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三波新、定住編
おにぎりの店の日々 行商時代には、こんなのどかな毎日はなかった気がする
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宿屋の件の結論が出たから、これ以上いじっても面白みはない。
俺達も、明日も普通の一日が待っているわけだし、この話の続きは洞窟の中でもできる事もあるって言うんで、食堂から退散……。
「食堂じゃねぇっつってんだろ!」
確かに食堂というには変な場所だ。
食堂が、たとえ客の好物とは言え、干し草を出すってのはどうかと思うんだよ。
まぁそれはいいとして……いいのか?
ま、まぁ今は宿屋から洞窟に戻るところ。
モーナーは例によって宿で宿泊するようだから、残りのメンバーで洞窟に戻る途中。
「野宿なら、確かに宿の順番待ちしなくても屋外の魔物討伐とかはできるだろうけど……」
宿屋の売り上げは跳ね上がることはないだろうが、こっちの客は増えるはずだ。
おにぎりを買いに来る客が増えるってことだからな。
だが……。
「野宿できますよー、って呼びかけるわけにはいかない。ダンジョンは人工物でその製作者は、仲間の一人だからな」
仲間、というにはちと抵抗がある。
何となく、照れくさい。
「だが、フィールド、屋外、特に森や山方面は、俺達が作ったものじゃないし、呼びかける以上ケアの必要も出てくる」
「そこまでしなくていいんじゃないの?」
「お前らが呼びかけなければこんな目に遭うこともなかった、っていうクレームが来るかもしれない。一々対応してられない。対魔物のトラブルですら日々警戒してるのに、人為的なトラブルとか言いがかりはもっと面倒だ。我慢すれば済む話なのに、責任をこっちに擦り付けようとする奴らもいるかもわからん」
行商時代には、呼びかけどころか商売すらしない魔物の持ち込みまでしようとする奴らまでいたからな。
これで呼びかけして手落ちがあろうものなら、どんな言いがかりつけられるか分からん。
責任持てるのは、物事の筋道的に考えても、やっぱりモーナーが掘った地下のダンジョンだけなんだよな。
フィールドの方は、冒険者自身が気付くしかない。
っていうか、気付いてほしいもんだが。
「アラタぁ、ってことはよ? こっちからは何も言わない、アピールもなし。で、初級冒険者には、野宿してそこで鍛えることができるってことを自分で気付いて取り組んでほしいってことよね?」
「まぁそういうことだ」
「じゃああたしにいい考えがあるんだけどぉ。乗る?」
「何でだよ。洞窟まで歩いてすぐじゃねぇか」
「あたしの背中に乗れっつったんじゃないっ! 話の流れで、あたしの案に乗るかって聞いてんの!」
真ん中の足に力を入れて地面を踏んづけた。
意外とでかい音が鳴るからちょっとビビったが、揶揄ったつもりじゃないしほんとにそう思ったんだから仕方がないだろうよ。
大体その案を言うのに、勿体ぶる理由が分からん。
で、どんな案か聞くと、単純だった。
「その安全地域で寝る。それだけ」
一同力が抜けた。
その程度のことで勿体ぶるな。
「でもあたし一人じゃ意味ないから、ヨウミとマッキー、一緒に寝よ?」
「夜風は体に毒だぜ? とくに人間は風邪をひく」
「それは問題ないでしょ? 敷布団に掛布団、枕もあるよっ」
「そんな二人分もの寝具がどこ……あ……」
二人分どころか、二人分用意してもまだ余りがある。
いや、普通の人の二倍くらいはあるモーナーが加わってもまだ余裕がある。
テンちゃんの体、三点セットじゃないか。
「暑苦しい季節でも、森の中なら涼しい空気でいっぱいだし、寒くなってもあたしごとこの羽毛であったかいから問題なーし」
冷暖房完備。
しかも寒い季節にはより涼しく、暑い季節にはより熱く、なんてふざけたもんじゃなく、適温に調節してくれる布団とくれば、健康に被害はまず起きない。
けどな。
「お前の体にノミとかついてなければな極上だな」
「ついてるわきゃないでしょう!」
そう言い張れる根拠がどこにあるのか不明なんだが。
※※※※※ ※※※※※思いついてほしいじゃあさぁ、
人数分の寝室まで作ってくれたモーナーに申し訳ない気分だが、夜はこの洞窟の中、俺とライムだけになる。
二人きりで頭数が一気に減るが、全く喋れなかった出会った当初とは違って、まだ単語の二つ三つだがコミュニケーションは取れるようになった。
それに俺だけの防衛となれば、ライムほど心強い存在はない。
ライムが単独だった場合、守らなきゃならない者の人数が多ければ多いほど防衛能力は衰える。
気が回りづらくなるということもあるだろうし、体の形状の変化にも限界はある。
それが守るべき者が俺一人きりでいいのだから、瞬間的にその態勢をとりやすいし荷車への被害も未然に防ぐこともできる。
なんせ洞窟の入り口全てを塞ぐだけでも防備は万全だからな。
ちなみにテンちゃんがヨウミを連れてったのは、ただ単純に、一緒に寝る際にお腹が感じ取れる重量が、より心地よくなるだけのことだったらしい。
ヨウミはヨウミで、テンちゃんの暖かさの中でライムのすべすべ感を味わいたかったらしいが、ほんとやれやれだぜ……。
まぁこうして、宿屋の悩みから発覚したいろんな課題を、それなりにそれぞれ幸先が良さそうな結論を出すことができた。
ただのおふざけとかお遊びとかじゃなく、なんとなく経営、運営のための会議って感じがして、まぁ悪い気はしなかった。
んだが、そうなればそれなりの問題も出てきたりもするんだなこれが。
俺達も、明日も普通の一日が待っているわけだし、この話の続きは洞窟の中でもできる事もあるって言うんで、食堂から退散……。
「食堂じゃねぇっつってんだろ!」
確かに食堂というには変な場所だ。
食堂が、たとえ客の好物とは言え、干し草を出すってのはどうかと思うんだよ。
まぁそれはいいとして……いいのか?
ま、まぁ今は宿屋から洞窟に戻るところ。
モーナーは例によって宿で宿泊するようだから、残りのメンバーで洞窟に戻る途中。
「野宿なら、確かに宿の順番待ちしなくても屋外の魔物討伐とかはできるだろうけど……」
宿屋の売り上げは跳ね上がることはないだろうが、こっちの客は増えるはずだ。
おにぎりを買いに来る客が増えるってことだからな。
だが……。
「野宿できますよー、って呼びかけるわけにはいかない。ダンジョンは人工物でその製作者は、仲間の一人だからな」
仲間、というにはちと抵抗がある。
何となく、照れくさい。
「だが、フィールド、屋外、特に森や山方面は、俺達が作ったものじゃないし、呼びかける以上ケアの必要も出てくる」
「そこまでしなくていいんじゃないの?」
「お前らが呼びかけなければこんな目に遭うこともなかった、っていうクレームが来るかもしれない。一々対応してられない。対魔物のトラブルですら日々警戒してるのに、人為的なトラブルとか言いがかりはもっと面倒だ。我慢すれば済む話なのに、責任をこっちに擦り付けようとする奴らもいるかもわからん」
行商時代には、呼びかけどころか商売すらしない魔物の持ち込みまでしようとする奴らまでいたからな。
これで呼びかけして手落ちがあろうものなら、どんな言いがかりつけられるか分からん。
責任持てるのは、物事の筋道的に考えても、やっぱりモーナーが掘った地下のダンジョンだけなんだよな。
フィールドの方は、冒険者自身が気付くしかない。
っていうか、気付いてほしいもんだが。
「アラタぁ、ってことはよ? こっちからは何も言わない、アピールもなし。で、初級冒険者には、野宿してそこで鍛えることができるってことを自分で気付いて取り組んでほしいってことよね?」
「まぁそういうことだ」
「じゃああたしにいい考えがあるんだけどぉ。乗る?」
「何でだよ。洞窟まで歩いてすぐじゃねぇか」
「あたしの背中に乗れっつったんじゃないっ! 話の流れで、あたしの案に乗るかって聞いてんの!」
真ん中の足に力を入れて地面を踏んづけた。
意外とでかい音が鳴るからちょっとビビったが、揶揄ったつもりじゃないしほんとにそう思ったんだから仕方がないだろうよ。
大体その案を言うのに、勿体ぶる理由が分からん。
で、どんな案か聞くと、単純だった。
「その安全地域で寝る。それだけ」
一同力が抜けた。
その程度のことで勿体ぶるな。
「でもあたし一人じゃ意味ないから、ヨウミとマッキー、一緒に寝よ?」
「夜風は体に毒だぜ? とくに人間は風邪をひく」
「それは問題ないでしょ? 敷布団に掛布団、枕もあるよっ」
「そんな二人分もの寝具がどこ……あ……」
二人分どころか、二人分用意してもまだ余りがある。
いや、普通の人の二倍くらいはあるモーナーが加わってもまだ余裕がある。
テンちゃんの体、三点セットじゃないか。
「暑苦しい季節でも、森の中なら涼しい空気でいっぱいだし、寒くなってもあたしごとこの羽毛であったかいから問題なーし」
冷暖房完備。
しかも寒い季節にはより涼しく、暑い季節にはより熱く、なんてふざけたもんじゃなく、適温に調節してくれる布団とくれば、健康に被害はまず起きない。
けどな。
「お前の体にノミとかついてなければな極上だな」
「ついてるわきゃないでしょう!」
そう言い張れる根拠がどこにあるのか不明なんだが。
※※※※※ ※※※※※思いついてほしいじゃあさぁ、
人数分の寝室まで作ってくれたモーナーに申し訳ない気分だが、夜はこの洞窟の中、俺とライムだけになる。
二人きりで頭数が一気に減るが、全く喋れなかった出会った当初とは違って、まだ単語の二つ三つだがコミュニケーションは取れるようになった。
それに俺だけの防衛となれば、ライムほど心強い存在はない。
ライムが単独だった場合、守らなきゃならない者の人数が多ければ多いほど防衛能力は衰える。
気が回りづらくなるということもあるだろうし、体の形状の変化にも限界はある。
それが守るべき者が俺一人きりでいいのだから、瞬間的にその態勢をとりやすいし荷車への被害も未然に防ぐこともできる。
なんせ洞窟の入り口全てを塞ぐだけでも防備は万全だからな。
ちなみにテンちゃんがヨウミを連れてったのは、ただ単純に、一緒に寝る際にお腹が感じ取れる重量が、より心地よくなるだけのことだったらしい。
ヨウミはヨウミで、テンちゃんの暖かさの中でライムのすべすべ感を味わいたかったらしいが、ほんとやれやれだぜ……。
まぁこうして、宿屋の悩みから発覚したいろんな課題を、それなりにそれぞれ幸先が良さそうな結論を出すことができた。
ただのおふざけとかお遊びとかじゃなく、なんとなく経営、運営のための会議って感じがして、まぁ悪い気はしなかった。
んだが、そうなればそれなりの問題も出てきたりもするんだなこれが。
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