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第1話 自由都市インベラ
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「ここが自由都市インベラか…。」
門をくぐって、両手でギリギリ抱えきれるぐらいの大荷物を道に降ろし、アルバートはため息をついた。
まっすぐに伸びている道の両側には商店街が並び、もう陽は暮れているのに喧騒がやまない様子は、『自由都市』にふさわしいように思われた。『自由都市インベラ』は、どの国にも属さない街だ。人々は自由に商売をして暮らしている。法律はなく、『インベラ隊』という大きな組織が街を守っているものの、治安は結構悪かった。ちょっとしたケンカは日常茶飯事だった。
(とりあえず宿を探すか…)アルバートは一緒に旅する仲間を探しにインベラに来たが、眠すぎて今はそれどころではなかった。
タバコをポケットから出して吸い、やや釣り気味の目で辺りを見渡しながら歩いていると、遠くに宿が見えた。
(ようやく寝れる…)眠くてぼうっとする意識の中、急に目の前に人が現れた。
(邪魔だなぁ…)
「おい、兄ちゃん、そのカバンの中には何が入っているんだ?」
そのジャガイモのような顔をした男がアルバートに話しかけてきたが、早く寝ることしか考えていない彼の耳には入らなかった。
「無視すると痛い目にあうぞ。人を苛立たせるような顔しやがって!!」
その男が20センチほどのナイフを怒った顔でアルバートに突きつけてきた。
(もしかしてこいつ、今まで俺に話しかけてたのか?何か知らないけど怒ってるし…)
アルバートはタバコを吹いて相手の顔に命中させた。そしてそのまま宿の方へと走り出した。
「くそ、この若僧が!!」
男がシュッとナイフをアルバートに向かって投げた。
男は不思議な気分だった。自分が投げたナイフが当たる直前にアルバートがパッと姿を消したのだ。
「どこに…?!」
言いかけて男は気付いた。アルバートが自分の背後にいることに。
雲ひとつない月夜がピカリと光った。
男は驚きのあまり目を見張った。アルバートの手を雷が纒っていたのだ!
「襲う相手を間違えたな!」
アルバートは手を振り下ろした。
気絶した男を人目のつかない所に置き、アルバートはタバコを再び吸いながら歩きだした。
(泣き声がきこえるきがするなぁ…。子供か?)
気づくと、左側の遠く離れた所で女の子が泣いていた。
「おい、君、大丈夫か?」
そう言ってアルバートは女の子の方に走って行ったが、彼の顔が怖かったのか、女の子は逃げて行ってしまった。
「ちょっと待って、おい!!」
アルバートは追いかけて行った。
「ようやく寝れる…」
あの後、女の子を家まで送ってあげたら彼女の母親に不審者と勘違いされてインベラ隊を呼ばれ、誤解を解くのに時間をかけてしまったため、ずいぶんと遅い時間になってしまった。
(いろいろあって疲れたけど、明日からは仲間集め、頑張るか!!)
アルバートはベットに入ってすぐに眠り寝落ちた。
彼はその時はまだ気づいていなかった。大きな戦いが、始まろうとしていることに。
門をくぐって、両手でギリギリ抱えきれるぐらいの大荷物を道に降ろし、アルバートはため息をついた。
まっすぐに伸びている道の両側には商店街が並び、もう陽は暮れているのに喧騒がやまない様子は、『自由都市』にふさわしいように思われた。『自由都市インベラ』は、どの国にも属さない街だ。人々は自由に商売をして暮らしている。法律はなく、『インベラ隊』という大きな組織が街を守っているものの、治安は結構悪かった。ちょっとしたケンカは日常茶飯事だった。
(とりあえず宿を探すか…)アルバートは一緒に旅する仲間を探しにインベラに来たが、眠すぎて今はそれどころではなかった。
タバコをポケットから出して吸い、やや釣り気味の目で辺りを見渡しながら歩いていると、遠くに宿が見えた。
(ようやく寝れる…)眠くてぼうっとする意識の中、急に目の前に人が現れた。
(邪魔だなぁ…)
「おい、兄ちゃん、そのカバンの中には何が入っているんだ?」
そのジャガイモのような顔をした男がアルバートに話しかけてきたが、早く寝ることしか考えていない彼の耳には入らなかった。
「無視すると痛い目にあうぞ。人を苛立たせるような顔しやがって!!」
その男が20センチほどのナイフを怒った顔でアルバートに突きつけてきた。
(もしかしてこいつ、今まで俺に話しかけてたのか?何か知らないけど怒ってるし…)
アルバートはタバコを吹いて相手の顔に命中させた。そしてそのまま宿の方へと走り出した。
「くそ、この若僧が!!」
男がシュッとナイフをアルバートに向かって投げた。
男は不思議な気分だった。自分が投げたナイフが当たる直前にアルバートがパッと姿を消したのだ。
「どこに…?!」
言いかけて男は気付いた。アルバートが自分の背後にいることに。
雲ひとつない月夜がピカリと光った。
男は驚きのあまり目を見張った。アルバートの手を雷が纒っていたのだ!
「襲う相手を間違えたな!」
アルバートは手を振り下ろした。
気絶した男を人目のつかない所に置き、アルバートはタバコを再び吸いながら歩きだした。
(泣き声がきこえるきがするなぁ…。子供か?)
気づくと、左側の遠く離れた所で女の子が泣いていた。
「おい、君、大丈夫か?」
そう言ってアルバートは女の子の方に走って行ったが、彼の顔が怖かったのか、女の子は逃げて行ってしまった。
「ちょっと待って、おい!!」
アルバートは追いかけて行った。
「ようやく寝れる…」
あの後、女の子を家まで送ってあげたら彼女の母親に不審者と勘違いされてインベラ隊を呼ばれ、誤解を解くのに時間をかけてしまったため、ずいぶんと遅い時間になってしまった。
(いろいろあって疲れたけど、明日からは仲間集め、頑張るか!!)
アルバートはベットに入ってすぐに眠り寝落ちた。
彼はその時はまだ気づいていなかった。大きな戦いが、始まろうとしていることに。
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