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店の日常編
村の防衛もこいつらにかかりゃ、戦争ごっこかなぁ その9
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公的な計画が立てられた。
その一環というか、ボランティア的というか、自主的というか。
それが俺の私的というか個人的な理由もあったから、積極的に行動を起こした。
ところが、その公的な計画に絡めず、有志として、というか。
別にそれは褒められるべきことでもないし、責められることでもない。
そっちはそっちで、こっちはこっちで、という感じだ。
ところが本命がこっちの方に来ちまった。
で、こっちだけ……って訳でもなかったが、解決しちまった。
この場合、俺はどうすりゃいいんだろうな?
※※※※※ ※※※※※
朝飯時。
みんなが寝不足気味な顔つきだ。
夜中は夜盗との攻防戦ということで、みんな興奮してて気づかなかったろうが、睡眠時間が大分削られたからな。
「さて、お前ら、ゆっくり休めたか?」
「んー……眠い」
真っ先に返事をしたのは、本能に一番素直そうなテンちゃんだ。
「まぁみんなも眠いだろうな。今日は臨時休業にしようか」
「でも……夜盗を捕らえたってことをサーマルさんに報せなくていいの?」
ヨウミの指摘は間違いじゃない。
間違いじゃないんだが……。
「テンちゃんがバイト先で捕まえた連中と同じグループってのは事実だ。けど今思うと、あれで全員とは言い切れないんだよなぁ」
あん時はサミーのことで逆上しちまったから、尋問すること考えてる余裕がなかった。
それに、シアン……というか、親衛隊に引き渡しちまったから、そっから保安官経由で村に通知とか来るんじゃなかろうか?
それに今回の件の一部始終を把握してるわけじゃない。
「捕まえたからと言って、これで解決ですよ、とは伝えられないだろ。ここを襲いに来る奴らが九人減った。言えるのはそれだけだからな」
「じゃあ、まだ警備続けるのかあ?」
「んー……」
そこなんだよなぁ。
いつまで続けりゃいいのか。
まぁ取り調べではっきりしたことが分かりゃ、目処はつくとは思うんだがなぁ。
「でも、村を警備する人達には報せた方が」
「何を?」
「えっと……」
マッキーの言いたいことも分かる。
何も知らずに見回りを続けるよりは、状況がいくらか変わったことを伝えた方が、村人たちのストレスも軽くなるだろうし。
けどな。
「それに、サーマルさんにそういうことを伝えたとしてだ。その情報に責任を持たされるってのがな」
「責任逃れしたいわけ?」
「何でコーティはいつもきついことを言うんだよ。ちげーよ。村の存亡にかかわる重大な事に俺達も関わってるってことを、村人たちは知らねぇだろ? 俺んとこは俺らだけで警戒してくれって言われたんだから」
「でも情報は共有しないとまずいでしょうが」
コーティのきつい言い方何とかならんもんか。
でも、コーティの言ってることも間違ってはいない。
けどなぁ。
この村に経済的に潤いを持たせてるのは俺達だってドーセンは言ってたけどな。
この村での俺らの立場ってのは、果たして村人として受け入れてくれてるかどうか、なんだよな。
もちろん断られても、俺は別に気にはしない。
ダンジョンやフィールドに来る冒険者への援助活動……まぁ商売だけどな。
それを仕事としてるわけだから、その仕事を禁じられない限りあの洞窟に居続けるつもりではいるが……。
いずれにせよ、そんな大それた立場にいるわけじゃないし、いるつもりもない。
そんな俺らが、村の警備警戒する団体なんかを差し置いて、サーマルさんに伝えていいものかどうか。
伝えるなら、村を見回りしている連中じゃね?
けど面識ない奴らばかりだろうしなぁ。
かと言って、何も伝えないってのはまずいだろうし。
「ドーセンさんには教えたらどうでしょう?」
「ソレ、イイカモ」
うーん。
それもどうかね。
「ドーセンは宿屋一辺倒だろ? 見回りの当番もしてるならともかく」
「でも、世間話みたいな感じで話しして見たらどうです?」
「あんまり意味ねぇよ。利用者は宿泊の冒険者と、飯時の……まぁそれは村人たちも使うようだけど」
「それでもいいんじゃないですか?」
「飯時なら、客と話してる余裕ねぇんじゃねぇの?」
別に、ただ一言「夜盗を捕まえました」と言えば済むことなんだろうが、俺ができるのは気配の察知であって、未来の予測じゃない。
こっちの予想外のことが起きたら、夜盗を捕まえたといったよな? などと責められかねない。
面倒事に巻き込まれるのは御免だし、沈黙は金とも言うし。
「ということで……今日は臨時休業にしますかね」
全員が微妙な顔をしている。
が異論はない。
しょうがないよな。
隠し事をする気はないし、聞かれたら答える。
けど、こっちから出しゃばるようなことはしない。
それが一番無難だろうしな。
※※※※※ ※※※※※
おにぎりの店、本日休業。
としたけども。
販売だけならやってもいいかな、と思い直した。
みんなは睡眠中。
俺だけ販売。
もっともおにぎり作りはお休みにした。
ダンジョンにもフィールドにも、それなりに冒険者はやってくる。
こっちは眠いからってんで休むってぇと、ここで準備するつもりで来た人に悪い気がしたしな。
「クリマーさんはー?」
「ヨウミちゃんはー?」
「マッキー、いないのー?」
ファンクラブな連中、やかましいっ!
とっとと買い物済ませろよ!
「今日はちょっと都合があってな。ホントは店休みにするつもりだったんだが」
説明はこんな程度で終わらせる。
俺も、ちとしんどいし。
……何やら周囲が騒がしい。
「そうか。それはちょっと残念だ。だがアラタがいればそれで十分かな」
気配を客に紛れてきやがった。
そっちは寝不足じゃねぇのかよ?
「……随分元気なことだな、シアン」
「おかげさまでね。で、報告に来たんだが、そっちの仕事が一段落つくのを待つとするか」
こっちはなるべく早く知りたいが、まずは目の前の仕事、終わらせなきゃな。
その一環というか、ボランティア的というか、自主的というか。
それが俺の私的というか個人的な理由もあったから、積極的に行動を起こした。
ところが、その公的な計画に絡めず、有志として、というか。
別にそれは褒められるべきことでもないし、責められることでもない。
そっちはそっちで、こっちはこっちで、という感じだ。
ところが本命がこっちの方に来ちまった。
で、こっちだけ……って訳でもなかったが、解決しちまった。
この場合、俺はどうすりゃいいんだろうな?
※※※※※ ※※※※※
朝飯時。
みんなが寝不足気味な顔つきだ。
夜中は夜盗との攻防戦ということで、みんな興奮してて気づかなかったろうが、睡眠時間が大分削られたからな。
「さて、お前ら、ゆっくり休めたか?」
「んー……眠い」
真っ先に返事をしたのは、本能に一番素直そうなテンちゃんだ。
「まぁみんなも眠いだろうな。今日は臨時休業にしようか」
「でも……夜盗を捕らえたってことをサーマルさんに報せなくていいの?」
ヨウミの指摘は間違いじゃない。
間違いじゃないんだが……。
「テンちゃんがバイト先で捕まえた連中と同じグループってのは事実だ。けど今思うと、あれで全員とは言い切れないんだよなぁ」
あん時はサミーのことで逆上しちまったから、尋問すること考えてる余裕がなかった。
それに、シアン……というか、親衛隊に引き渡しちまったから、そっから保安官経由で村に通知とか来るんじゃなかろうか?
それに今回の件の一部始終を把握してるわけじゃない。
「捕まえたからと言って、これで解決ですよ、とは伝えられないだろ。ここを襲いに来る奴らが九人減った。言えるのはそれだけだからな」
「じゃあ、まだ警備続けるのかあ?」
「んー……」
そこなんだよなぁ。
いつまで続けりゃいいのか。
まぁ取り調べではっきりしたことが分かりゃ、目処はつくとは思うんだがなぁ。
「でも、村を警備する人達には報せた方が」
「何を?」
「えっと……」
マッキーの言いたいことも分かる。
何も知らずに見回りを続けるよりは、状況がいくらか変わったことを伝えた方が、村人たちのストレスも軽くなるだろうし。
けどな。
「それに、サーマルさんにそういうことを伝えたとしてだ。その情報に責任を持たされるってのがな」
「責任逃れしたいわけ?」
「何でコーティはいつもきついことを言うんだよ。ちげーよ。村の存亡にかかわる重大な事に俺達も関わってるってことを、村人たちは知らねぇだろ? 俺んとこは俺らだけで警戒してくれって言われたんだから」
「でも情報は共有しないとまずいでしょうが」
コーティのきつい言い方何とかならんもんか。
でも、コーティの言ってることも間違ってはいない。
けどなぁ。
この村に経済的に潤いを持たせてるのは俺達だってドーセンは言ってたけどな。
この村での俺らの立場ってのは、果たして村人として受け入れてくれてるかどうか、なんだよな。
もちろん断られても、俺は別に気にはしない。
ダンジョンやフィールドに来る冒険者への援助活動……まぁ商売だけどな。
それを仕事としてるわけだから、その仕事を禁じられない限りあの洞窟に居続けるつもりではいるが……。
いずれにせよ、そんな大それた立場にいるわけじゃないし、いるつもりもない。
そんな俺らが、村の警備警戒する団体なんかを差し置いて、サーマルさんに伝えていいものかどうか。
伝えるなら、村を見回りしている連中じゃね?
けど面識ない奴らばかりだろうしなぁ。
かと言って、何も伝えないってのはまずいだろうし。
「ドーセンさんには教えたらどうでしょう?」
「ソレ、イイカモ」
うーん。
それもどうかね。
「ドーセンは宿屋一辺倒だろ? 見回りの当番もしてるならともかく」
「でも、世間話みたいな感じで話しして見たらどうです?」
「あんまり意味ねぇよ。利用者は宿泊の冒険者と、飯時の……まぁそれは村人たちも使うようだけど」
「それでもいいんじゃないですか?」
「飯時なら、客と話してる余裕ねぇんじゃねぇの?」
別に、ただ一言「夜盗を捕まえました」と言えば済むことなんだろうが、俺ができるのは気配の察知であって、未来の予測じゃない。
こっちの予想外のことが起きたら、夜盗を捕まえたといったよな? などと責められかねない。
面倒事に巻き込まれるのは御免だし、沈黙は金とも言うし。
「ということで……今日は臨時休業にしますかね」
全員が微妙な顔をしている。
が異論はない。
しょうがないよな。
隠し事をする気はないし、聞かれたら答える。
けど、こっちから出しゃばるようなことはしない。
それが一番無難だろうしな。
※※※※※ ※※※※※
おにぎりの店、本日休業。
としたけども。
販売だけならやってもいいかな、と思い直した。
みんなは睡眠中。
俺だけ販売。
もっともおにぎり作りはお休みにした。
ダンジョンにもフィールドにも、それなりに冒険者はやってくる。
こっちは眠いからってんで休むってぇと、ここで準備するつもりで来た人に悪い気がしたしな。
「クリマーさんはー?」
「ヨウミちゃんはー?」
「マッキー、いないのー?」
ファンクラブな連中、やかましいっ!
とっとと買い物済ませろよ!
「今日はちょっと都合があってな。ホントは店休みにするつもりだったんだが」
説明はこんな程度で終わらせる。
俺も、ちとしんどいし。
……何やら周囲が騒がしい。
「そうか。それはちょっと残念だ。だがアラタがいればそれで十分かな」
気配を客に紛れてきやがった。
そっちは寝不足じゃねぇのかよ?
「……随分元気なことだな、シアン」
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