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店の日常編
村の防衛もこいつらにかかりゃ、戦争ごっこかなぁ その5
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夜襲に来た九人。
そのうちの四人はこっちの二人のそばにいて、ほとんど動いていない。
その四人のそばに移動しつつある、さらに一名。
「おう、お帰り、サミー。四人はほぼ捕獲状態とみていいか?」
サミーは両腕を同時に振り下ろした。
肯定ってことだな。
サミーには、聞かれたこと以外答えないようにと言ってある。
だから質問する側も、答えやすい質問を心掛けなきゃならん。
けど、要点を後回しにしてダラダラと余談を続けられるのは耐えがたい性格だから、サミーの返事の仕方は俺としちゃ有り難い。
「一人そいつらに接近してるが、捕獲はほぼ決定か?」
この質問にも両腕一緒に上下に振る。
ターゲットは四つに減った。
だがおそらく、みんなは俺ほどその四つの位置をしっかりと把握していない。
その位置と、それからその四つの狙いが把握できれば、それを伝達する必要がある。
店から、沼と思われる場所よりも遠い位置に全ターゲットはいる。
とは言え、二メートルもこっちに向かって近寄れば、沼を通り過ぎてしまう。
通り過ぎたら沼の方に引き返させるのは難しいはずだ。
あくまでも村への侵入が目的だろうからな。
だが幸い、連中はまだ林の中。
方向感覚を失えば、進行速度は一気に落ちるはず。
なんせ月の光も届かない暗闇の中だからな。
「サミー、今現在、四つの気配の位置を言う。お前の移動時間も考えて報告しろよ。まずは……」
サミーは集中して、俺の言うことに耳を傾けている。
※※※※※ ※※※※※
現場の指揮は俺にはない。
事に当たってる仲間達が、意思を統一して行動を起こしている。
サミーも今のところ、俺からの情報をしっかりと伝えているようだ。
村に不法侵入してきた者の残りは四名。
沼があると思われる場所は、俺達の店から見て左側で魔物の行動圏により近い位置。
沼にハマってると思われる、一番右側にいるターゲットから一番近い夜盗までは五メートルくらいあるか。
そいつから二メートルくらいずつおいて、移動しているターゲットが三人。
俺から見て一番右にいる、即ちドーセンの宿の後方に一番近い奴が、進行方向を九十度変えて、沼の方に進んでいる。
多分クリマーが仕掛けてるんだろうな。
例えば彼女が自分の体全てを使って樹木の枝にでも変化して、こっちへの進行を妨害したんだろう。
それを避けるために進行を変えた、ということだ。
縦方向なら二メートルも進めば沼を超す。
その二メートルを進ませない。
縦方向より、沼に向かう横方向への移動が長くなる。
戦闘能力的には比較的低いマッキー。
そして一般人に近いクリマーが、それぞれの特徴を生かし、いい働きをしてくれている。
コーティも、ただいま五人目を単独で沼の方に追いやっている。
サミーに託した伝言も三度目。
戻ってきたサミーの顔は……。
普段と違い、起きてからずっと気合いのこもった顔をしてるのは分かるんだが……。
油断するとモフモフしたくなる可愛さは相変わらずだ。
唯一変化があるのはライム。
マッキーがライムの体を小さくちぎっては弓に結わえて飛ばし続けているようで、徐々に小さくなっていている。
が、まだ半分も減ってない。
体力的にも余裕があるっぽく、気配の動きに衰えはなさそうだ。
「気になるな」
「何が?」
「クリマーだよ」
「クリマーがあ、どうかしたのかあ?」
残った四人をうまく沼に誘導している。
だが、見方によっては、四対一の形になっている。
クリマーの擬態は一般人には見破れない。
ただ、何かの物体に変化している時に、思わず声をあげてしまったら……。
四人の口と鼻を塞げばクリマーは無事でいられるだろう。
だが相手の呼吸を止めることだから、命に危険が及ぶ。
「確かにい、その四人にい、クリマーのことがバレたらあ……俺が援護にい」
「それはだめだ」
「どうして? モーナーとサミーしか手が空いてないのに」
「クリマーに二人当たらせれば、二人手が空く。村に火をつけるなんて簡単な事だろ。その二人だけでもできるはずだ」
夜盗どもが我が身を顧みず、村への嫌がらせとか報復だけを考えるなら、それだけで目的は十分果たせる。
だがこっちの目的は、夜盗全員を無傷で捕まえること。
もちろんこちらには全くの被害を出さずに、だ。
ホームでありながら、アウェイでの戦いを強いられてる気分だ。
物事がそう簡単に捗らないことにイライラさえしそうだ。
「コーティも、怒らせると何しでかすか分からないしねぇ」
ヨウミの言う通り。
暴走はさせたくないが、コーティの沸点は低そうだし。
今すぐにでも、夜盗全員に観念してもらいたいもんだ。
けれども何と言うか……。
気配だけを見てみれば、あいつにしては慎重な行動をとっている。
感情的な行動をとっていたら、今頃全ターゲットは消し炭だろう。
「……コーティが四人のうち二人を沼に引っ張ってる感じだな。もう二人……あ」
「どうしたの?」
「こっちに来る。捨て鉢か? 林の枝ぶった切りながらこっちに来る!」
「え? てことは……」
「クリマーに妨害させるわけにはいかない。ライムと違って刃物で切られたら負傷する!」
「俺が行って」
「モーナー! お前は最悪な事態になっても、ヨウミは守れ! サミー! 俺についてこい!」
「ちょっと! アラタ! みんなから出るなって言われたでしょ!」
「ア、アラタあ!」
非常事態だ!
誰から何を言われようと俺が出るしかねぇ!
相手の位置を知るしかできねぇ俺は、守りの切り札になり得ねぇ!
サミーにはその二人のターゲットの情報の伝達係になってもらう必要があるから、その情報を得られる俺から離すわけにゃいかねぇ!
結局俺が出張ることになるが、今回は俺が責められる理由はねぇからな!
そのうちの四人はこっちの二人のそばにいて、ほとんど動いていない。
その四人のそばに移動しつつある、さらに一名。
「おう、お帰り、サミー。四人はほぼ捕獲状態とみていいか?」
サミーは両腕を同時に振り下ろした。
肯定ってことだな。
サミーには、聞かれたこと以外答えないようにと言ってある。
だから質問する側も、答えやすい質問を心掛けなきゃならん。
けど、要点を後回しにしてダラダラと余談を続けられるのは耐えがたい性格だから、サミーの返事の仕方は俺としちゃ有り難い。
「一人そいつらに接近してるが、捕獲はほぼ決定か?」
この質問にも両腕一緒に上下に振る。
ターゲットは四つに減った。
だがおそらく、みんなは俺ほどその四つの位置をしっかりと把握していない。
その位置と、それからその四つの狙いが把握できれば、それを伝達する必要がある。
店から、沼と思われる場所よりも遠い位置に全ターゲットはいる。
とは言え、二メートルもこっちに向かって近寄れば、沼を通り過ぎてしまう。
通り過ぎたら沼の方に引き返させるのは難しいはずだ。
あくまでも村への侵入が目的だろうからな。
だが幸い、連中はまだ林の中。
方向感覚を失えば、進行速度は一気に落ちるはず。
なんせ月の光も届かない暗闇の中だからな。
「サミー、今現在、四つの気配の位置を言う。お前の移動時間も考えて報告しろよ。まずは……」
サミーは集中して、俺の言うことに耳を傾けている。
※※※※※ ※※※※※
現場の指揮は俺にはない。
事に当たってる仲間達が、意思を統一して行動を起こしている。
サミーも今のところ、俺からの情報をしっかりと伝えているようだ。
村に不法侵入してきた者の残りは四名。
沼があると思われる場所は、俺達の店から見て左側で魔物の行動圏により近い位置。
沼にハマってると思われる、一番右側にいるターゲットから一番近い夜盗までは五メートルくらいあるか。
そいつから二メートルくらいずつおいて、移動しているターゲットが三人。
俺から見て一番右にいる、即ちドーセンの宿の後方に一番近い奴が、進行方向を九十度変えて、沼の方に進んでいる。
多分クリマーが仕掛けてるんだろうな。
例えば彼女が自分の体全てを使って樹木の枝にでも変化して、こっちへの進行を妨害したんだろう。
それを避けるために進行を変えた、ということだ。
縦方向なら二メートルも進めば沼を超す。
その二メートルを進ませない。
縦方向より、沼に向かう横方向への移動が長くなる。
戦闘能力的には比較的低いマッキー。
そして一般人に近いクリマーが、それぞれの特徴を生かし、いい働きをしてくれている。
コーティも、ただいま五人目を単独で沼の方に追いやっている。
サミーに託した伝言も三度目。
戻ってきたサミーの顔は……。
普段と違い、起きてからずっと気合いのこもった顔をしてるのは分かるんだが……。
油断するとモフモフしたくなる可愛さは相変わらずだ。
唯一変化があるのはライム。
マッキーがライムの体を小さくちぎっては弓に結わえて飛ばし続けているようで、徐々に小さくなっていている。
が、まだ半分も減ってない。
体力的にも余裕があるっぽく、気配の動きに衰えはなさそうだ。
「気になるな」
「何が?」
「クリマーだよ」
「クリマーがあ、どうかしたのかあ?」
残った四人をうまく沼に誘導している。
だが、見方によっては、四対一の形になっている。
クリマーの擬態は一般人には見破れない。
ただ、何かの物体に変化している時に、思わず声をあげてしまったら……。
四人の口と鼻を塞げばクリマーは無事でいられるだろう。
だが相手の呼吸を止めることだから、命に危険が及ぶ。
「確かにい、その四人にい、クリマーのことがバレたらあ……俺が援護にい」
「それはだめだ」
「どうして? モーナーとサミーしか手が空いてないのに」
「クリマーに二人当たらせれば、二人手が空く。村に火をつけるなんて簡単な事だろ。その二人だけでもできるはずだ」
夜盗どもが我が身を顧みず、村への嫌がらせとか報復だけを考えるなら、それだけで目的は十分果たせる。
だがこっちの目的は、夜盗全員を無傷で捕まえること。
もちろんこちらには全くの被害を出さずに、だ。
ホームでありながら、アウェイでの戦いを強いられてる気分だ。
物事がそう簡単に捗らないことにイライラさえしそうだ。
「コーティも、怒らせると何しでかすか分からないしねぇ」
ヨウミの言う通り。
暴走はさせたくないが、コーティの沸点は低そうだし。
今すぐにでも、夜盗全員に観念してもらいたいもんだ。
けれども何と言うか……。
気配だけを見てみれば、あいつにしては慎重な行動をとっている。
感情的な行動をとっていたら、今頃全ターゲットは消し炭だろう。
「……コーティが四人のうち二人を沼に引っ張ってる感じだな。もう二人……あ」
「どうしたの?」
「こっちに来る。捨て鉢か? 林の枝ぶった切りながらこっちに来る!」
「え? てことは……」
「クリマーに妨害させるわけにはいかない。ライムと違って刃物で切られたら負傷する!」
「俺が行って」
「モーナー! お前は最悪な事態になっても、ヨウミは守れ! サミー! 俺についてこい!」
「ちょっと! アラタ! みんなから出るなって言われたでしょ!」
「ア、アラタあ!」
非常事態だ!
誰から何を言われようと俺が出るしかねぇ!
相手の位置を知るしかできねぇ俺は、守りの切り札になり得ねぇ!
サミーにはその二人のターゲットの情報の伝達係になってもらう必要があるから、その情報を得られる俺から離すわけにゃいかねぇ!
結局俺が出張ることになるが、今回は俺が責められる理由はねぇからな!
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