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王宮動乱編
アラタの、新たな事業? その3
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洪水被害を何とか未然に防いだ。
ちょび髭の大臣による拘束に戴冠式。
まぁその前にも騒ぎもあって、どうもみんなにストレスが溜まってたらしい。
悪意だろうが善意だろうが、これらはいずれも、自分らの行動が自由に取らせてくれなかったから。
誰からも見られることなく動ける地中でストレス発散してたんだろう。
いつもなら気付く注意点に気付かず、危険地帯にぶち当たってしまった、ということらしい。
「スマナイ」
「気にすんな、ンーゴ。ミアーノも、地上の移動お疲れだったな」
「あ、いや、俺も……すまん」
この二人、他の仲間と違って、どちらかと言うと協調性は高くない。
寝床が俺らとは離れてるところにあるからな。
だから、素直に謝罪の言葉が出るのは、ちょっと意外だな。
それにしてもだ。
「しかし溜池をいい所に作ることができたものだ。フィールドの山側の端とはな」
「まだいたのかよ。かれこれ四時間くらい時間食ったぜ? いつもの晩飯の時間はとっくに過ぎてる」
「ならちょうどいい。ここで一緒に晩餐会といこうか」
まったく気にしてないのか?
随分とお気楽な王様だ。
「国のトップになったらなったで、予定がすし詰めになってねえのか? 過労死しても知らねぇぞ?」
「一々王宮に戻る方が疲れが溜まる。それに居場所は留守番してる者達に伝えているから問題ない。用事があるなら、専門家に丸投げしておけばいいからな」
王様がこんなんでホントにいいのか?
まぁ俺は国政の専門家じゃねぇから、そこまで心配する立場でもねぇけど……。
「それに、疲れを癒すには絶好の場所じゃないか。なぁ、みんな」
「まぁ、そうですね」
「しかし道具がありません」
「近くの宿に買いに行きましょうか? 宿屋なら遅い時間でも宿泊客が来るらしいですから」
シアンが親衛隊に呼びかける。
その親衛隊も、何やら和やかな表情を浮かべているが……。
「最悪バスタオルだけでも構わない。人数分頼む」
「バスタオル? って……まさか……」
「溜池と言っていたが、毒ではないのだろう? ならば温泉ではないか」
……確かに、湯気とお湯を見た時に、温泉って言葉が真っ先に浮かんだけどよ……。
「けどこの底は……」
「誰かが落ちても大丈夫だように、縁の底は浅くしてるで? 中心にいけば深くなってくけどな」
「ヒロイカラ、カナリナカニススンデモ、オボレナイゾ」
まるで、最初から入ること前提で作ってるみてぇじゃねぇか!
けどな……。
「脱衣所もねぇし……お湯以外何にもねぇぞ?」
「ゆったりできれば文句は言わないさ」
「俺らが飯食ってる間、お前らは入浴ってか? こっちが見てて恥ずかしくなるっての」
「一緒に入ろうじゃないか」
おいこら待て。
俺らを巻き沿いにすんな!
「とりあえず、全員の分の食事を注文しなければな。あぁ、お代はすべて私が持とう。もちろん私の財布から出すから心配いらない」
当然だ!
国の金で食う気なんかねぇわ!
「ルミーラ、サミーラ、みんなから注文を聞いて行ってきてくれないか?」
「はい」
「了解しました」
あっという間に二人の姿は見えなくなった。
普段から鍛えられてる奴の行動は、やっぱり段違いだよなぁ。
「入ってみたい気はするけど……もう時間遅いしなあ」
「あたしもテンちゃんと同意見。ほかのみんなは?」
で、こちらはお風呂談義かよ。
おまけにマッキーがアンケート取り始めやがる。
「無理して今日は入る気はないけど、温泉なら入りたいなー」
「俺もお、ゆっくり入ってみたいぞお。ライムにい、体綺麗にしてもらうのもお、好きだけどお」
「ライムモハイッテミタイー」
クリマーもコーティも入りたがっている。
サミーに至っては、両腕を激しく同時に地面を叩いてる。
「なら食事が終わった後、我々だけでゆっくり浸からせてもらおう。ところで効能とかはあるのかな?」
「知るかよ」
洪水を未然に防ぐ作業で手いっぱいだったんだぞ?
地下はミアーノとンーゴにしかできない作業だったが、地表にでるお湯を貯める場所は、その二人と俺達の共同作業だったんだからな。
まあシアン達も手伝ってはくれたが……。
「流石にそこまでは、気配では分からないか」
「……俺を便利な道具みたいに扱う気じゃねぇだろうな?」
「立ってる者は親でも使え。まして他人はなお使え。……私の場合は、母親は心強かったが父親はなぁ」
いや、今は落ち込むタイミングじゃねぇだろ。
自分で言っといて、自爆してんじゃねぇよ。
「お待たせしました」
「持ってきました」
って下らねぇ話してる間に、晩飯がやってきた。
つっても……籠に入れて持ってきたとはいえ、よくもまぁ二人きりで持って来れるもんだ。
あ、親衛隊側はオードブルか。
「で、何か効能はあるのだろうか? アラタ」
拘るなぁ。
見ただけでなら……。
「……肉体的精神的疲労回復、出血が伴う負傷の回復期間の短縮、打ち身などの痛み緩和、ぐれぇかな? パッと見でな」
「美容効果はないの?」
戻ってきて早々、ルミーラから質問が飛んできた。
まぁ……まぁ、女性ならではの質問、かなぁ。
「あるんじゃね? 疲労回復を感じとれりゃ、それだけ気持ちにも余裕は生まれるだろうし。乾燥肌の悩みなら、ある程度は解決できるんじゃね?」
料理を並べていただきますの挨拶をして、みんなで飯を食ってる中で、女性陣が目を輝かせ始めやがった。
……そう言えば、ワーム種のンーゴは、表面はいつもツルツルなんだよな。
……ワーム種自体そうらしいから、湯の成分にはあんまり関係ないか。
あ、性別で言えば、ンーゴも女性だったな。
あまり関心なさそうだが。
「温泉宿作れそうよねー」
は?
何やら話が盛り上がってたと思ったら、いきなりそんな話?
「塀で囲って……」
「うんうん。露天風呂にするとして、でも脱衣場は床、必要だよね」
「混浴は止めとこう」
「そだねー」
「いや、混浴は避けるべきではないと思うぞ?」
おい。
王様。
「私達は、権力には屈しませんっ!」
親衛隊からやり込められとるわ、この王様。
しょーがねぇな。
つか……女性陣の目が真剣すぎる。
こいつら、飯、あまり進んでねぇぞ?
話に夢中になりすぎなんだよ。
「で、いつから工事始めるの? アラタ」
おいちょっと待て。
いきなり話が飛び過ぎてんぞ!
「お前ら……周りのことも考えろよ!」
「周り?」
妄想が暴走しすぎてやがる。
もう夜も遅くなってた。
思考が単純になるのも仕方がねぇか。
ちょび髭の大臣による拘束に戴冠式。
まぁその前にも騒ぎもあって、どうもみんなにストレスが溜まってたらしい。
悪意だろうが善意だろうが、これらはいずれも、自分らの行動が自由に取らせてくれなかったから。
誰からも見られることなく動ける地中でストレス発散してたんだろう。
いつもなら気付く注意点に気付かず、危険地帯にぶち当たってしまった、ということらしい。
「スマナイ」
「気にすんな、ンーゴ。ミアーノも、地上の移動お疲れだったな」
「あ、いや、俺も……すまん」
この二人、他の仲間と違って、どちらかと言うと協調性は高くない。
寝床が俺らとは離れてるところにあるからな。
だから、素直に謝罪の言葉が出るのは、ちょっと意外だな。
それにしてもだ。
「しかし溜池をいい所に作ることができたものだ。フィールドの山側の端とはな」
「まだいたのかよ。かれこれ四時間くらい時間食ったぜ? いつもの晩飯の時間はとっくに過ぎてる」
「ならちょうどいい。ここで一緒に晩餐会といこうか」
まったく気にしてないのか?
随分とお気楽な王様だ。
「国のトップになったらなったで、予定がすし詰めになってねえのか? 過労死しても知らねぇぞ?」
「一々王宮に戻る方が疲れが溜まる。それに居場所は留守番してる者達に伝えているから問題ない。用事があるなら、専門家に丸投げしておけばいいからな」
王様がこんなんでホントにいいのか?
まぁ俺は国政の専門家じゃねぇから、そこまで心配する立場でもねぇけど……。
「それに、疲れを癒すには絶好の場所じゃないか。なぁ、みんな」
「まぁ、そうですね」
「しかし道具がありません」
「近くの宿に買いに行きましょうか? 宿屋なら遅い時間でも宿泊客が来るらしいですから」
シアンが親衛隊に呼びかける。
その親衛隊も、何やら和やかな表情を浮かべているが……。
「最悪バスタオルだけでも構わない。人数分頼む」
「バスタオル? って……まさか……」
「溜池と言っていたが、毒ではないのだろう? ならば温泉ではないか」
……確かに、湯気とお湯を見た時に、温泉って言葉が真っ先に浮かんだけどよ……。
「けどこの底は……」
「誰かが落ちても大丈夫だように、縁の底は浅くしてるで? 中心にいけば深くなってくけどな」
「ヒロイカラ、カナリナカニススンデモ、オボレナイゾ」
まるで、最初から入ること前提で作ってるみてぇじゃねぇか!
けどな……。
「脱衣所もねぇし……お湯以外何にもねぇぞ?」
「ゆったりできれば文句は言わないさ」
「俺らが飯食ってる間、お前らは入浴ってか? こっちが見てて恥ずかしくなるっての」
「一緒に入ろうじゃないか」
おいこら待て。
俺らを巻き沿いにすんな!
「とりあえず、全員の分の食事を注文しなければな。あぁ、お代はすべて私が持とう。もちろん私の財布から出すから心配いらない」
当然だ!
国の金で食う気なんかねぇわ!
「ルミーラ、サミーラ、みんなから注文を聞いて行ってきてくれないか?」
「はい」
「了解しました」
あっという間に二人の姿は見えなくなった。
普段から鍛えられてる奴の行動は、やっぱり段違いだよなぁ。
「入ってみたい気はするけど……もう時間遅いしなあ」
「あたしもテンちゃんと同意見。ほかのみんなは?」
で、こちらはお風呂談義かよ。
おまけにマッキーがアンケート取り始めやがる。
「無理して今日は入る気はないけど、温泉なら入りたいなー」
「俺もお、ゆっくり入ってみたいぞお。ライムにい、体綺麗にしてもらうのもお、好きだけどお」
「ライムモハイッテミタイー」
クリマーもコーティも入りたがっている。
サミーに至っては、両腕を激しく同時に地面を叩いてる。
「なら食事が終わった後、我々だけでゆっくり浸からせてもらおう。ところで効能とかはあるのかな?」
「知るかよ」
洪水を未然に防ぐ作業で手いっぱいだったんだぞ?
地下はミアーノとンーゴにしかできない作業だったが、地表にでるお湯を貯める場所は、その二人と俺達の共同作業だったんだからな。
まあシアン達も手伝ってはくれたが……。
「流石にそこまでは、気配では分からないか」
「……俺を便利な道具みたいに扱う気じゃねぇだろうな?」
「立ってる者は親でも使え。まして他人はなお使え。……私の場合は、母親は心強かったが父親はなぁ」
いや、今は落ち込むタイミングじゃねぇだろ。
自分で言っといて、自爆してんじゃねぇよ。
「お待たせしました」
「持ってきました」
って下らねぇ話してる間に、晩飯がやってきた。
つっても……籠に入れて持ってきたとはいえ、よくもまぁ二人きりで持って来れるもんだ。
あ、親衛隊側はオードブルか。
「で、何か効能はあるのだろうか? アラタ」
拘るなぁ。
見ただけでなら……。
「……肉体的精神的疲労回復、出血が伴う負傷の回復期間の短縮、打ち身などの痛み緩和、ぐれぇかな? パッと見でな」
「美容効果はないの?」
戻ってきて早々、ルミーラから質問が飛んできた。
まぁ……まぁ、女性ならではの質問、かなぁ。
「あるんじゃね? 疲労回復を感じとれりゃ、それだけ気持ちにも余裕は生まれるだろうし。乾燥肌の悩みなら、ある程度は解決できるんじゃね?」
料理を並べていただきますの挨拶をして、みんなで飯を食ってる中で、女性陣が目を輝かせ始めやがった。
……そう言えば、ワーム種のンーゴは、表面はいつもツルツルなんだよな。
……ワーム種自体そうらしいから、湯の成分にはあんまり関係ないか。
あ、性別で言えば、ンーゴも女性だったな。
あまり関心なさそうだが。
「温泉宿作れそうよねー」
は?
何やら話が盛り上がってたと思ったら、いきなりそんな話?
「塀で囲って……」
「うんうん。露天風呂にするとして、でも脱衣場は床、必要だよね」
「混浴は止めとこう」
「そだねー」
「いや、混浴は避けるべきではないと思うぞ?」
おい。
王様。
「私達は、権力には屈しませんっ!」
親衛隊からやり込められとるわ、この王様。
しょーがねぇな。
つか……女性陣の目が真剣すぎる。
こいつら、飯、あまり進んでねぇぞ?
話に夢中になりすぎなんだよ。
「で、いつから工事始めるの? アラタ」
おいちょっと待て。
いきなり話が飛び過ぎてんぞ!
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「周り?」
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