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店の日常編
仲間達の新たな活動 7
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「しかしなぁ」
「どうしたの? アラタ」
「いや……あいつらに集団戦の特訓を申し込む連中が増えたはいいけどさ」
「うん。まぁ確かにいいことかもね」
冒険者達の戦闘力を高める手伝いをしている。
目の前の現実だけを見りゃ、そうとしか言えない。
だが、この国の、長じて世界中に存在する、邪悪な魔物達の討伐や数の減少の手段を増やす手伝いとも言えなくはない。
いいことと言わず何と言うか。
けど、そんな大それたことを、俺からは言えねぇわな。
まぁそれはともかくだ。
「新人相手ばかりじゃなく、ベテラン相手に手合わせすることも増えてきたよな。あいつら、ストレス大丈夫かなってな」
「意外とタフだからね。平気だと思うよ?」
「いや、そうじゃなく……。今までは時間的にのんびり……悪く言や、飯と睡眠時間以外は、好きな時に好きなことをしてた生活サイクルが、予定時間に追われる生活に変わったわけだからさ」
「あー……退屈しのぎにちょうどいい、みたいなこと言ってたよ?」
退屈しのぎ?
紅丸の件の時から、休暇日とか決めてそれがずっと続いてたんだが……。
「今日で、集団戦の練習のスケジュール始まって五日目くらいでしょ? みんな、毎日楽しいって言ってたよ?」
「そりゃ俺も聞いたことあるけどさ……。まぁ……本人達がいいってんなら……まぁいいか」
思い起こせば四日前。
集団戦を初めて受けた翌日。
噂を聞いたらしく、魔物達との集団戦を希望する冒険者達が集まってきた。
おにぎりを買い求める客数を上回るほど。
ここでヨウミが問題点を発見した。
「例えば、冒険者達がテンちゃん達に直接申し込んで特訓を受け付けるってシステムができたとするよ?」
「ああ。それが?」
「あたし達は、誰が申し込んだか分からないわけでしょ?」
「まぁ、そうだな」
「突然あたし達の所に来て『俺の仲間が集団戦の特訓から帰ってこないんだが』って文句を言ってきたとする」
「ふむ。それで?」
「あたし達は知らないで済ませられるけど、テンちゃん達が『そんな人達からの申し込みはないよ?』って言い返したら……どうなるかしら?」
どうなるかしらって……。
「冒険者からの文句が事実だとしたら……」
「テンちゃん達が特訓中に事故を起こして、その人達が来た事実を隠す、ということも」
「そりゃまずいだろ」
「逆に、その文句が嘘だとしたら?」
「賠償金だのなんだのという言いがかりをつけてきて……ってことか?」
「その話を鵜呑みにしちゃって向こうの言い分を認めたら……店を畳んで済む話じゃないよね」
その前に、痛くもない腹を探られるのは真っ平ご免だ。
三度目の手配書張り出しってことになっちまうだろうしな。
そういうことで、集団戦の受け付けもこっちで受け持つことにした。
だから、申し込んできた連中の名前に人数ばかりじゃなく、あいつらの予定の時間も把握できるようになったというわけだ。
だが、おにぎり作りの仕事のほかに、集団戦の予定とかあいつらの休暇とか考える必要がでてきたもんだから、こっちの休息の心配もしてもらいたいもんだとも思う。
いくら魔物だからって、疲れ知らずなわけはないはずだしな。
とりあえず、集団戦の相手としての活動は、一日を午前と午後の二つに分け、どちらか一つか、二つまとめるか、二つ続けて何日分にするかの三通りを申請者から希望を聞く。
三日活動したら一日休むサイクルにする。
もっとも店の手伝いは活動日休日問わず、常にしてもらうつもりだが。
「にしても……六日先まで予定埋まっちゃうとは思わなかったわよねぇ」
「申し込みは七チームほどか。ま、チーム数は問題じゃねぇけどな」
「休日も入れて六日だけど、みんな、大丈夫かな? ちょっと厳しくない? って……いらっしゃい」
「魔物との集団戦の訓練を受け付けるようになったって聞いたが……受け付けてもらえるか?」
のんびり会話もできゃしない。
けど受け付けの役目はこっちから引き受けちまったからなぁ。
「えーと、今日から七日後以降じゃないと予定が空いてないな。俺と顔見知りだから何とかしてくれってのはなし。そんな事言う奴ぁ、二度とここに来てもらいたくないもんだ。早い者勝ちだからな。いい気になってる、なんて言う噂を流そうもんなら、この訓練自体活動停止するつもりだからそのおつもりで」
「我々の仲間にはアラタ殿と顔見知りの者はいるが、私は初対面だしな。無理は言わんし、そんな風評を流すつもりもない。ただ、何日間かまとめて予約したいんだが。こっちは三人ずつで総勢十人。最低三日間ほしいな。なんせこっちは一度に三人までしか休暇を取れないからな」
「一度に三人休み?」
別にそんなことを言われてもな……って……。
フルフェイスの……兜?
頭部の防具が顔面も覆ってる。
顔面どころか、全身鎧で素肌は全く見えない。
女性ってのは鎧の形で分かるが……。
彼女の仲間に顔見知りがいる?
で、この人とは初対面……何もんだ?
「どうしたの? アラタ」
「いや……あいつらに集団戦の特訓を申し込む連中が増えたはいいけどさ」
「うん。まぁ確かにいいことかもね」
冒険者達の戦闘力を高める手伝いをしている。
目の前の現実だけを見りゃ、そうとしか言えない。
だが、この国の、長じて世界中に存在する、邪悪な魔物達の討伐や数の減少の手段を増やす手伝いとも言えなくはない。
いいことと言わず何と言うか。
けど、そんな大それたことを、俺からは言えねぇわな。
まぁそれはともかくだ。
「新人相手ばかりじゃなく、ベテラン相手に手合わせすることも増えてきたよな。あいつら、ストレス大丈夫かなってな」
「意外とタフだからね。平気だと思うよ?」
「いや、そうじゃなく……。今までは時間的にのんびり……悪く言や、飯と睡眠時間以外は、好きな時に好きなことをしてた生活サイクルが、予定時間に追われる生活に変わったわけだからさ」
「あー……退屈しのぎにちょうどいい、みたいなこと言ってたよ?」
退屈しのぎ?
紅丸の件の時から、休暇日とか決めてそれがずっと続いてたんだが……。
「今日で、集団戦の練習のスケジュール始まって五日目くらいでしょ? みんな、毎日楽しいって言ってたよ?」
「そりゃ俺も聞いたことあるけどさ……。まぁ……本人達がいいってんなら……まぁいいか」
思い起こせば四日前。
集団戦を初めて受けた翌日。
噂を聞いたらしく、魔物達との集団戦を希望する冒険者達が集まってきた。
おにぎりを買い求める客数を上回るほど。
ここでヨウミが問題点を発見した。
「例えば、冒険者達がテンちゃん達に直接申し込んで特訓を受け付けるってシステムができたとするよ?」
「ああ。それが?」
「あたし達は、誰が申し込んだか分からないわけでしょ?」
「まぁ、そうだな」
「突然あたし達の所に来て『俺の仲間が集団戦の特訓から帰ってこないんだが』って文句を言ってきたとする」
「ふむ。それで?」
「あたし達は知らないで済ませられるけど、テンちゃん達が『そんな人達からの申し込みはないよ?』って言い返したら……どうなるかしら?」
どうなるかしらって……。
「冒険者からの文句が事実だとしたら……」
「テンちゃん達が特訓中に事故を起こして、その人達が来た事実を隠す、ということも」
「そりゃまずいだろ」
「逆に、その文句が嘘だとしたら?」
「賠償金だのなんだのという言いがかりをつけてきて……ってことか?」
「その話を鵜呑みにしちゃって向こうの言い分を認めたら……店を畳んで済む話じゃないよね」
その前に、痛くもない腹を探られるのは真っ平ご免だ。
三度目の手配書張り出しってことになっちまうだろうしな。
そういうことで、集団戦の受け付けもこっちで受け持つことにした。
だから、申し込んできた連中の名前に人数ばかりじゃなく、あいつらの予定の時間も把握できるようになったというわけだ。
だが、おにぎり作りの仕事のほかに、集団戦の予定とかあいつらの休暇とか考える必要がでてきたもんだから、こっちの休息の心配もしてもらいたいもんだとも思う。
いくら魔物だからって、疲れ知らずなわけはないはずだしな。
とりあえず、集団戦の相手としての活動は、一日を午前と午後の二つに分け、どちらか一つか、二つまとめるか、二つ続けて何日分にするかの三通りを申請者から希望を聞く。
三日活動したら一日休むサイクルにする。
もっとも店の手伝いは活動日休日問わず、常にしてもらうつもりだが。
「にしても……六日先まで予定埋まっちゃうとは思わなかったわよねぇ」
「申し込みは七チームほどか。ま、チーム数は問題じゃねぇけどな」
「休日も入れて六日だけど、みんな、大丈夫かな? ちょっと厳しくない? って……いらっしゃい」
「魔物との集団戦の訓練を受け付けるようになったって聞いたが……受け付けてもらえるか?」
のんびり会話もできゃしない。
けど受け付けの役目はこっちから引き受けちまったからなぁ。
「えーと、今日から七日後以降じゃないと予定が空いてないな。俺と顔見知りだから何とかしてくれってのはなし。そんな事言う奴ぁ、二度とここに来てもらいたくないもんだ。早い者勝ちだからな。いい気になってる、なんて言う噂を流そうもんなら、この訓練自体活動停止するつもりだからそのおつもりで」
「我々の仲間にはアラタ殿と顔見知りの者はいるが、私は初対面だしな。無理は言わんし、そんな風評を流すつもりもない。ただ、何日間かまとめて予約したいんだが。こっちは三人ずつで総勢十人。最低三日間ほしいな。なんせこっちは一度に三人までしか休暇を取れないからな」
「一度に三人休み?」
別にそんなことを言われてもな……って……。
フルフェイスの……兜?
頭部の防具が顔面も覆ってる。
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