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シルフ族の療法司ショーア
異世界で 流れる噂に 物申す
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何度も言うが、この部屋に来る連中は全員、命からがらという様子で入ってくる。
一部の例外を除けば、その姿には何の差別もない。
異世界人への援助の仕事は、知ってたか知らなかったかは知らないが俺の両親は関わってない。
曽祖父母から始まって、祖父母、そして俺が引き継いでいる。
つまり……百年くらい経ってるのかな。
何が言いたいかって言うと、それだけ長い年月が経ってるが、ここを利用する者達は同じ期間ずっと利用し続けてるわけじゃないってこと。
百年以上この施設は存続しているのに、俺の代で初めてここに来たって奴も大勢いる。
握り飯って何ぞ? とここに来て初めて思う奴もいるってことだ。
何度も同じ説明を、ここに来る全ての連中にするのは面倒だ。
だが面倒くさいということを、好きか嫌いかをする材料にはしない。
その説明を有り難く聞いてくれりゃ、こっちも説明のし甲斐があるというもんだし、説明を求めた奴が「聞いてねぇから」なんてからかいの言葉をかけて来る奴には腹が立つ。まぁそんな奴はいなかったけどな。
「え? あ、あの、それ、そのまま」
「え? これ、包み紙でしょ?」
包み紙?
包んだ覚えはないんだが?
「そ、それはそのまま食べるんですよ!」
「え?」
海苔を剥がして食べようとした奴がいたらしい。
行列の先頭近くに並んでたらしいから、初めて見る物なら食い方も分らんか。
「おい、お前らよくそれに触れるな」
そんなことを言う奴もいた。
握り飯を作ってるところを見てたはずなんだが。
「ちゃんと手袋して、食中毒を起こさない工夫もしてるので大丈夫ですよ」
ショーアが解説してくれた。
異世界にも食中毒があると知り、手は尽くすべきだなとつくづく感じたんだが、そいつが恐れたのはそこじゃないらしい。
「……どういう仕掛けで爆発するんだ?」
爆弾じゃねぇっつーの!
けどこいつらの職業柄、それくらい用心しなきゃやっていけないんだろうなぁ。
ここに慣れた同業者がいる時は、そいつらが勝手に初見の連中に説明してくれる。
その時ばかりは有り難いと思う。
が、そいつらがいない時の方が多い。
分かってもらえるまでのかかる時間がもったいない。
しかもなかなか分かってもらえそうにない。
握り飯の受け取り拒否をするのは別に問題ない。
食いたい奴に渡せばいいだけのこと。
だが握り飯を手にして、食おうか食うまいか迷ってる奴は厄介だ。
命が尽きる直前に安全地帯に入り込んだら、そりゃ疑心暗鬼にもなるわな。
それは理解できる。
だが、迷うのは握り飯を掴む前にしろっての。
ショーアもいなかったら、ある意味お手上げだ。
行列が全く進まなくなりそうな時もあったんだからな。
どこぞの女王サマの話、何となく理解できる。
昔はこんなに異世界人はいなかったって話。
俺がこの仕事を始めて六年目。
それだけでもここに来る連中の入れ替わりが激しくなってきてるのは分かる。
俺がこの仕事を始めた時は、面倒ながらも一人一人に説明できる余裕があったからな。
この部屋の噂の出所は、ここに来る連中。
今までよりも噂が広まるのが早く感じるのは、もちろんそのせいだろう。
それが、あの女王サマが久しぶりにやってきたきっかけにもなった。
だが、噂が広まるスピードもそれなりに違ってくる。
本当の事だったりデマだったり、そんな違いも出てきた。
それにしてもだ。
「だんだん関心ごとがこの部屋よりも俺のことの方に強まってるのはどういうことだ?」
「私もまんざらじゃないんですけど」
俺に彼女がいるのか。
俺に友人はいるのか。
ほっとけよ。
お前らの世話で手一杯なんだよ。
いなくたって平気だってのに、ショーアが変に近寄ってくる。
「……俺が特別にサービスするのは、お前が普段よりも特別に力を入れて手伝ってくれたってのが分かった時だけだからな?」
「が……頑張ります……」
食い意地がコルトよりもひでぇ。
カレー目当てに俺に近づこうとするのが見え見えだ。
「いいなぁ……。私もここで手伝う生活してみよっかなぁ」
女魔導師を久々に見た。
あちこちが破れているものの、その衣装はしょっちゅう見るものじゃない。
記憶にはある姿だが、もちろんその顔に見覚えはないぞ。
ちなみに、食うと力がどうこうって話のことなんだが、カレーよりも握り飯の方が効果が高いそうだ。
それでも人気が高いカレー。
異世界に移動できるなら、雑貨屋よりもそこでカレー屋さんでも開いた方が儲かりそうだ。
というか、トラブルの元が一つ減るのは間違いない。
なんでこう……。
まったくもう……。
頼むから、噂は正確に流してくれよ……。
一部の例外を除けば、その姿には何の差別もない。
異世界人への援助の仕事は、知ってたか知らなかったかは知らないが俺の両親は関わってない。
曽祖父母から始まって、祖父母、そして俺が引き継いでいる。
つまり……百年くらい経ってるのかな。
何が言いたいかって言うと、それだけ長い年月が経ってるが、ここを利用する者達は同じ期間ずっと利用し続けてるわけじゃないってこと。
百年以上この施設は存続しているのに、俺の代で初めてここに来たって奴も大勢いる。
握り飯って何ぞ? とここに来て初めて思う奴もいるってことだ。
何度も同じ説明を、ここに来る全ての連中にするのは面倒だ。
だが面倒くさいということを、好きか嫌いかをする材料にはしない。
その説明を有り難く聞いてくれりゃ、こっちも説明のし甲斐があるというもんだし、説明を求めた奴が「聞いてねぇから」なんてからかいの言葉をかけて来る奴には腹が立つ。まぁそんな奴はいなかったけどな。
「え? あ、あの、それ、そのまま」
「え? これ、包み紙でしょ?」
包み紙?
包んだ覚えはないんだが?
「そ、それはそのまま食べるんですよ!」
「え?」
海苔を剥がして食べようとした奴がいたらしい。
行列の先頭近くに並んでたらしいから、初めて見る物なら食い方も分らんか。
「おい、お前らよくそれに触れるな」
そんなことを言う奴もいた。
握り飯を作ってるところを見てたはずなんだが。
「ちゃんと手袋して、食中毒を起こさない工夫もしてるので大丈夫ですよ」
ショーアが解説してくれた。
異世界にも食中毒があると知り、手は尽くすべきだなとつくづく感じたんだが、そいつが恐れたのはそこじゃないらしい。
「……どういう仕掛けで爆発するんだ?」
爆弾じゃねぇっつーの!
けどこいつらの職業柄、それくらい用心しなきゃやっていけないんだろうなぁ。
ここに慣れた同業者がいる時は、そいつらが勝手に初見の連中に説明してくれる。
その時ばかりは有り難いと思う。
が、そいつらがいない時の方が多い。
分かってもらえるまでのかかる時間がもったいない。
しかもなかなか分かってもらえそうにない。
握り飯の受け取り拒否をするのは別に問題ない。
食いたい奴に渡せばいいだけのこと。
だが握り飯を手にして、食おうか食うまいか迷ってる奴は厄介だ。
命が尽きる直前に安全地帯に入り込んだら、そりゃ疑心暗鬼にもなるわな。
それは理解できる。
だが、迷うのは握り飯を掴む前にしろっての。
ショーアもいなかったら、ある意味お手上げだ。
行列が全く進まなくなりそうな時もあったんだからな。
どこぞの女王サマの話、何となく理解できる。
昔はこんなに異世界人はいなかったって話。
俺がこの仕事を始めて六年目。
それだけでもここに来る連中の入れ替わりが激しくなってきてるのは分かる。
俺がこの仕事を始めた時は、面倒ながらも一人一人に説明できる余裕があったからな。
この部屋の噂の出所は、ここに来る連中。
今までよりも噂が広まるのが早く感じるのは、もちろんそのせいだろう。
それが、あの女王サマが久しぶりにやってきたきっかけにもなった。
だが、噂が広まるスピードもそれなりに違ってくる。
本当の事だったりデマだったり、そんな違いも出てきた。
それにしてもだ。
「だんだん関心ごとがこの部屋よりも俺のことの方に強まってるのはどういうことだ?」
「私もまんざらじゃないんですけど」
俺に彼女がいるのか。
俺に友人はいるのか。
ほっとけよ。
お前らの世話で手一杯なんだよ。
いなくたって平気だってのに、ショーアが変に近寄ってくる。
「……俺が特別にサービスするのは、お前が普段よりも特別に力を入れて手伝ってくれたってのが分かった時だけだからな?」
「が……頑張ります……」
食い意地がコルトよりもひでぇ。
カレー目当てに俺に近づこうとするのが見え見えだ。
「いいなぁ……。私もここで手伝う生活してみよっかなぁ」
女魔導師を久々に見た。
あちこちが破れているものの、その衣装はしょっちゅう見るものじゃない。
記憶にはある姿だが、もちろんその顔に見覚えはないぞ。
ちなみに、食うと力がどうこうって話のことなんだが、カレーよりも握り飯の方が効果が高いそうだ。
それでも人気が高いカレー。
異世界に移動できるなら、雑貨屋よりもそこでカレー屋さんでも開いた方が儲かりそうだ。
というか、トラブルの元が一つ減るのは間違いない。
なんでこう……。
まったくもう……。
頼むから、噂は正確に流してくれよ……。
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