俺の店の屋根裏がいろんな異世界ダンジョンの安全地帯らしいから、握り飯を差し入れてる。

網野ホウ

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後日談:屋根裏部屋は異空間! おにぎりが結ぶ、俺を知らない父さんとの縁

冒険者養成学校での実戦授業の撤収場面

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「ふぅ……何とか片付けたな」
「ヘルハウンド五体……我ながらよく倒せたもんだ。っと、周りは……よし、安全確保。お前ら、こっちに来ていいぞー」

 ヒュージとノクトに呼ばれて、そこに全員集合。
 二人への称賛の言葉が飛び交う。

「お疲れ。でも学生の私達でもよくこんなの倒せたわよね」
「有効手段が物理攻撃ばかりじゃなかったからだろ。バックアップも助かった」
「どこかの鈍い人がいなかったらもっと手早くできたかもね」

 そこから俺への嫌味も混じる。
 誰も好き好んでそんなもんを聞きたがる奴はいない。

「……教官に報告に行ってくる」
「お前の出番はここだけだもんな」
「回復の道具、一通り置いてってね? いくら足が速いって言ってもその時間くらいはあるでしょ?」

 はいはい、分かりましたよ。
 口答えすると空気も悪くなる。
 心の中でそう思って反抗するだけ。

「薬とかはいいけど……またおにぎりとやら? 飽きないわね」
「噂話の秘密の部屋の食いもんとかだろ? もういい加減諦めろよ。いくら他に取り柄がないからってただの噂話にあやかってんじゃねぇよ」
「うちの家族も何人か冒険者やってて、その秘密の部屋に行ったことがあるって言う人いたけどさぁ。あんた、ただの真似事してるだけじゃない」

 俺の父さんのことは、メンバーにも、そして学校にも伝えてない。
 一族から追い出された原因だし。
 それに、父さんのことまで馬鹿にされたくないし。
 たくさんの人から喜ばれた父さんの功績を、何も知らない奴から見下され、馬鹿にされるのは許せなかったしな。

「……報告してくる」

 それでも一々ケチつけてくる。
 聞きたくもないから一刻も早くこの場を離れた。

 ※

「ヘルハウンドを五体? ふむ……まぁグループで対応したわけだからな。そんな事実もあり得なくはないか。うん、課題達成だな。ご苦労。今日は戻ってくるように伝えなさい」
「はい……」

 ダッシュで教官の所に行くんだけど、ダッシュした分早く戻ってしまうんだよな。
 不愉快な思いを消化し切る前に、な。
 ダンジョン内の現地点から入り口まで、そして入り口から教官がいる場所まで約四キロの往復。
 人馬族なら六分を越える時間を、ちょうど六分になるくらいで戻る。

「一回の戦闘で帰還の許可って、つくづく相棒に恵まれてるわ、俺」
「前衛戦績トップのヒュージが何言ってんだよ。照れるわ」
「ヒュージの相棒って言ったらフォールスじゃないの? 自分で言ってて妬けるけど」
「……何馬鹿な事言ってるのよ。さ、戻るわよ」

 フォールスは大概誰にでもそんな感じ。
 クールというか……。
 でもやっぱり俺にかける言葉には棘があるっつーか、他の奴らと同じように嫌味っぽいっていうか。
 けど、全員の気が緩みかけるこんな状況でのこいつの言葉は有り難い。
 いつまでも駄弁ってたら、俺への口撃が止まらなくなるからさ。

「ヒュージ班、全員帰還しました! 戦闘経過の記録ですっ」
「うむ、ご苦労。休憩してよしっ」

 戦闘の記録は透明な魔法球に残され、その球から照射される光の中でその映像を再現できる。
 立体的に、しかも縮小拡大も自由に操作できるから、細かいところまで随分見やすい。
 それを提出した後、木陰に移動して仮眠をとる。
 そこでは魔物は全く出現しない。
 元気が取り柄みたいな連中だって、油断したら大怪我をするかもしれない現場に長く滞在すりゃ、そこから出たら誰だって気が緩んで眠くなる。
 俺達が起こされたのは、全員無事にダンジョンがある洞窟から出てくる頃だった。

 全グループの結果報告が伝えられ、いつものことだけど成績優秀と言うことで、俺達のグループはまたも高評価を得た。

 ……んだけど、後で全員呼び出しを食らった。

 ※
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