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第三章 三件目 異世界への転移、転生希望者へ一言
女神との面接、両者の手落ち
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「お前がどこで何しようとお前の人生だから、赤の他人から評価されようが批判されようが気にするこたぁねぇと思う。だがな、愚痴ばかり聞かされる方にもなってみろよ」
前向きな言葉が出てくりゃ、いくら無関係を押し通す俺だって好感は持てるようになるさ。
けどななにどういう人生を送りたいかを伝えて、その希望を叶えやすい世界に転移させてもらった。
ありがたいとは思わんのかね。
「お前の自由にしていい世界だろ? だったら俺から話を求めず、自分で思うように動きゃいい。なのにお前は愚痴や不安を言ってばかり。損をしてるのは俺だけなんだぜ?」
たまにはこっちから文句を言っても構わんだろうよ。
つーか、真面目に文句を言うのは初めてかもしれん。
言われた方は八つ当たりと思うかも分からんが、こいつが発端であることも間違いはない。
別に言い過ぎたとは思ってはいないが、そいつはなんだか泣きそうになってきている。
やれやれだ。
前世の十二年間で得た、そこでの常識や知恵を持つこいつに、俺の二十年以上生きて得たそれらを生かすことが出来るかどうか。
だが、自分で考えろと言っても考えようとする気力もないんじゃなかろうか?
まだまだ子供ってことだ。早くいい大人と知り合えりゃ何とかなるだろうがな。
「魔王になるっつってたな。それはどういう奴か、具体的に考えたことがあるのか?」
何の関心もない、と思ってた奴がいきなり話しかけてきた。
その内容は、自分がなりたい自分の理想。不思議そうに俺を見る。
まぁ当たり前の反応だろうが、俺にとっちゃあまり気分のいい物じゃない。
「どうなりたいか、じゃなくて、周りからどう思われるかってことじゃないのか? ……この世界にも蟻はいるんだな……。そうだな、蟻になりたいとしよう。そして蟻になった。で、その蟻を見た人たちはどう思う?」
「え……。蟻、だなって思う……」
「お前さんの願いもそれと同じだよ。魔王って名札でもつけて歩きゃ、誰もがお前のことを魔王と思うだろうよ」
「そ……、そんなの、俺が思ってた魔王と違う!」
やっぱりそうか。
何か勘違いしてやがる。
けど転移し直したい、などという思いはななは受け入れることはしないだろうな。
ほんと、やれやれだ。
異世界に転移した少年の付き添い。
これが今回、ななから託された仕事。
そしてこの少年、魔王になりたいという願いを持ってたが、「なりたい」の部分でななと少年の間に齟齬があったようだ。
ななは、少年が魔王になれるように成長したいと思ってたんだろう。
少年は、魔王となって世界を支配したいと思ってた。
こういうことだったんだな。
何のための面接、面談なんだか……。
「こうなってしまったもんは仕方ないだろう。言い方一つで相手の受け止め方がガラッと変わる。今後の教訓にするんだな。もししなかったらお前は魔王どころか、何かになるための成長すらできなくなるってことだ」
にしても、見知らぬ街を当てもなくさ迷い歩く。
こうなりたいという目的はあっても、そのための道のりに就いては全く考えてなかったようだ。
本当に呆れるばかりだ。
少年と呼ばれる程度の年月しか経験を積んでないのなら、それも仕方がないと言えば仕方がないだろうが。
「自分の理想をもっと具体的に想像しろ。そこはどんな場所だ? どこにある? そばに誰がいる? 何人いる? そいつらとどういう繋がりを持ってる? そうなりたければ、それをお前が作らなきゃならんってことだ」
ななもそんな思いで作ったんだろうか。
世界を作る前のななのいる場所なんて想像もできない。
ななもそんなことを思ったりしたんだろうか。
「お前の事情を詳しく知るつもりはないが、そんなにがっくりするなら転移じゃなくて転生の方が良かったんじゃないか? 生まれたばかりの頃からの知り合いも多くなってたかもしれなかっただろうし」
「転生の場合は、前世の記憶が残ったまま別世界に行けるって言われた。その時の知識とか役に立つと思ったから……」
「その知識、どんだけの量あるんだ? まるまる十二年間ってわけじゃないだろ? この世界の平均寿命がどんだけあるか分からんが、失うには勿体ないほどの量じゃなきゃゼロからの方が得だったろうがな」
……助言どころか、止めを刺したようだ。
子供を泣かせたのは大人げなかったか?
「……その、女神様からは何かアドバイスとかはなかったのか? 転移の方がいいとか転生の方がいいとか」
声をあげずに泣いたまま首を横に振っている。
自分の理想を細かく伝えりゃ後悔することもなかったろうに。
まぁ相手は人の心の機微を知らない女神様だからしゃーないか。
「念押しするが、お前ともこの世界とも深く関わるつもりはない。その影響か、空腹になることも眠気に襲われることもトイレに行きたくなるようなこともない。つまり、この世界の金銭とも無縁なままでも平気だ。だがお前はどうなんだ?」
「……女神様から、しばらく心配ないくらいは貰えた」
少しは情けはあるわけか。
いや、情けという解釈でいいのか、筋を通したというべきか?
「ま、魔王になろうが一般人になろうが、お前は俺と違って食うことが必要なわけだが、その金だって上限はあるんだろう? 早いとこ金を得る手段を見つけながら自分の理想通りになるまで成長の努力も続けないといかんってことだ」
何か物言いが人間離れしてる感じがする。まぁあんなやつと長らく一緒にいればそうもなるか?
そろそろ日が暮れる時間になるな。
もっとも俺にとっての他所の世界の時間の経過は、全く気にする必要もない。
少しくらいは付き合ってやるか。このままじゃ夢見も悪くなるだろうしな。
「腹が減っては戦は出来ないって言うし、まずは飯にでもしたらどうだ? 退屈しのぎ程度にはお前に構ってやれないこともないしな」
……我ながらツンデレめいたことを言ってしまった。
そういうつもりは全くないのだが。
「いいの?」
「お前一人でこの先何とかできるっつーならな」
「出来ない」
即答かよおい!
女神様に直接希望する人生頼んでおいてそれかよ。
ため息しない時間の方が短くなりそうだな。
前向きな言葉が出てくりゃ、いくら無関係を押し通す俺だって好感は持てるようになるさ。
けどななにどういう人生を送りたいかを伝えて、その希望を叶えやすい世界に転移させてもらった。
ありがたいとは思わんのかね。
「お前の自由にしていい世界だろ? だったら俺から話を求めず、自分で思うように動きゃいい。なのにお前は愚痴や不安を言ってばかり。損をしてるのは俺だけなんだぜ?」
たまにはこっちから文句を言っても構わんだろうよ。
つーか、真面目に文句を言うのは初めてかもしれん。
言われた方は八つ当たりと思うかも分からんが、こいつが発端であることも間違いはない。
別に言い過ぎたとは思ってはいないが、そいつはなんだか泣きそうになってきている。
やれやれだ。
前世の十二年間で得た、そこでの常識や知恵を持つこいつに、俺の二十年以上生きて得たそれらを生かすことが出来るかどうか。
だが、自分で考えろと言っても考えようとする気力もないんじゃなかろうか?
まだまだ子供ってことだ。早くいい大人と知り合えりゃ何とかなるだろうがな。
「魔王になるっつってたな。それはどういう奴か、具体的に考えたことがあるのか?」
何の関心もない、と思ってた奴がいきなり話しかけてきた。
その内容は、自分がなりたい自分の理想。不思議そうに俺を見る。
まぁ当たり前の反応だろうが、俺にとっちゃあまり気分のいい物じゃない。
「どうなりたいか、じゃなくて、周りからどう思われるかってことじゃないのか? ……この世界にも蟻はいるんだな……。そうだな、蟻になりたいとしよう。そして蟻になった。で、その蟻を見た人たちはどう思う?」
「え……。蟻、だなって思う……」
「お前さんの願いもそれと同じだよ。魔王って名札でもつけて歩きゃ、誰もがお前のことを魔王と思うだろうよ」
「そ……、そんなの、俺が思ってた魔王と違う!」
やっぱりそうか。
何か勘違いしてやがる。
けど転移し直したい、などという思いはななは受け入れることはしないだろうな。
ほんと、やれやれだ。
異世界に転移した少年の付き添い。
これが今回、ななから託された仕事。
そしてこの少年、魔王になりたいという願いを持ってたが、「なりたい」の部分でななと少年の間に齟齬があったようだ。
ななは、少年が魔王になれるように成長したいと思ってたんだろう。
少年は、魔王となって世界を支配したいと思ってた。
こういうことだったんだな。
何のための面接、面談なんだか……。
「こうなってしまったもんは仕方ないだろう。言い方一つで相手の受け止め方がガラッと変わる。今後の教訓にするんだな。もししなかったらお前は魔王どころか、何かになるための成長すらできなくなるってことだ」
にしても、見知らぬ街を当てもなくさ迷い歩く。
こうなりたいという目的はあっても、そのための道のりに就いては全く考えてなかったようだ。
本当に呆れるばかりだ。
少年と呼ばれる程度の年月しか経験を積んでないのなら、それも仕方がないと言えば仕方がないだろうが。
「自分の理想をもっと具体的に想像しろ。そこはどんな場所だ? どこにある? そばに誰がいる? 何人いる? そいつらとどういう繋がりを持ってる? そうなりたければ、それをお前が作らなきゃならんってことだ」
ななもそんな思いで作ったんだろうか。
世界を作る前のななのいる場所なんて想像もできない。
ななもそんなことを思ったりしたんだろうか。
「お前の事情を詳しく知るつもりはないが、そんなにがっくりするなら転移じゃなくて転生の方が良かったんじゃないか? 生まれたばかりの頃からの知り合いも多くなってたかもしれなかっただろうし」
「転生の場合は、前世の記憶が残ったまま別世界に行けるって言われた。その時の知識とか役に立つと思ったから……」
「その知識、どんだけの量あるんだ? まるまる十二年間ってわけじゃないだろ? この世界の平均寿命がどんだけあるか分からんが、失うには勿体ないほどの量じゃなきゃゼロからの方が得だったろうがな」
……助言どころか、止めを刺したようだ。
子供を泣かせたのは大人げなかったか?
「……その、女神様からは何かアドバイスとかはなかったのか? 転移の方がいいとか転生の方がいいとか」
声をあげずに泣いたまま首を横に振っている。
自分の理想を細かく伝えりゃ後悔することもなかったろうに。
まぁ相手は人の心の機微を知らない女神様だからしゃーないか。
「念押しするが、お前ともこの世界とも深く関わるつもりはない。その影響か、空腹になることも眠気に襲われることもトイレに行きたくなるようなこともない。つまり、この世界の金銭とも無縁なままでも平気だ。だがお前はどうなんだ?」
「……女神様から、しばらく心配ないくらいは貰えた」
少しは情けはあるわけか。
いや、情けという解釈でいいのか、筋を通したというべきか?
「ま、魔王になろうが一般人になろうが、お前は俺と違って食うことが必要なわけだが、その金だって上限はあるんだろう? 早いとこ金を得る手段を見つけながら自分の理想通りになるまで成長の努力も続けないといかんってことだ」
何か物言いが人間離れしてる感じがする。まぁあんなやつと長らく一緒にいればそうもなるか?
そろそろ日が暮れる時間になるな。
もっとも俺にとっての他所の世界の時間の経過は、全く気にする必要もない。
少しくらいは付き合ってやるか。このままじゃ夢見も悪くなるだろうしな。
「腹が減っては戦は出来ないって言うし、まずは飯にでもしたらどうだ? 退屈しのぎ程度にはお前に構ってやれないこともないしな」
……我ながらツンデレめいたことを言ってしまった。
そういうつもりは全くないのだが。
「いいの?」
「お前一人でこの先何とかできるっつーならな」
「出来ない」
即答かよおい!
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ため息しない時間の方が短くなりそうだな。
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