。
正反対に、動画のお笑い芸人は大爆笑を誘っているみたいで、機械を通したとても幸せそうな笑い声が部屋に響く。
何も言えなかった。
過呼吸には、たまになる。
むしろ、過呼吸の時に蓮也先輩がそばに居てくれて良かった。
息ができなくて、死んでしまうのではないかと言う恐怖で一杯の時に、そばに居てくれる人が居て、本当に良かった。
「あの、むしろ、過呼吸の時に蓮也先輩が、そばに居てくれて安心しました。」
「何もできなかったけどね。それに、最初、俺のこと遠ざけようとしたでしょ。」
そう、蓮也先輩の言う通りだ。
過呼吸の自分を好きな人に見られるのが嫌だったのだ。
「あの、嫌われたくなくて…。その…。気持ち悪いから…。」
「何が気持ち悪いの?大切な人が苦しい時はそばにいたいよ、俺は。」
そう言いながら、蓮也先輩がこちらを向いて両手を広げている。
僕は、広い胸の中に飛び込んだ。
「辛かったよね…。でも俺がついてるからね。いっぱい頼ってね。」
「うん、怖かった…。息できなくて死ぬかと思った。いつも死にたいって思ってるのに、いざとなると怖くて…。」
涙が出た。
「大丈夫、大丈夫。」
今まで何度も過呼吸は経験した。
体調が悪くて死にそうな事もあった。
それを今まで1人で乗り越えてきた。
でも今は違う。
頭を撫でる優しい手は、僕を助けてくれるのだと知った。
「蓮也先輩が居てくれて良かった。」
「俺も。有希くんがそばに居れば幸せ。」
お腹も大分満たされた僕は、泣き疲れて目を閉じた。蓮也先輩の両腕が、僕の体を支えてくれている。安心して体を預けた。
あまりにも心地が良くて、僕はそのまま寝てしまった。
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