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店の日常編
村の防衛もこいつらにかかりゃ、戦争ごっこかなぁ 後日談
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その夜。
シアンと親衛隊とこの村に時々巡回しに来ている保安官達。
そして日中と夜、対夜盗の自警団の村人達が、フィールドに一堂に会した。
謝礼のために店に来る人一人一人に対応など、とてもしてられん。
ということで、サーマルさんに相談の連絡を取ってみた。
おにぎりの店のメンバー全員揃ったときに、村人全員の代表としてサーマルと約五十人の自警団全員が礼を言いに伺う、ということで。
だが、こっちは魔物の集団だ。しかも武闘派。
どんな誤解を招いてしまうか、仲介役めいたことをシアンに頼んだ。
一たび暴動が起きたら、サーマルさんだけじゃ収拾がつかなくなりそうだし。
本当はこっちから連絡を取りたいとは思わなかったのだが、つまらない争いごとを未然に防止するのも保安官の仕事だし、国内の平穏を見届けるのも皇太子の役目だろうということで。
まぁ国内ででかいトラブルが起きたら、そのトップが責任を持つべきだろう、と強調しといた。
これを機に、シアンが俺にもっと馴れ馴れしく絡まれても迷惑なんでな。
だが……まぁいろんな意味でこの対面というか、面会は穏やかじゃなかった。
「嘘だろ……何で……皇太子様が……」
「保安官だけだと思ってた……。サーマルさんっ。これ、どういうこと?!」
「この店……王族経営なのか?! 王族ご用達か?!」
「つか……王族直轄の魔族独立部隊か何かなのか?!」
そりゃ驚くのも無理はないか。
俺はここまで来るまでの段階は全部見てきたからな。
これがこーなって、こーなったあとあーなって、ってな。
ところが村人達は、いつの間にかどこの誰かも分からん奴が、村の端に何やら怪しい店を始めた程度にしか思ってなかったんだろうよ。
そんな馬の骨が、村に損害を与える連中を一網打尽ときたもんだ。
その正体が、王族と絡んでるっちゃあ、そりゃ腰も抜けるか。
「あたしのことはみんな知ってるのにねぇ」
まぁテンちゃんはバイトに出てたからな。
「なっ……! テンちゃんが喋った?!」
「魔物って……日本語喋れるのか!」
え?
「いや……いつも普通に喋ってるが? つか、サーマルさん。テンちゃんにはそんな制限してたんですか? いや、こっちは別に構いませんが……」
「う……うむ。家畜の動物達と一緒にいるからな。それに、観光客たちが、無茶して牧場の中に入ろうとするかもしれんかったしな」
まぁ……いいけどさ。
でもその制限のおかげで、村の大被害、大災害を避けることができた遠因にもなっただろうし。
「それにしても……ちらっと見ただけだしあんな事態だったから気に留める間もなかったが……。その子はサミーか?」
あぁ、捕物の最中に見たのか?
よく見えたもんだ。
「あぁ。親にそっくりになった。もっとも親には触ったことはないから、硬いかどうかは分からんが。カニみたいに硬いぜ? もうもふもふの暖かさは再現できねぇけどよ」
「そうか……。それは残念だ。ギョリュウ族だろうから仕方のないことだが」
もふもふ、王族お墨付きだったか。
永遠にお別れなのが悲しいな。
「ギョ、ギョリュウ族だって?!」
「レアな魔物じゃねぇか!」
「俺らの作物なんて目じゃねぇぞ! この魔物を狙う奴だって出てきそうだ!」
力を合わせて、俺らがひっ捕まえたんですけども?
返り討ちに遭うのは間違いないだろうな。
「にしても……こっちの魔物は……」
「ワーム族、だな」
ンーゴのことだな。
ンーゴも、その相棒のミアーノも、自分の種族名はよく分からんらしかったが。
「く、喰われねぇか?」
どっかで聞いた質問だな。
その質問の答えは……。
「ニンゲン、アマリオイシクナイ。アラタノオニギリ、モットウマイ」
同じだった。
褒められて悪い気はしないが、褒められ方がちょっとアレなんだよな。
「そ……そうですか……」
「にしても……古い人が見たら、縁起が悪いって言われそうですよね。こんな田舎じゃお目にかかることがない珍しい種族の方々ですから、そんな言い習わしを蒸し返す人はいないでしょうけど」
やはり言われた。
道との存在との交流にとっかかりやすい話題ってば、ホントに限られるからなぁ。
それでも次第に、互いに打ち解けてこれたのは何より。
「引き続き、バイトの方、よろしくお願いしますよ、テンちゃんさん」
「はーい。でも今日はどうしても眠かったから……ごめんなさい」
「そこまで細かい約束をしてたわけじゃないから気にしないさ」
「エイシアンム殿下、私からも一言よろしいでしょうか」
突然口を挟んできたのは、サミーに剃髪をしてもらった親衛隊のクリットだ。
なんか真剣な顔してるが……。
「うん? 場を弁えた話な私は構わないよ?」
「は、有り難うございます。……アラタ殿」
「俺かよ! いきなりびっくりするわっ。何?」
「サミーのことですが……」
サミーがなんぞ?
「また、剃髪、してもらえるのでしょうか……」
その話かよ!
何か深刻な話かと思いきや……。
けど、今までの顔の部分がなくなったからな。
もっとも鼻先が体の先端についている格好は変わらない。
どうなんだろうな。
「サミー、どうなんだ?」
顔が体の一部みたいになってるから、捻る首もない。
その体の先端をねじるのが、そんな所作っぽいが……。
「分らんみたいだな。でもどうせ、鍛錬目的で来るんだろ? 来たついでに試せばいいだけの事じゃねぇの?」
「それもそうですな……」
「アラタさん……魔物とも王族関係の方々とも、あまり態度が変わらないのですね……」
「魔物と王族一緒にすんなよ」
「あ……、しっ失礼しましたっ!」
その村人の顔、赤くなるやら青くなるやら。
まさに信号機。
ま、この世界に信号機はないけどな。
「アラタ……あんた、事情を知らない人達にきつすぎんじゃないの?」
「おまえほどじゃねぇよ、コーティ」
「何言ってんの。あたしはいつでも、誰にでも親切に決まってんでしょ!」
どの口から何をほざくか。
ホント、誰かこいつの性格どうにかしてくんねぇかな。
「ピクシー……ですよね、それ」
「ん? あたし? そうよ? それが?」
「普通は姿見せない種族って聞きましたが……」
シアンも言ってたな。
魔力の強さのあまり、その姿を隠しきれないんだとか。
「ふふん、綺麗な姿でしょ?」
話題の焦点はそこじゃねぇと思うぞ?
口にすると電撃か何か食らいそうだからやめとくが。
それに、親しい間柄になることよりも、どんなことがあっても誤解が生まれない関係を築くことが大事だからな。
もっとも村人サイドは、王族には畏れ多くて近寄れない、といったふうだ。
俺がシアンに遠慮のないことを言うたびに、みんな震えあがってたのは面白かったが。
けど、それなりに友好的な交流はできたものの、この村人達がおにぎりの店の客になることはないよなぁ。
だって、冒険者達しか関心持ってくれねぇ店だからな。
ま、それでもこの時間はそれなりに有意義だったからいいか。
シアンと親衛隊とこの村に時々巡回しに来ている保安官達。
そして日中と夜、対夜盗の自警団の村人達が、フィールドに一堂に会した。
謝礼のために店に来る人一人一人に対応など、とてもしてられん。
ということで、サーマルさんに相談の連絡を取ってみた。
おにぎりの店のメンバー全員揃ったときに、村人全員の代表としてサーマルと約五十人の自警団全員が礼を言いに伺う、ということで。
だが、こっちは魔物の集団だ。しかも武闘派。
どんな誤解を招いてしまうか、仲介役めいたことをシアンに頼んだ。
一たび暴動が起きたら、サーマルさんだけじゃ収拾がつかなくなりそうだし。
本当はこっちから連絡を取りたいとは思わなかったのだが、つまらない争いごとを未然に防止するのも保安官の仕事だし、国内の平穏を見届けるのも皇太子の役目だろうということで。
まぁ国内ででかいトラブルが起きたら、そのトップが責任を持つべきだろう、と強調しといた。
これを機に、シアンが俺にもっと馴れ馴れしく絡まれても迷惑なんでな。
だが……まぁいろんな意味でこの対面というか、面会は穏やかじゃなかった。
「嘘だろ……何で……皇太子様が……」
「保安官だけだと思ってた……。サーマルさんっ。これ、どういうこと?!」
「この店……王族経営なのか?! 王族ご用達か?!」
「つか……王族直轄の魔族独立部隊か何かなのか?!」
そりゃ驚くのも無理はないか。
俺はここまで来るまでの段階は全部見てきたからな。
これがこーなって、こーなったあとあーなって、ってな。
ところが村人達は、いつの間にかどこの誰かも分からん奴が、村の端に何やら怪しい店を始めた程度にしか思ってなかったんだろうよ。
そんな馬の骨が、村に損害を与える連中を一網打尽ときたもんだ。
その正体が、王族と絡んでるっちゃあ、そりゃ腰も抜けるか。
「あたしのことはみんな知ってるのにねぇ」
まぁテンちゃんはバイトに出てたからな。
「なっ……! テンちゃんが喋った?!」
「魔物って……日本語喋れるのか!」
え?
「いや……いつも普通に喋ってるが? つか、サーマルさん。テンちゃんにはそんな制限してたんですか? いや、こっちは別に構いませんが……」
「う……うむ。家畜の動物達と一緒にいるからな。それに、観光客たちが、無茶して牧場の中に入ろうとするかもしれんかったしな」
まぁ……いいけどさ。
でもその制限のおかげで、村の大被害、大災害を避けることができた遠因にもなっただろうし。
「それにしても……ちらっと見ただけだしあんな事態だったから気に留める間もなかったが……。その子はサミーか?」
あぁ、捕物の最中に見たのか?
よく見えたもんだ。
「あぁ。親にそっくりになった。もっとも親には触ったことはないから、硬いかどうかは分からんが。カニみたいに硬いぜ? もうもふもふの暖かさは再現できねぇけどよ」
「そうか……。それは残念だ。ギョリュウ族だろうから仕方のないことだが」
もふもふ、王族お墨付きだったか。
永遠にお別れなのが悲しいな。
「ギョ、ギョリュウ族だって?!」
「レアな魔物じゃねぇか!」
「俺らの作物なんて目じゃねぇぞ! この魔物を狙う奴だって出てきそうだ!」
力を合わせて、俺らがひっ捕まえたんですけども?
返り討ちに遭うのは間違いないだろうな。
「にしても……こっちの魔物は……」
「ワーム族、だな」
ンーゴのことだな。
ンーゴも、その相棒のミアーノも、自分の種族名はよく分からんらしかったが。
「く、喰われねぇか?」
どっかで聞いた質問だな。
その質問の答えは……。
「ニンゲン、アマリオイシクナイ。アラタノオニギリ、モットウマイ」
同じだった。
褒められて悪い気はしないが、褒められ方がちょっとアレなんだよな。
「そ……そうですか……」
「にしても……古い人が見たら、縁起が悪いって言われそうですよね。こんな田舎じゃお目にかかることがない珍しい種族の方々ですから、そんな言い習わしを蒸し返す人はいないでしょうけど」
やはり言われた。
道との存在との交流にとっかかりやすい話題ってば、ホントに限られるからなぁ。
それでも次第に、互いに打ち解けてこれたのは何より。
「引き続き、バイトの方、よろしくお願いしますよ、テンちゃんさん」
「はーい。でも今日はどうしても眠かったから……ごめんなさい」
「そこまで細かい約束をしてたわけじゃないから気にしないさ」
「エイシアンム殿下、私からも一言よろしいでしょうか」
突然口を挟んできたのは、サミーに剃髪をしてもらった親衛隊のクリットだ。
なんか真剣な顔してるが……。
「うん? 場を弁えた話な私は構わないよ?」
「は、有り難うございます。……アラタ殿」
「俺かよ! いきなりびっくりするわっ。何?」
「サミーのことですが……」
サミーがなんぞ?
「また、剃髪、してもらえるのでしょうか……」
その話かよ!
何か深刻な話かと思いきや……。
けど、今までの顔の部分がなくなったからな。
もっとも鼻先が体の先端についている格好は変わらない。
どうなんだろうな。
「サミー、どうなんだ?」
顔が体の一部みたいになってるから、捻る首もない。
その体の先端をねじるのが、そんな所作っぽいが……。
「分らんみたいだな。でもどうせ、鍛錬目的で来るんだろ? 来たついでに試せばいいだけの事じゃねぇの?」
「それもそうですな……」
「アラタさん……魔物とも王族関係の方々とも、あまり態度が変わらないのですね……」
「魔物と王族一緒にすんなよ」
「あ……、しっ失礼しましたっ!」
その村人の顔、赤くなるやら青くなるやら。
まさに信号機。
ま、この世界に信号機はないけどな。
「アラタ……あんた、事情を知らない人達にきつすぎんじゃないの?」
「おまえほどじゃねぇよ、コーティ」
「何言ってんの。あたしはいつでも、誰にでも親切に決まってんでしょ!」
どの口から何をほざくか。
ホント、誰かこいつの性格どうにかしてくんねぇかな。
「ピクシー……ですよね、それ」
「ん? あたし? そうよ? それが?」
「普通は姿見せない種族って聞きましたが……」
シアンも言ってたな。
魔力の強さのあまり、その姿を隠しきれないんだとか。
「ふふん、綺麗な姿でしょ?」
話題の焦点はそこじゃねぇと思うぞ?
口にすると電撃か何か食らいそうだからやめとくが。
それに、親しい間柄になることよりも、どんなことがあっても誤解が生まれない関係を築くことが大事だからな。
もっとも村人サイドは、王族には畏れ多くて近寄れない、といったふうだ。
俺がシアンに遠慮のないことを言うたびに、みんな震えあがってたのは面白かったが。
けど、それなりに友好的な交流はできたものの、この村人達がおにぎりの店の客になることはないよなぁ。
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