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王宮動乱編
集団戦の人気がおにぎりを上回る その3
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「シアン。その用件、丁重にお断り申し上げる」
「え?」
「アラタ……それは……」
「聞いてあげようよ、アラタ」
ヨウミ達からの抗議は意外だな。
けどな。
「……認めたくはねぇが仲間としての依頼なら、まぁ引き受けてもいいさ。けど、国王代理としての依頼だぞ? 依頼料いくらもらえばいいんだ? それに受けたとしても順番待ちがある。一か月くらいは詰まってるし、依頼する訓練期間はどんくらいよ? 場所はここってわけにゃいかねぇだろ。国軍がこんな田舎にぞろぞろとやってきて、その動きを他国が察知したらどう見られるよ? 戦争の準備などと言いがかりつけられるぞ?」
ツッコみどころ満載だぜ、この依頼。
シアンが焦る理由は分かったし理解できるけどよ。
「その期間の間、こいつらの飯はどうするよ? 普通の飯でもいいけどよ、俺のおにぎりなしじゃ魔力回復とか間に合わねぇぞ?」
「う……」
俺が店にいなきゃ店の商売は成り立たない。
俺の店は、多くの冒険者達から必要とされ、親しまれているってのは分かってるらしいな。
「ま、人目につかず、ここで訓練できりゃ問題はねぇんだけどよ」
この問題は、いくらシアンを擁護したくてもできないだろう。
なんせ自分らの体力魔力回復に関わる重大な問題だからな。
「冒頭に、人情がどうのっつってたけどよ、人情、大いに結構だよ? こっちの都合が合えばな? けど俺ら……俺から見りゃ、国家権力が人情よりも先に見えるんだよ。シアンからの依頼を断ったら、打ち首獄門とか言い渡されそうな気がしねぇでもねぇんだよ。親父の事を謝罪する気持ちは十分伝わったけどよ、親父がやらかした俺への実績や記憶までは消えねぇし、実体験、経験としてその後から教訓の一つとして残ってんだよ」
相手が謝ってきたことをいつまでもネチネチと言うようだが、俺の言うことはそれとは違う。
俺の中に存在する事実、現実を伝えたまでだ。
謝ってどうこうっていう次元じゃねぇ。
「ま、今回の話はここまでだ。飯、食ってくか? サミーラ達も、シアンの後ろに隠れてねぇで一緒によ。それとこれとは話は別だしな」
シアンはおそらく、ゆっくり休みたいところだろうよ。
スケジュールが詰まってんなら、骨休みできる時間はなるべく減らしたくないはずだ。
けど、こっちだってそれくらいの気遣いは。
「……ご相伴に預かろう。ここでも十分寛げる。みんなも、俺に遠慮しなくていいからな」
「なら、みんな、もう少し広がれ。さらに五人混ざるんだ」
※※※※※ ※※※※※
飯を食いながらも、会話は止まらない。
俺だって、シアンのことを嫌うのは国家権力がどうしてもこいつについて回るからな。
それがなきゃ別にどうと言うことはない。
「……アラタ。君に言われるまでもなく、ある意味クーデターを起こした自覚はある」
王妃とシアンが国王を幽閉したという話を初めて聞いてから、そんなことを感じていた。
口にした記憶は……ちょっと思い返しただけでは出てこない。
が、言葉に出しても不思議でも何でもない。
「あのような振る舞いをし続けた国王……父上でも、支援する者もいれば同意する者もいる。もちろん我々にもいるのだが……」
まぁどっち側に就くにせよ、メリットがあれば味方はいるし、デメリットしかなければそいつを否定したくなるのは当然だよな。
冷静に考えりゃ、そんな考え方には理解できる。
俺だってそうだしな。
「まともにぶつかると争いごとが起きる。その結果、国力を無駄に消耗させることもある。これはどっち側が勝とうが、国民の生活が苦しくなる。彼らがどちら側に就こうともな」
ふむ。
シアンは、単純に判断すれば、国民の生活が一番大事って考えの持ち主か。
「だから……夜中に父上と直談判して、その結果次第では……と」
「おいおい。そんな話を聞かせて俺を権力争いに巻き込むな」
「あ? あ、いや、すまない。そういうつもりじゃなくてな。国力を高めたい、豊かにしたい、と思っててな」
そりゃ十分伝わってるよ。
「しかし、父上側であろうと我々側であろうと、結局同じことで頭を悩ます問題は、相変わらず存在してて」
「泉と雪崩現象の魔物、だろ?」
それくらいは理解できる。
「うむ。つまり、魔物討伐のための軍事力増強の課題は常に挙げておかねばならない」
「鍛錬なら冒険者達の相手をする方が、こっちには向いてるんだよな」
「アラタ」
急に俺の方に体ごと向けてきた。
意を決して何かを言おうとしてるが、厄介ごとは勘弁してくれ。
「これからも、その件について……」
いや、何度頼まれても断るから。
何度依頼に来られても困るから。
「いろいろと相談しにきてもいいだろうか?」
おい。
お前な。
「依頼と相談は別物だろ。この時間、一緒に飯食いながら雑談する程度の話なら構わねぇよ? ただ、突然来るより、予め連絡くれる方が、ありつける飯の量に不足は減ると思うぜ?」
「恩に着るっ!」
いや、両手を握りしめるほど感動する話じゃねぇと思うんだが。
つか、手を放せ。
飯が食えん。
「良かったねぇ、シアン。でも物足りなきゃあたしの干し草……」
「テンちゃん、すまん。それは遠慮しておこう。これでも一応、まともな人間なのでな」
一応、の意味、後で調べてみよう……。
「え?」
「アラタ……それは……」
「聞いてあげようよ、アラタ」
ヨウミ達からの抗議は意外だな。
けどな。
「……認めたくはねぇが仲間としての依頼なら、まぁ引き受けてもいいさ。けど、国王代理としての依頼だぞ? 依頼料いくらもらえばいいんだ? それに受けたとしても順番待ちがある。一か月くらいは詰まってるし、依頼する訓練期間はどんくらいよ? 場所はここってわけにゃいかねぇだろ。国軍がこんな田舎にぞろぞろとやってきて、その動きを他国が察知したらどう見られるよ? 戦争の準備などと言いがかりつけられるぞ?」
ツッコみどころ満載だぜ、この依頼。
シアンが焦る理由は分かったし理解できるけどよ。
「その期間の間、こいつらの飯はどうするよ? 普通の飯でもいいけどよ、俺のおにぎりなしじゃ魔力回復とか間に合わねぇぞ?」
「う……」
俺が店にいなきゃ店の商売は成り立たない。
俺の店は、多くの冒険者達から必要とされ、親しまれているってのは分かってるらしいな。
「ま、人目につかず、ここで訓練できりゃ問題はねぇんだけどよ」
この問題は、いくらシアンを擁護したくてもできないだろう。
なんせ自分らの体力魔力回復に関わる重大な問題だからな。
「冒頭に、人情がどうのっつってたけどよ、人情、大いに結構だよ? こっちの都合が合えばな? けど俺ら……俺から見りゃ、国家権力が人情よりも先に見えるんだよ。シアンからの依頼を断ったら、打ち首獄門とか言い渡されそうな気がしねぇでもねぇんだよ。親父の事を謝罪する気持ちは十分伝わったけどよ、親父がやらかした俺への実績や記憶までは消えねぇし、実体験、経験としてその後から教訓の一つとして残ってんだよ」
相手が謝ってきたことをいつまでもネチネチと言うようだが、俺の言うことはそれとは違う。
俺の中に存在する事実、現実を伝えたまでだ。
謝ってどうこうっていう次元じゃねぇ。
「ま、今回の話はここまでだ。飯、食ってくか? サミーラ達も、シアンの後ろに隠れてねぇで一緒によ。それとこれとは話は別だしな」
シアンはおそらく、ゆっくり休みたいところだろうよ。
スケジュールが詰まってんなら、骨休みできる時間はなるべく減らしたくないはずだ。
けど、こっちだってそれくらいの気遣いは。
「……ご相伴に預かろう。ここでも十分寛げる。みんなも、俺に遠慮しなくていいからな」
「なら、みんな、もう少し広がれ。さらに五人混ざるんだ」
※※※※※ ※※※※※
飯を食いながらも、会話は止まらない。
俺だって、シアンのことを嫌うのは国家権力がどうしてもこいつについて回るからな。
それがなきゃ別にどうと言うことはない。
「……アラタ。君に言われるまでもなく、ある意味クーデターを起こした自覚はある」
王妃とシアンが国王を幽閉したという話を初めて聞いてから、そんなことを感じていた。
口にした記憶は……ちょっと思い返しただけでは出てこない。
が、言葉に出しても不思議でも何でもない。
「あのような振る舞いをし続けた国王……父上でも、支援する者もいれば同意する者もいる。もちろん我々にもいるのだが……」
まぁどっち側に就くにせよ、メリットがあれば味方はいるし、デメリットしかなければそいつを否定したくなるのは当然だよな。
冷静に考えりゃ、そんな考え方には理解できる。
俺だってそうだしな。
「まともにぶつかると争いごとが起きる。その結果、国力を無駄に消耗させることもある。これはどっち側が勝とうが、国民の生活が苦しくなる。彼らがどちら側に就こうともな」
ふむ。
シアンは、単純に判断すれば、国民の生活が一番大事って考えの持ち主か。
「だから……夜中に父上と直談判して、その結果次第では……と」
「おいおい。そんな話を聞かせて俺を権力争いに巻き込むな」
「あ? あ、いや、すまない。そういうつもりじゃなくてな。国力を高めたい、豊かにしたい、と思っててな」
そりゃ十分伝わってるよ。
「しかし、父上側であろうと我々側であろうと、結局同じことで頭を悩ます問題は、相変わらず存在してて」
「泉と雪崩現象の魔物、だろ?」
それくらいは理解できる。
「うむ。つまり、魔物討伐のための軍事力増強の課題は常に挙げておかねばならない」
「鍛錬なら冒険者達の相手をする方が、こっちには向いてるんだよな」
「アラタ」
急に俺の方に体ごと向けてきた。
意を決して何かを言おうとしてるが、厄介ごとは勘弁してくれ。
「これからも、その件について……」
いや、何度頼まれても断るから。
何度依頼に来られても困るから。
「いろいろと相談しにきてもいいだろうか?」
おい。
お前な。
「依頼と相談は別物だろ。この時間、一緒に飯食いながら雑談する程度の話なら構わねぇよ? ただ、突然来るより、予め連絡くれる方が、ありつける飯の量に不足は減ると思うぜ?」
「恩に着るっ!」
いや、両手を握りしめるほど感動する話じゃねぇと思うんだが。
つか、手を放せ。
飯が食えん。
「良かったねぇ、シアン。でも物足りなきゃあたしの干し草……」
「テンちゃん、すまん。それは遠慮しておこう。これでも一応、まともな人間なのでな」
一応、の意味、後で調べてみよう……。
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