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一章
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ヴァンと別れ、ドアを開けた途端視線が一気に俺に集まった。
やべ、もう始まってたのか。
「……す、すいません。遅れました。」
とりあえず遅刻したらしいことを謝ってみたが
やけにシーンと静まり返ってるのが怖い。まさかここまで来て
もう試験終わってるとかないよな?いくら何でもそりゃないぜ。
「え?あれ?まだ試験受けられるよな?」
「き、君は……?」
こわごわ、といった様子のおっさんが声をかけてきた。
ああそうか。不審者と思われてんのか俺。
「あのー、ヴァンって先生に連れてこられたんだけど
Fクラスの入学試験ってまだ受けられるのか?」
「あ……ああ……。遅刻していたFクラス受験者か。
ならまずは属性と魔力量の検査からだ。
着いてきなさい。」
まだ受けられるみたいだ。よかったよかった。
床の真ん中は通路ってことなのか、ふわふわの黒いカーペットが敷かれている。
その上をおっさんが歩いていくのでそれに俺も着いていく。
……なんかやけに視線が突き刺さるな。全然誰も喋らねーし。
遅刻したのそんなにまずかったか?いや、それとも都会の奴らには
田舎もんが相当珍しいのか?
また良くない方向へ頭を働かせていると、目の前には
昼に獲ったホワイトベアと同じくらいのでかさの機械。
その中央には透明な丸い石がくっついていた。
「検査には、この魔力検査具を使うんだ。これはーー……。」
しまった。
おっさんが何やら説明始めたところ悪いんだが、今思い出したけど
俺まだホワイトベア食ってないぞ。
この試験終わったらすぐに調理しないとせっかくの新鮮な肉が勿体ない。
というか昼食ってないから結構腹減っててやばいんだが……。
この静けさの中で腹の虫なんか鳴らしたら恥ずかしさで死ぬな、なんて
ぼんやり考えてたら横から強い視線を感じた。
そっちを振り向くと、夜明け前の空みたいな紫色の瞳と目があった。
まさに光り輝く、という言葉がぴったりくるようなイケメン。
いや、イケメンつーかぱっと見は美人な女の人だ。
きらっきらの長い金髪を後ろで括っているから余計女の人みたいに見える。
でも結構でかいよな。俺と同じくらい身長ありそうだ。
……って、眺めてる場合じゃない。とりあえず遅刻したの謝っとこう。
この人一人だけ高いとこに立ってるってことはなんか偉い人なんだろうし。
「あ、すいません遅刻しちゃって。」
そう声をかけると美人イケメンは一瞬の間の後、顔を真っ赤にしうつ向きながら
小さな声で「……かまわない……。」と呟いた。
その瞬間、今まで嘘のように黙っていた他の奴らがその呟きをかき消すように
大歓声を上げた。
誰かの名前なんだろう単語を叫び、ナントカ様カワイー!!ナントカ様ー!!と
男どもの野太い声。
それからここは酒場情報では男子校だと聞いたんだが、なぜか甲高い声まで聞こえた。
なんなんだこいつら。普通に引く。
訳の分からない世界で居心地の悪い思いをしていると、今まで存在を
忘れていたおっさんがオホン、と咳払い。
おっと、そういえばこれから検査するって言ってたな。
「ーー今のは気にしないでいいから。
まずはこの丸石に手を触れ、少し魔力を込めるんだ。
色の変化で属性が、色の広がり方の大きさで魔力量が分かる仕組みだ。」
おっさんの丁寧な説明によると、属性とは体から放出される魔力が
どういう形をとって具現化されるかによって分類される。とのことだ。
ちなみに属性は七つあり、発現しやすい属性から水、地、火、風、雷。
そして光、闇。この二つは特別らしい。……ふーん、そうなんだ。
「分かったかい?さあ、やってごらん。」
言われた通り丸石に手を置く。なんだかあったかいぞ、この石。
取り敢えず魔力出せばいいんだよな。少しって言ってたし……こんくらいか?
と、力を込めた瞬間、透明だった石はみるみるうちに真っ黒のもやでいっぱいになり、
あ、これは力入れすぎたんだな。となぜか冷静に思った瞬間
石が粉々に砕け散った。
砕け散る石がキラキラと水しぶきのように輝くのを見ながら
弁償になったりしたらすぐさまここから走って逃げよう。
そう決意を決めた俺だった。
やべ、もう始まってたのか。
「……す、すいません。遅れました。」
とりあえず遅刻したらしいことを謝ってみたが
やけにシーンと静まり返ってるのが怖い。まさかここまで来て
もう試験終わってるとかないよな?いくら何でもそりゃないぜ。
「え?あれ?まだ試験受けられるよな?」
「き、君は……?」
こわごわ、といった様子のおっさんが声をかけてきた。
ああそうか。不審者と思われてんのか俺。
「あのー、ヴァンって先生に連れてこられたんだけど
Fクラスの入学試験ってまだ受けられるのか?」
「あ……ああ……。遅刻していたFクラス受験者か。
ならまずは属性と魔力量の検査からだ。
着いてきなさい。」
まだ受けられるみたいだ。よかったよかった。
床の真ん中は通路ってことなのか、ふわふわの黒いカーペットが敷かれている。
その上をおっさんが歩いていくのでそれに俺も着いていく。
……なんかやけに視線が突き刺さるな。全然誰も喋らねーし。
遅刻したのそんなにまずかったか?いや、それとも都会の奴らには
田舎もんが相当珍しいのか?
また良くない方向へ頭を働かせていると、目の前には
昼に獲ったホワイトベアと同じくらいのでかさの機械。
その中央には透明な丸い石がくっついていた。
「検査には、この魔力検査具を使うんだ。これはーー……。」
しまった。
おっさんが何やら説明始めたところ悪いんだが、今思い出したけど
俺まだホワイトベア食ってないぞ。
この試験終わったらすぐに調理しないとせっかくの新鮮な肉が勿体ない。
というか昼食ってないから結構腹減っててやばいんだが……。
この静けさの中で腹の虫なんか鳴らしたら恥ずかしさで死ぬな、なんて
ぼんやり考えてたら横から強い視線を感じた。
そっちを振り向くと、夜明け前の空みたいな紫色の瞳と目があった。
まさに光り輝く、という言葉がぴったりくるようなイケメン。
いや、イケメンつーかぱっと見は美人な女の人だ。
きらっきらの長い金髪を後ろで括っているから余計女の人みたいに見える。
でも結構でかいよな。俺と同じくらい身長ありそうだ。
……って、眺めてる場合じゃない。とりあえず遅刻したの謝っとこう。
この人一人だけ高いとこに立ってるってことはなんか偉い人なんだろうし。
「あ、すいません遅刻しちゃって。」
そう声をかけると美人イケメンは一瞬の間の後、顔を真っ赤にしうつ向きながら
小さな声で「……かまわない……。」と呟いた。
その瞬間、今まで嘘のように黙っていた他の奴らがその呟きをかき消すように
大歓声を上げた。
誰かの名前なんだろう単語を叫び、ナントカ様カワイー!!ナントカ様ー!!と
男どもの野太い声。
それからここは酒場情報では男子校だと聞いたんだが、なぜか甲高い声まで聞こえた。
なんなんだこいつら。普通に引く。
訳の分からない世界で居心地の悪い思いをしていると、今まで存在を
忘れていたおっさんがオホン、と咳払い。
おっと、そういえばこれから検査するって言ってたな。
「ーー今のは気にしないでいいから。
まずはこの丸石に手を触れ、少し魔力を込めるんだ。
色の変化で属性が、色の広がり方の大きさで魔力量が分かる仕組みだ。」
おっさんの丁寧な説明によると、属性とは体から放出される魔力が
どういう形をとって具現化されるかによって分類される。とのことだ。
ちなみに属性は七つあり、発現しやすい属性から水、地、火、風、雷。
そして光、闇。この二つは特別らしい。……ふーん、そうなんだ。
「分かったかい?さあ、やってごらん。」
言われた通り丸石に手を置く。なんだかあったかいぞ、この石。
取り敢えず魔力出せばいいんだよな。少しって言ってたし……こんくらいか?
と、力を込めた瞬間、透明だった石はみるみるうちに真っ黒のもやでいっぱいになり、
あ、これは力入れすぎたんだな。となぜか冷静に思った瞬間
石が粉々に砕け散った。
砕け散る石がキラキラと水しぶきのように輝くのを見ながら
弁償になったりしたらすぐさまここから走って逃げよう。
そう決意を決めた俺だった。
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