この星でいきぬく!

來帝

文字の大きさ
23 / 26

帰ってきた仲間と結末

しおりを挟む
「ロロ、ネリー・・・」と言いかけた時ロロは左の頬へネリーは右の頬へ平手を繰り出した。パァーン!と盛大に平手打ちを同時に双子から受けると私の意識はフッと消えた。

時は夕暮れ時、意識が戻りかけると両頬が赤く腫れヒリヒリとするが痛くはない、むしろ心がズキズキと痛かった。

「う・・・ここは?」
「あんたバカなんじゃないのにゃ?僕たちの平手喰らって気を失って倒れるわ、死んだと思ったら急に現れるわ・・・ひっく・・・」
「もう、二度と会えるとは思えなかったのよ。だから、わっち達は心の中で割り切ったつもりでいたのに、現れて挨拶もなしにいきなりおかあさまに挑むとかバカよ。ぐすっ・・・」

意識を失っているうち双子に介抱されていたみたいだ。しかも目をあけたらいきなりバカよわばりとか。

「ごめんよ。二人には生きていることを伝えなきゃいけなかった。それに凄く心配させたのは悪かったと思ってる。でもな、ああいう形で現れないとお前たちの母親・・・族長と言った方がいいか。納得しなかっただろうし、周りへの示しが付かなかったはずなんだ。だから、私が死に際に聞いたじゃないか「ディ・スパールを持ってきたら戦士にしてくれるのか?」とね。」
「ダイチはバカにゃ・・!僕たちのことなんか心配しなくてもよかったのに。」
「そうよ・・おかあさまに話せば理解してくれるはずだったのに。」
「バカバカと酷いねぇ~。君たちが言ってくれたんじゃないか、私は既にだと。だからこそ裏切りたくないし、守りたかったのだよ。ってやつをさ。」
『・・・。』

「何を黙っているんだい?」と問いかけると号泣し始めるロロとネリー。

仲間の絆ってのは簡単に切れるもんじゃない。だから、どんな犠牲を払っても守りたい、例え我が身を投げ出すことになろうとも。夜も更け泣き疲れて寝た双子をそっとして部屋から出る。

「今夜は綺麗な満月が二つか・・・何て神秘的なんだろう。そうは思わないか?ラナ、エイム族長殿。」
「何じゃ我らの気配に気が付いておったのか。全く世話の焼けるバカ者よなぁ?エイムよ。」
「神龍様の仰る通りでしたね。この者の仲間を思う願いの強さは本物で安心いたしました。」
「だろうさ、この我が認めた男ぞ。この世界の者ではないが思いを貫く熱い心を持った異形の者ぞクククっ。」
「これも何かの縁という物でしょうか・・・。我々猫族も掟に縛られずに生きていく術を身につけなくてはいけないのかもしれませんね。異形のダイチとやら。この度はすまなんだ。本当に生きて帰ってしかもディ・スパールを更に美味しくする技術を持つとは思いにもよらなんだ。族長であるゆえ、皆の前では言えぬが戦士として我が娘たちのことをよろしく頼んだぞ。」
「ああ、確かに任された。この命を賭そうとも守り抜くと約束しよう。」
「これではどちらが族長なのかわからぬではないかククク。ああ、面白きや面白き!!生きて幾星霜小さな事だが世界がまた一つ動いた。今度はどんな事を仕出かしてくれようぞ!ワクワクが止まらぬ止まぬ!のう、ダイチよ。」
「ラナ。悪趣味だぜ?私は何もしてはいないよ。ただ守りたかっといったではないか。」

「そうよのぅ。確かにそうよのぅ。ククク」とラナは無邪気な子供のようにずっと笑っていた。

「エイム族長。私は今回の事で色んなことを学び、失っていた記憶まで取り戻すことができました。そこで、旅に出ようかと思っています。色んな土地、人、物を見て、味わって、触れてみたい。ロロとネリーが付いて来てくれるかはわかりませんが相談してみようと思います。許可をいただけますか?」
「・・・。ふふふ。許可を出すも何もお主に任せたと言ったばかりではないか。この大密林シーヴァだけの小さな世界だけでなく、もっと大きな視点で見れる世界を味合わせてやっておくれ。」
「ありがとうございます。」

エイム族長に一礼をしてラナに旅に着いてくるか?と尋ねると「それもまたおもしかろうな。うむ、着いていくぞ。」と返事を貰った。

ラナはエイム族長に「しばしの間留守にするがこの大密林シーヴァの守護を頼んだぞ」と口にするとエイム族長は「御意に」と返事をする。

さぁ、見知らぬ世界を旅して周ろう。苦難もあるだろうが仲間がいれば乗り越えれるだろう。今から私のこの星での初めての冒険が始まる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

処理中です...