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紅丸編
行商人とのコンタクト その8
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「お願いがあるんだけどぉ~」
いきなりである。
みんなが揃った夜のミーティング。
一通り話が終わった後、いきなりテンちゃんが切り出してきた。
「気持ち悪い声出すなや。何だよ」
甘えてくる声がなんかこう……。
猫や犬の甘える鳴き声や仕草はとても可愛いと思うんだが、なんでゾワッとくるんだろう?
「今度あたしが休暇とるときぃ、アラタと一緒にお出かけしたいなー」
はい?
「ミュゥ、ミャアァ」
伏せているテンちゃんの背中に乗っかっているサミーも、何やら急に騒ぎ出す。
「え? サミーも一緒に出掛けたい? ……それとも反対なのかな?」
「一緒に行きたいんじゃないんですか? テンちゃんにスリスリしてますよ? ……私もアラタさんと行ってみたいです」
「あたしもー」
何だよお前ら急に。
気持ち悪いな。
「あのですね、娯楽ブースってのもあったんですよ」
はい?
娯楽?
受映機での番組で、娯楽番組ってあまり見ない……つか、ないのかな。
でも娯楽はある?
まぁいいか。……それで?
「飛び跳ねたり、昇ったり、綱渡りしたりとか」
なんじゃそりゃ。
「楽しかったよねー」
「テンちゃんも上手に綱渡りできたもんね」
おいちょっと待て。
こいつの体重量ったことはないが、相当だぞ?
で、綱渡りってば、ロープ一本の上を歩くんだよな?
ロープ、よく切れなかったな。
しかもこいつ、六本足だぞ?
「落ちそうになったけど、羽があったからねー」
こいつ……。
それは綱渡りとは言わない。
何だその邪道なプレイは。
ってことは、昇ったりってのはボルダリングか?
となると、飛んだりってのは……トランポリンとか?
屋外のアスレチックなアレか?
まぁ……息抜きができれば何しても俺は構わんが……。
「知らない子供達乗せながら飛んだりしたよねー」
おい。
お前がアスレチックのアトラクションになってどうするっ。
それにしても、不吉だなんだという古くからの言い習わしがあるって聞いたが、それを知らない人達も増えているってことか。
悪くはない環境とは思うんだがな。
いつまで俺のそばにいることやら。
そう言えば、いつの間にかあの双子も来なくなった。
というか、不定期に何日かおきに顔を見せてはいる。
サミーが最近活発になってきたのはそのせいかもしれん。
「しかし……サミーは随分背中が丸く……いや、膨らんできた?」
「そうね。鳴き声も力強くなってきたし……でも可愛いのは変わらないわねー。痛っ!」
ペシッ、とヨウミの足元から音が出た。
ライムが体のてっぺんを細くして、ヨウミの足を叩いてた。
「……嫉妬か」
「ライム? あなたは、サミーのお兄ちゃんになるんだからねっ。あなたもサミーを可愛いと思うでしょ?」
「おい、兄弟関係にすんなよ」
「え? あ、ごめん」
まったく。
「お姉ちゃんかもしれないんだ」
問題はそこじゃねぇっ!
「サミーは男の子かな? 女の子かな」
何で性別に拘る。
つか、サミーのどこに触ろうとしてるんだお前はっ!
「ンーゴも俺も男だで?」
ミアーノも加わらなくていいから……。
何だよこの会話の流れっ!
「お前らなぁ……。で、俺と一緒にそこに行きたい、と?」
「行きたいですっ」
俺はテンちゃんに聞いたんだが?
なんでクリマーが答える?
「あたしもー」
マッキー……お前もか……。
「邪な気持ちを持つ奴もいるが、連日店に客は来てるんだぞ? 一度に大勢、しかも俺も長く休むわけにゃいかねぇだろうよ」
「でもアラタはあ、休みは長くて一日だろお? サミーのこともあるからあ、気が張ってるのは仕方がないけどお、アラタもお、リラックス必要だぞお」
「俺は代役が利かねえ仕事担当だからだよ。お前らがあてにならないとかって話じゃねぇし」
「気疲れ溜まるとお、元気もなくなるぞお。そしたら病気にもお、なりやすくなるんだぞお」
そりゃ分かってはいるが、別に疲れてはいないぞ?
「アラタ、ヤスメ。オマエ、ジブンデ、キヅイテナイダケ」
目が利かないンーゴの言葉は信頼性が高い。
視覚以外の感覚で周りを感じ取れるからな。
けど、そんなに疲れてるのか?
「アラタのにーちゃんよお、いろいろ心配事抱えてるようだがよお、少しは気楽にしていいんだぜぇ? サミーもあれから結構成長してるしよ」
「成長?」
「あぁ。脱皮、二回くらいした。な? ンーゴ」
「アァ、シタ」
ぅおいっ!
一応成長の記録みたいなの残しときたかったんだよ!
「いつだよ、それっ!」
「休み全員一回りした辺りかなぁ? もう一回あったよなあ? ンーゴ」
「オトトイ、クライ」
「知らなかった」
「じゃあ、背中が丸くなり始めたのはその頃だったんですか?」
「その一回目んときかなあ? 背中膨らんできたのは」
「その時に教えろよ……」
まぁ……そうするつもりだ、と伝えたことはなかったから、これは誰かに怒るのは筋が違うよな。
しょうがない。
「で、あたしとアラタの休みの日っていつになるの?」
テンちゃんはほんと、マイペースだな。
「サミーの状態が急変して、その時に駆け付けられないのも不安だな」
「早速気苦労かよ。絶えねぇなぁ」
ほっとけよ。
「テンちゃんとアラタと、そんなサミーだと、残されたあたし達だって不安よね」
「そうですね。いつもは三人ずつですけど、もう一人付き添わせた方がいいと思います」
付き添いって……俺達が保護者を必要としてるみたいな言い方じゃねぇかよ。
「ヨウミだとお店が不安になるよね」
「ライムだと心強いけど、お店でも戦力になるのよね」
「でも連絡係だとテンちゃんの次に早く移動できると思うんですけど」
「クリマーもお、体変えられるけどお、ライムほど体力ないからなあ」
俺抜きで話がどんどん進む。
何だこの除け者感。
「ジャア、ライム、イク」
「そうですね。何かあっても対応できると思いますし」
「ということで、明日から三日間、アラタとテンちゃんとサミーとライムはお休み当番ね」
勝手に決められてしまった。
まぁ、洗米済みの米もたくさんあるし……問題ないか?
いきなりである。
みんなが揃った夜のミーティング。
一通り話が終わった後、いきなりテンちゃんが切り出してきた。
「気持ち悪い声出すなや。何だよ」
甘えてくる声がなんかこう……。
猫や犬の甘える鳴き声や仕草はとても可愛いと思うんだが、なんでゾワッとくるんだろう?
「今度あたしが休暇とるときぃ、アラタと一緒にお出かけしたいなー」
はい?
「ミュゥ、ミャアァ」
伏せているテンちゃんの背中に乗っかっているサミーも、何やら急に騒ぎ出す。
「え? サミーも一緒に出掛けたい? ……それとも反対なのかな?」
「一緒に行きたいんじゃないんですか? テンちゃんにスリスリしてますよ? ……私もアラタさんと行ってみたいです」
「あたしもー」
何だよお前ら急に。
気持ち悪いな。
「あのですね、娯楽ブースってのもあったんですよ」
はい?
娯楽?
受映機での番組で、娯楽番組ってあまり見ない……つか、ないのかな。
でも娯楽はある?
まぁいいか。……それで?
「飛び跳ねたり、昇ったり、綱渡りしたりとか」
なんじゃそりゃ。
「楽しかったよねー」
「テンちゃんも上手に綱渡りできたもんね」
おいちょっと待て。
こいつの体重量ったことはないが、相当だぞ?
で、綱渡りってば、ロープ一本の上を歩くんだよな?
ロープ、よく切れなかったな。
しかもこいつ、六本足だぞ?
「落ちそうになったけど、羽があったからねー」
こいつ……。
それは綱渡りとは言わない。
何だその邪道なプレイは。
ってことは、昇ったりってのはボルダリングか?
となると、飛んだりってのは……トランポリンとか?
屋外のアスレチックなアレか?
まぁ……息抜きができれば何しても俺は構わんが……。
「知らない子供達乗せながら飛んだりしたよねー」
おい。
お前がアスレチックのアトラクションになってどうするっ。
それにしても、不吉だなんだという古くからの言い習わしがあるって聞いたが、それを知らない人達も増えているってことか。
悪くはない環境とは思うんだがな。
いつまで俺のそばにいることやら。
そう言えば、いつの間にかあの双子も来なくなった。
というか、不定期に何日かおきに顔を見せてはいる。
サミーが最近活発になってきたのはそのせいかもしれん。
「しかし……サミーは随分背中が丸く……いや、膨らんできた?」
「そうね。鳴き声も力強くなってきたし……でも可愛いのは変わらないわねー。痛っ!」
ペシッ、とヨウミの足元から音が出た。
ライムが体のてっぺんを細くして、ヨウミの足を叩いてた。
「……嫉妬か」
「ライム? あなたは、サミーのお兄ちゃんになるんだからねっ。あなたもサミーを可愛いと思うでしょ?」
「おい、兄弟関係にすんなよ」
「え? あ、ごめん」
まったく。
「お姉ちゃんかもしれないんだ」
問題はそこじゃねぇっ!
「サミーは男の子かな? 女の子かな」
何で性別に拘る。
つか、サミーのどこに触ろうとしてるんだお前はっ!
「ンーゴも俺も男だで?」
ミアーノも加わらなくていいから……。
何だよこの会話の流れっ!
「お前らなぁ……。で、俺と一緒にそこに行きたい、と?」
「行きたいですっ」
俺はテンちゃんに聞いたんだが?
なんでクリマーが答える?
「あたしもー」
マッキー……お前もか……。
「邪な気持ちを持つ奴もいるが、連日店に客は来てるんだぞ? 一度に大勢、しかも俺も長く休むわけにゃいかねぇだろうよ」
「でもアラタはあ、休みは長くて一日だろお? サミーのこともあるからあ、気が張ってるのは仕方がないけどお、アラタもお、リラックス必要だぞお」
「俺は代役が利かねえ仕事担当だからだよ。お前らがあてにならないとかって話じゃねぇし」
「気疲れ溜まるとお、元気もなくなるぞお。そしたら病気にもお、なりやすくなるんだぞお」
そりゃ分かってはいるが、別に疲れてはいないぞ?
「アラタ、ヤスメ。オマエ、ジブンデ、キヅイテナイダケ」
目が利かないンーゴの言葉は信頼性が高い。
視覚以外の感覚で周りを感じ取れるからな。
けど、そんなに疲れてるのか?
「アラタのにーちゃんよお、いろいろ心配事抱えてるようだがよお、少しは気楽にしていいんだぜぇ? サミーもあれから結構成長してるしよ」
「成長?」
「あぁ。脱皮、二回くらいした。な? ンーゴ」
「アァ、シタ」
ぅおいっ!
一応成長の記録みたいなの残しときたかったんだよ!
「いつだよ、それっ!」
「休み全員一回りした辺りかなぁ? もう一回あったよなあ? ンーゴ」
「オトトイ、クライ」
「知らなかった」
「じゃあ、背中が丸くなり始めたのはその頃だったんですか?」
「その一回目んときかなあ? 背中膨らんできたのは」
「その時に教えろよ……」
まぁ……そうするつもりだ、と伝えたことはなかったから、これは誰かに怒るのは筋が違うよな。
しょうがない。
「で、あたしとアラタの休みの日っていつになるの?」
テンちゃんはほんと、マイペースだな。
「サミーの状態が急変して、その時に駆け付けられないのも不安だな」
「早速気苦労かよ。絶えねぇなぁ」
ほっとけよ。
「テンちゃんとアラタと、そんなサミーだと、残されたあたし達だって不安よね」
「そうですね。いつもは三人ずつですけど、もう一人付き添わせた方がいいと思います」
付き添いって……俺達が保護者を必要としてるみたいな言い方じゃねぇかよ。
「ヨウミだとお店が不安になるよね」
「ライムだと心強いけど、お店でも戦力になるのよね」
「でも連絡係だとテンちゃんの次に早く移動できると思うんですけど」
「クリマーもお、体変えられるけどお、ライムほど体力ないからなあ」
俺抜きで話がどんどん進む。
何だこの除け者感。
「ジャア、ライム、イク」
「そうですね。何かあっても対応できると思いますし」
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