26 / 196
未熟な冒険者のコルト
金策の模索
しおりを挟む
「そう言えばコルト」
「はい?」
「ここに来る人の防具とかも作ってたんだよな」
「あ……ごめんなさい。受け取ったアイテムをどう組み合わせても、コウジさんのお店で売っても差し障りがない物が作れなかったので……」
謝られてもこっちは別に気にすることでもないが。
店の収入を優先してほしいという気持ちは強いが、店の利益にならないものの製造は禁止してはいなかったはずだ。
にしても、金属の加工とかよくできるもんだ。今更だけど。
「その防具とか完成したら、誰かに譲る前に俺にも見せてほしいんだけど」
万が一にも商品にできる物があるかもしれん。
こっちの方で防具って言ったら、すぐに思い浮かぶのは剣道だよな。
似たような物があったら売ってみようか。
でも品質保証とか、あるいは武道具店とか購入者からのクレームがあったら対応しきれないか。
ま、売り物にするかどうかは見てから考えるか。
「嬢ちゃんが作った装備品なら俺もつけてるぜ。別にこれを目当てにして助けたわけじゃなかったけどな」
「分かってますよ。私だって、作った物をあんなに褒められるなんて思いもしませんでしたから」
コルトを助けた男戦士が、両腕の小手と上腕の防具を見せに来た。
ここにいる者達全員の装備は、口が悪い言い方をすればボロボロだ。
二人の話によれば、ついさっき完成した物らしい。
つまり新品って訳だ。
だがそのボロボロの装備と見比べても、何の違和感もない。
コルトが作った装備品の素材も悪くはない物だったらしいが、有り合わせの物を寄せ集めたという感じ。
けれどもそれはそれで、味がある。
だがしかし。
「……その趣向を好む奴らへの受けはいいかもなー」
「趣向?」
男戦士のこの装備で、ここに来る羽目にさせられた魔物と対峙したら間違いなく一たまりもないんじゃなかろうか?
そういう意味でも実用的とは思えない。
けれども、そのテの物を集める蒐集家には高く売れそうな気が……しないでもない。
それにしてもコルトはつくづく器用なもんだ。
布製の物は編み物か?
金属製の物には魔法でも使ってるんだろうか。
「私の世界での武器屋とか防具屋で安く売られている品に似た物なら……作ってみます?」
「店の商品になる物を優先してくれな」
「分かりました」
基本的には小物よりも、でかい物を売った方が儲けが大きくなる。
ちょいとばかり大掛かりな事業っていうか、そんなことを思いついた。
俺の仕事の生産性を高められそうだからやっておきたい。
祖母ちゃんが残してくれた財産を使えば出来なくはないが、生産性が高まっても収入につながるかどうかはまた別問題。
それはキープしたまま計画を進行させたいから、実行に移すにはまだ時期尚早だな。
それにしても、握り飯の具で目新しいのを思いつけない。
コンビニの握り飯には、シーチキンマヨとかネギトロワサビとかいろいろある。
だが具を作る手間を考えると、握り飯を作る数が前提だから、時間的に足を引っ張るような具材は却下。
それだと『畑中商店』の売上同様、握り飯作りの成果が芳しくない。
握り飯の具ばかりじゃなく、ガーディニンググローブとスライムドライバー以外の『畑中商店』の目玉商品のアイデアも浮かばない。
しかも相変わらず、一日に完成させられる数量は三つが限度。
コルトが来てくれたことで『畑中商店』に余裕が生まれたのは、せいぜい俺の気持ちくらいだ。
店の収入額は上がったものの、余裕が出るにはまだほど遠い。
「まぁ無理してレパートリー増やす必要もないか」
※※※※※ ※※※※※
それから三日目。
ノートを一冊ずつ持ってくるのが面倒なほど、何かを書き記したがる奴が増え、一人当たりの書く量もどんどん増えていく。
目新しい変化ってばそれくらいだった。
ちなみにノートの中身は、俺には理解できないことだらけ。
象形文字か何かか?
ミミズの貼ったような物があったり、数学の図形や記号の羅列みたいなのがあったり。
「人の書いた物を無断で読むというのはどうなんだ?」
そんな声もあったが
「じゃあお前ら、この中身全部読み取れるのか?」
の俺の一言で撃沈。
それでも会話ができるってのも不思議な話だ。
それ以上に不思議な現象が起きてるから、そんなのは俺にとっちゃ些細なことだ。
で、この日はさらに特別なことが。
「コウジさん、こんなのしか出来ませんでした……」
一見革製品の胸当て、腰当て……とでもいうのだろうか、剣道のたれのような物が腰を一周して覆うような防具。
剣道の小手よりも長い防具に脛当て。
それなりに上等そうだ。
「鎧をって言われたのは分かってるんですけど」
あ、確かにな。
これじゃ防具だが、鎧も防具だし装備品だし。
けど見た目、なかなか整ってる感じがする。
それに、男戦士が付けてたつぎはぎっぽい防具よりはかなり品質が良さそうだ。
「いや、ちょっと見惚れるくらいの物だ。これ、ネットオークションにかけてみる。今まで作った物よりも儲けが大きくなるかもな」
「私のスキルが役に立てられるならうれしいんですけど……」
まぁ売れるかどうかは、買い手の意思次第だからな。
売れなくても、ここにいる誰かは欲しがるだろ。
「はい?」
「ここに来る人の防具とかも作ってたんだよな」
「あ……ごめんなさい。受け取ったアイテムをどう組み合わせても、コウジさんのお店で売っても差し障りがない物が作れなかったので……」
謝られてもこっちは別に気にすることでもないが。
店の収入を優先してほしいという気持ちは強いが、店の利益にならないものの製造は禁止してはいなかったはずだ。
にしても、金属の加工とかよくできるもんだ。今更だけど。
「その防具とか完成したら、誰かに譲る前に俺にも見せてほしいんだけど」
万が一にも商品にできる物があるかもしれん。
こっちの方で防具って言ったら、すぐに思い浮かぶのは剣道だよな。
似たような物があったら売ってみようか。
でも品質保証とか、あるいは武道具店とか購入者からのクレームがあったら対応しきれないか。
ま、売り物にするかどうかは見てから考えるか。
「嬢ちゃんが作った装備品なら俺もつけてるぜ。別にこれを目当てにして助けたわけじゃなかったけどな」
「分かってますよ。私だって、作った物をあんなに褒められるなんて思いもしませんでしたから」
コルトを助けた男戦士が、両腕の小手と上腕の防具を見せに来た。
ここにいる者達全員の装備は、口が悪い言い方をすればボロボロだ。
二人の話によれば、ついさっき完成した物らしい。
つまり新品って訳だ。
だがそのボロボロの装備と見比べても、何の違和感もない。
コルトが作った装備品の素材も悪くはない物だったらしいが、有り合わせの物を寄せ集めたという感じ。
けれどもそれはそれで、味がある。
だがしかし。
「……その趣向を好む奴らへの受けはいいかもなー」
「趣向?」
男戦士のこの装備で、ここに来る羽目にさせられた魔物と対峙したら間違いなく一たまりもないんじゃなかろうか?
そういう意味でも実用的とは思えない。
けれども、そのテの物を集める蒐集家には高く売れそうな気が……しないでもない。
それにしてもコルトはつくづく器用なもんだ。
布製の物は編み物か?
金属製の物には魔法でも使ってるんだろうか。
「私の世界での武器屋とか防具屋で安く売られている品に似た物なら……作ってみます?」
「店の商品になる物を優先してくれな」
「分かりました」
基本的には小物よりも、でかい物を売った方が儲けが大きくなる。
ちょいとばかり大掛かりな事業っていうか、そんなことを思いついた。
俺の仕事の生産性を高められそうだからやっておきたい。
祖母ちゃんが残してくれた財産を使えば出来なくはないが、生産性が高まっても収入につながるかどうかはまた別問題。
それはキープしたまま計画を進行させたいから、実行に移すにはまだ時期尚早だな。
それにしても、握り飯の具で目新しいのを思いつけない。
コンビニの握り飯には、シーチキンマヨとかネギトロワサビとかいろいろある。
だが具を作る手間を考えると、握り飯を作る数が前提だから、時間的に足を引っ張るような具材は却下。
それだと『畑中商店』の売上同様、握り飯作りの成果が芳しくない。
握り飯の具ばかりじゃなく、ガーディニンググローブとスライムドライバー以外の『畑中商店』の目玉商品のアイデアも浮かばない。
しかも相変わらず、一日に完成させられる数量は三つが限度。
コルトが来てくれたことで『畑中商店』に余裕が生まれたのは、せいぜい俺の気持ちくらいだ。
店の収入額は上がったものの、余裕が出るにはまだほど遠い。
「まぁ無理してレパートリー増やす必要もないか」
※※※※※ ※※※※※
それから三日目。
ノートを一冊ずつ持ってくるのが面倒なほど、何かを書き記したがる奴が増え、一人当たりの書く量もどんどん増えていく。
目新しい変化ってばそれくらいだった。
ちなみにノートの中身は、俺には理解できないことだらけ。
象形文字か何かか?
ミミズの貼ったような物があったり、数学の図形や記号の羅列みたいなのがあったり。
「人の書いた物を無断で読むというのはどうなんだ?」
そんな声もあったが
「じゃあお前ら、この中身全部読み取れるのか?」
の俺の一言で撃沈。
それでも会話ができるってのも不思議な話だ。
それ以上に不思議な現象が起きてるから、そんなのは俺にとっちゃ些細なことだ。
で、この日はさらに特別なことが。
「コウジさん、こんなのしか出来ませんでした……」
一見革製品の胸当て、腰当て……とでもいうのだろうか、剣道のたれのような物が腰を一周して覆うような防具。
剣道の小手よりも長い防具に脛当て。
それなりに上等そうだ。
「鎧をって言われたのは分かってるんですけど」
あ、確かにな。
これじゃ防具だが、鎧も防具だし装備品だし。
けど見た目、なかなか整ってる感じがする。
それに、男戦士が付けてたつぎはぎっぽい防具よりはかなり品質が良さそうだ。
「いや、ちょっと見惚れるくらいの物だ。これ、ネットオークションにかけてみる。今まで作った物よりも儲けが大きくなるかもな」
「私のスキルが役に立てられるならうれしいんですけど……」
まぁ売れるかどうかは、買い手の意思次第だからな。
売れなくても、ここにいる誰かは欲しがるだろ。
2
あなたにおすすめの小説
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~
小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ)
そこは、剣と魔法の世界だった。
2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。
新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・
気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~
うみ
ファンタジー
恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。
いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。
モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。
そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。
モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。
その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。
稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。
『箱を開けるモ』
「餌は待てと言ってるだろうに」
とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
男が英雄でなければならない世界 〜男女比1:20の世界に来たけど簡単にはちやほやしてくれません〜
タナん
ファンタジー
オタク気質な15歳の少年、原田湊は突然異世界に足を踏み入れる。
その世界は魔法があり、強大な獣が跋扈する男女比が1:20の男が少ないファンタジー世界。
モテない自分にもハーレムが作れると喜ぶ湊だが、弱肉強食のこの世界において、力で女に勝る男は大事にされる側などではなく、女を守り闘うものであった。
温室育ちの普通の日本人である湊がいきなり戦えるはずもなく、この世界の女に失望される。
それでも戦わなければならない。
それがこの世界における男だからだ。
湊は自らの考えの甘さに何度も傷つきながらも成長していく。
そしていつか湊は責任とは何かを知り、多くの命を背負う事になっていくのだった。
挿絵:夢路ぽに様
https://www.pixiv.net/users/14840570
※注 「」「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる