364 / 493
アラタとヨウミの補強計画編
何するにせよ、必要なのは時間と力 その5
しおりを挟む
「試し打ちってお前、地面に向かってぶっ放しても……なぁ、マッキー」
「当たり前よ。意味のない自然の破壊行為は止してほしいわね。さっきの話の蒸し返しじゃないけど、はるか向こうにあるとんでもない魔物の巣窟から、この村に一斉に襲い掛かってくることだってあり得るわよ?」
「オレニムカッテウツナラモンダイネェヨ?」
……ンーゴがいたか。
って、いくら巨大な体だからって、大きさと耐久力は比例するとは言い切れねぇんだが……。
「仲間に向かって魔法ぶっぱなすってのもどうかと思うんだが?」
「モンダイナシ。イツモツチノナカニイルガ、トキドキソコカラ、ヌマトカミズウミトカニハイリコムトキガアルカラ」
沼とか湖に入り込むって……。
いや、土の中から水や液体の中に入り込むっつったら……。
水圧、高くねぇか?
「俺はともかく、こいつは結構長ぇ間、水ん中にいられっからよ」
肺活量もでかいってことか。
いや、そうじゃなく。
「ンジャ、チョットハナレルカ。ソッチムイタライツデモイイカラ」
もうすっかり的になる気だよ、ンーゴ。
いいのか?
「アラタ、その防具は使用してない時は自然に魔力を補充できる。ここのように、自然に囲まれてる場所であれば、その時間もそんなに長くはかからなくなる。で、今はその防具には魔力の残量は半分……三分の一以下かな」
で?
「ンーゴの体なら、どんなに力を込めてもあまり効かないと思うよ?」
無責任に決め付けんな。
まぁ本人が構わないってんならいいけどよ。
とりあえずやってみますかね。
右腕をンーゴに向けてまっすぐ伸ばす。左腕を右肘の下に添えて……。
……あれ?
この格好……サイコガ
「アラタ、流石にそこからじゃ近すぎない?」
「あ、流石の私も見落としてたな。周りに被害が出るかもしれないね。ンーゴももう少し下がってもらった方がいいかな?」
「ワカッタ。……コレクライハナレテレバイイカ?」
「お、おう……。温泉にも被害出そうにないし、行くぞ?」
「イツデモイイゾ」
あ、属性は何がいいんだろ?
効かないなら何でもいいんだろうけど、火はまずいよな。
……ロックバス
「込められてるのは魔力、ただそれだけだ。強さも属性も装備者のイメージでどうにでもできる。さ、撃ってみてくれ」
お……おう。
んじゃ。
「いくぞ、ンーゴ。ほいっ」
音が抜けるような炸裂音。
ヘロヘロな感じな空気弾。
ンーゴの胴体に的中。
当たった部分がやや凹んだようだがすぐ戻る。
「……コレダケカ?」
「いや、初めて撃つから加減がな。思った通りに射撃ができて、狙ったところに当てることができたってだけでも収穫だろ」
「フム、ソレモソウダナ」
そうだよな。
俺もいろいろ浮かれてたのかもしれん。
手足だけ見れば、ゲームキャラか何かのコスプレみたいな感じだしな。
……こんなのに憧れてた時期もあったっけな。
……なんつーか……こう……。
「問題なさそうだね、アラタ。まだ昼休みの時間の真っ最中だが、私の用事も済んだことだし、そろそろ帰るとするか」
「あ、待て、シアン」
「ん? 何かまだあるのかい?」
そうだ。
肝心ってわけじゃねぇが、これは聞いとかにゃならんだろ。
「いや、このタイミングでこんなものを作ったのは意味があるのかってな。魔力が込められた道具なんて、ざらにあるだろ。普通の魔力がある道具って、確かに珍しい方だが……」
「いや、これはホントに珍しい素材を見つけたから、軍でも長らく課題の一つにあげられてた問題の解決にもつながってな」
そういえば、店んとこでもそんなこと言ってたような。
「こないだ、親衛隊と一緒にダンジョンに潜りに行ったのは覚えてるか?」
「あ? あーっと……あ、ああ。調査も兼ねて、とか言ってたかな? 珍しい何かが見つかったとか何とか?」
「そうそう。噂があって、その確認に行ったんだ。結構大量に見つかってね」
「へぇ? 何を見つけた?」
「種類で言えば鉱物と粘土。まぁそれだけなら珍しくも何ともない。聞き逃せなかったのは、素材自体に魔力が籠ってたことだ」
「へえ?」
ススキモドキにだって、微量な魔力が籠ってたりするが?
けど確か、魔力を持つ生き物が死んで、それが土と同化して、それを養分として育つ物ってミアーノとンーゴが解説してくれたっけ。
人が耕した田畑には、当然そんな物はない。
死体の魔物がそこに存在するはずがないから。
てことは……。
「そういえばあの時もアラタ、暴走してたんじゃなかったか?」
「何の話だよ、唐突に」
「ダンジョンで、泉現象が起きたことがあっただろう? それと、自然に魔物が発生してる」
「あぁ。あ、まさかそれが?」
けど泉現象が起きたのはかなり前だぞ?
魔力が残留してるとか言うのか?
「あぁ。と言っても推測でしかない。が、それが事実かどうかは問題じゃなく、そんな素材が割とダンジョンの中に大量にあるというのは見逃せない事態だ。活用しないのはもったいないしな」
「でもそれだけで、お前さんらがわざわざ駆けつけるようなことか?」
「大量に、というところが重要でね。魔力が籠った道具を開発できる。ということは、魔力が出入りする通路を作ってやれば、魔力を溜め込む器があるんだから、魔力が尽きたらそれで終わり、じゃない」
そういえばさっき、魔力を補給、とか言ってたような。
「防具の、両腕の肘の方、それと両ひざの上の方。全体的に凹んでるだろう?」
「あ? あぁ。でもそういうデザインにしたんだろ?」
「カッコよさは必要だとは思う。が、それ以上に、役に立つ機能を持たせることが重要だと思う」
「機能?」
「魔力放出をさせずに長時間休まれば、自然の生命力をゆっくり吸い取って中に溜め込む。それを魔力に変化させる。だが緊急の時に魔力が切れてしまっては使いものにならない」
そりゃそうだ。
まぁ防具としては役に立つだろうが……立つのか?
例えばこの状態でンーゴが俺に突進して来たら……この防具でガードはできるが……吹っ飛びはするよな。
吹っ飛ばされた先に壁とかあったら、そこでダメージが……ダメダメじゃん。この防具だけじゃ。
「そこで、急速に魔力を補給できる仕組みもつけておいた。それがその凹みだ。魔力を有する物体をそこに押し込めば、その物体から魔力のみを吸収する」
スマホの充電器でそんなのがあったような気がする。
「完全に吸い取ったら、防具から物体が自然に離れる。もちろん途中で補給を止めたいときは、任意で付け外しできる」
なんつーか……至れり尽くせりじゃねぇの?
「じゃ、じゃああたしらがそこに触れたら……」
「もちろん魔力の補給はされると思うよ? けど、その場合は本人の意思でも離れたりできるから、そこまで心配することはないよ、マッキー」
一同安堵。
そりゃそうだ。
魔力を吸い取り切るまで離さない、となったら、食虫植物さながらだ。
危険極まりないってもんだ。
けど話によれば、身体が負傷するようなことはなさそうだから……そんな大事にはなりゃしなさそうだ。
「あれ? 魔力が籠った物から魔力吸い取るって言ったわよね? ……じゃあ、おにぎりからも?」
「トレルンジャナイ? アレデカナリ、マリョクカイフクデキルシ」
巨体のンーゴですら、その体に見合った魔力を補給できるもんだもんな。
まあそれなりに数は食うけど。
「じゃああたし達も装備できるのー?」
「それは無理だね。まず装備するためには下地の防具が必要だし、それはアラタとヨウミが身に付けてる以外には存在しない。それ自体にも使用者の個別認識機能があって、既に登録済み。だからその防具も、盗まれることがあったとしても魔道具としては扱えない。大体下地の防具がなければ装着自体無理だ。確かにテンちゃん達にもこんな道具つけて使わせたら、見栄えはいいだろうね」
「作ってー」
せがむテンちゃんがうっとおしい。
作って作ってって、子供みたいに駄々こねんじゃねぇよ。
「はは、それは勘弁してほしいな。魔力を持ってない者達のための道具なんだから」
「ちぇー」
子供かよ、お前はっ!
「でもさ、緊急時にはあたしらの魔力を分けたりもできるってことよね? あたしは電撃が得意だけど、あたしから供給されたら電撃系が強くなったりするの?」
「いや、魔力として吸い取るから、貯まった魔力は使用者の意思によって、魔法、魔術の系統がそれに対応するようになってる」
何で使用者の俺やヨウミよりも、使えねぇお前らの方が興味津々なんだよ。
「毒の霧とかも出せたりするのかあ?」
「多分対応できると思うよ? けど利用者がその発想を出せるかどうかにかかるってとこだね」
待てよ?
すると、この発射口から、放出じゃなくて物体めいた物も出せる?
例えば……刃物とか鈍器とか。
「んじゃ、こんなんはどうだ? ……おぉ、これって、ビームサーベ」
「すごい! すごいです、アラタさん! そんなこともできるんですね! ……剣……みたいですねー」
お、おう……。クリマー、なんだその興奮ぶりは。
目、輝きすぎだろ。
「鉄球みたいなのも作れるのかな……。あ、あたしにもできた」
モーニングスターってやつだな。
ガンダ
「ブキッポイノモツクレルノカ。スゴイナー」
「……ライムはそれこそ体でいろんな物になれるんだろうが」
「マァ、ソウナンダケド」
なんかみんな興奮してるな。
少しは落ち着け。
「ツチノナカ、ホレルモノモダセルノカ?」
ンーゴまで。
しかも何その具体的なリクエスト。
……土を掘るっつったら……男のロマンとも呼べる、ドリルだよな。
「こんなのとか……」
「すげえじゃねぇかよ、あんちゃん! 何これ! すげぇ!」
……ゲッター2
「あ、でも魔力切れかかってるみたいだな。……防具の虹色も薄くなってきた」
「補給しないとダメだね」
シアンが苦笑いしてる。
そりゃこいつらが、これだけでこんなに興奮するたぁ思わなかっただろうからな。
とその時、遠くから俺らを呼ぶ声が聞こえてきた。
「ぅおーい、アラター、ヨウミちゃーん。いるかーい」
その気配は……誰か分からんが冒険者数人だな。
「あ、はーい、いますよー」
「集団戦の受け付けの時間、過ぎてない―?」
……ほんと、俺らも含めてはしゃぎすぎてた……。
「当たり前よ。意味のない自然の破壊行為は止してほしいわね。さっきの話の蒸し返しじゃないけど、はるか向こうにあるとんでもない魔物の巣窟から、この村に一斉に襲い掛かってくることだってあり得るわよ?」
「オレニムカッテウツナラモンダイネェヨ?」
……ンーゴがいたか。
って、いくら巨大な体だからって、大きさと耐久力は比例するとは言い切れねぇんだが……。
「仲間に向かって魔法ぶっぱなすってのもどうかと思うんだが?」
「モンダイナシ。イツモツチノナカニイルガ、トキドキソコカラ、ヌマトカミズウミトカニハイリコムトキガアルカラ」
沼とか湖に入り込むって……。
いや、土の中から水や液体の中に入り込むっつったら……。
水圧、高くねぇか?
「俺はともかく、こいつは結構長ぇ間、水ん中にいられっからよ」
肺活量もでかいってことか。
いや、そうじゃなく。
「ンジャ、チョットハナレルカ。ソッチムイタライツデモイイカラ」
もうすっかり的になる気だよ、ンーゴ。
いいのか?
「アラタ、その防具は使用してない時は自然に魔力を補充できる。ここのように、自然に囲まれてる場所であれば、その時間もそんなに長くはかからなくなる。で、今はその防具には魔力の残量は半分……三分の一以下かな」
で?
「ンーゴの体なら、どんなに力を込めてもあまり効かないと思うよ?」
無責任に決め付けんな。
まぁ本人が構わないってんならいいけどよ。
とりあえずやってみますかね。
右腕をンーゴに向けてまっすぐ伸ばす。左腕を右肘の下に添えて……。
……あれ?
この格好……サイコガ
「アラタ、流石にそこからじゃ近すぎない?」
「あ、流石の私も見落としてたな。周りに被害が出るかもしれないね。ンーゴももう少し下がってもらった方がいいかな?」
「ワカッタ。……コレクライハナレテレバイイカ?」
「お、おう……。温泉にも被害出そうにないし、行くぞ?」
「イツデモイイゾ」
あ、属性は何がいいんだろ?
効かないなら何でもいいんだろうけど、火はまずいよな。
……ロックバス
「込められてるのは魔力、ただそれだけだ。強さも属性も装備者のイメージでどうにでもできる。さ、撃ってみてくれ」
お……おう。
んじゃ。
「いくぞ、ンーゴ。ほいっ」
音が抜けるような炸裂音。
ヘロヘロな感じな空気弾。
ンーゴの胴体に的中。
当たった部分がやや凹んだようだがすぐ戻る。
「……コレダケカ?」
「いや、初めて撃つから加減がな。思った通りに射撃ができて、狙ったところに当てることができたってだけでも収穫だろ」
「フム、ソレモソウダナ」
そうだよな。
俺もいろいろ浮かれてたのかもしれん。
手足だけ見れば、ゲームキャラか何かのコスプレみたいな感じだしな。
……こんなのに憧れてた時期もあったっけな。
……なんつーか……こう……。
「問題なさそうだね、アラタ。まだ昼休みの時間の真っ最中だが、私の用事も済んだことだし、そろそろ帰るとするか」
「あ、待て、シアン」
「ん? 何かまだあるのかい?」
そうだ。
肝心ってわけじゃねぇが、これは聞いとかにゃならんだろ。
「いや、このタイミングでこんなものを作ったのは意味があるのかってな。魔力が込められた道具なんて、ざらにあるだろ。普通の魔力がある道具って、確かに珍しい方だが……」
「いや、これはホントに珍しい素材を見つけたから、軍でも長らく課題の一つにあげられてた問題の解決にもつながってな」
そういえば、店んとこでもそんなこと言ってたような。
「こないだ、親衛隊と一緒にダンジョンに潜りに行ったのは覚えてるか?」
「あ? あーっと……あ、ああ。調査も兼ねて、とか言ってたかな? 珍しい何かが見つかったとか何とか?」
「そうそう。噂があって、その確認に行ったんだ。結構大量に見つかってね」
「へぇ? 何を見つけた?」
「種類で言えば鉱物と粘土。まぁそれだけなら珍しくも何ともない。聞き逃せなかったのは、素材自体に魔力が籠ってたことだ」
「へえ?」
ススキモドキにだって、微量な魔力が籠ってたりするが?
けど確か、魔力を持つ生き物が死んで、それが土と同化して、それを養分として育つ物ってミアーノとンーゴが解説してくれたっけ。
人が耕した田畑には、当然そんな物はない。
死体の魔物がそこに存在するはずがないから。
てことは……。
「そういえばあの時もアラタ、暴走してたんじゃなかったか?」
「何の話だよ、唐突に」
「ダンジョンで、泉現象が起きたことがあっただろう? それと、自然に魔物が発生してる」
「あぁ。あ、まさかそれが?」
けど泉現象が起きたのはかなり前だぞ?
魔力が残留してるとか言うのか?
「あぁ。と言っても推測でしかない。が、それが事実かどうかは問題じゃなく、そんな素材が割とダンジョンの中に大量にあるというのは見逃せない事態だ。活用しないのはもったいないしな」
「でもそれだけで、お前さんらがわざわざ駆けつけるようなことか?」
「大量に、というところが重要でね。魔力が籠った道具を開発できる。ということは、魔力が出入りする通路を作ってやれば、魔力を溜め込む器があるんだから、魔力が尽きたらそれで終わり、じゃない」
そういえばさっき、魔力を補給、とか言ってたような。
「防具の、両腕の肘の方、それと両ひざの上の方。全体的に凹んでるだろう?」
「あ? あぁ。でもそういうデザインにしたんだろ?」
「カッコよさは必要だとは思う。が、それ以上に、役に立つ機能を持たせることが重要だと思う」
「機能?」
「魔力放出をさせずに長時間休まれば、自然の生命力をゆっくり吸い取って中に溜め込む。それを魔力に変化させる。だが緊急の時に魔力が切れてしまっては使いものにならない」
そりゃそうだ。
まぁ防具としては役に立つだろうが……立つのか?
例えばこの状態でンーゴが俺に突進して来たら……この防具でガードはできるが……吹っ飛びはするよな。
吹っ飛ばされた先に壁とかあったら、そこでダメージが……ダメダメじゃん。この防具だけじゃ。
「そこで、急速に魔力を補給できる仕組みもつけておいた。それがその凹みだ。魔力を有する物体をそこに押し込めば、その物体から魔力のみを吸収する」
スマホの充電器でそんなのがあったような気がする。
「完全に吸い取ったら、防具から物体が自然に離れる。もちろん途中で補給を止めたいときは、任意で付け外しできる」
なんつーか……至れり尽くせりじゃねぇの?
「じゃ、じゃああたしらがそこに触れたら……」
「もちろん魔力の補給はされると思うよ? けど、その場合は本人の意思でも離れたりできるから、そこまで心配することはないよ、マッキー」
一同安堵。
そりゃそうだ。
魔力を吸い取り切るまで離さない、となったら、食虫植物さながらだ。
危険極まりないってもんだ。
けど話によれば、身体が負傷するようなことはなさそうだから……そんな大事にはなりゃしなさそうだ。
「あれ? 魔力が籠った物から魔力吸い取るって言ったわよね? ……じゃあ、おにぎりからも?」
「トレルンジャナイ? アレデカナリ、マリョクカイフクデキルシ」
巨体のンーゴですら、その体に見合った魔力を補給できるもんだもんな。
まあそれなりに数は食うけど。
「じゃああたし達も装備できるのー?」
「それは無理だね。まず装備するためには下地の防具が必要だし、それはアラタとヨウミが身に付けてる以外には存在しない。それ自体にも使用者の個別認識機能があって、既に登録済み。だからその防具も、盗まれることがあったとしても魔道具としては扱えない。大体下地の防具がなければ装着自体無理だ。確かにテンちゃん達にもこんな道具つけて使わせたら、見栄えはいいだろうね」
「作ってー」
せがむテンちゃんがうっとおしい。
作って作ってって、子供みたいに駄々こねんじゃねぇよ。
「はは、それは勘弁してほしいな。魔力を持ってない者達のための道具なんだから」
「ちぇー」
子供かよ、お前はっ!
「でもさ、緊急時にはあたしらの魔力を分けたりもできるってことよね? あたしは電撃が得意だけど、あたしから供給されたら電撃系が強くなったりするの?」
「いや、魔力として吸い取るから、貯まった魔力は使用者の意思によって、魔法、魔術の系統がそれに対応するようになってる」
何で使用者の俺やヨウミよりも、使えねぇお前らの方が興味津々なんだよ。
「毒の霧とかも出せたりするのかあ?」
「多分対応できると思うよ? けど利用者がその発想を出せるかどうかにかかるってとこだね」
待てよ?
すると、この発射口から、放出じゃなくて物体めいた物も出せる?
例えば……刃物とか鈍器とか。
「んじゃ、こんなんはどうだ? ……おぉ、これって、ビームサーベ」
「すごい! すごいです、アラタさん! そんなこともできるんですね! ……剣……みたいですねー」
お、おう……。クリマー、なんだその興奮ぶりは。
目、輝きすぎだろ。
「鉄球みたいなのも作れるのかな……。あ、あたしにもできた」
モーニングスターってやつだな。
ガンダ
「ブキッポイノモツクレルノカ。スゴイナー」
「……ライムはそれこそ体でいろんな物になれるんだろうが」
「マァ、ソウナンダケド」
なんかみんな興奮してるな。
少しは落ち着け。
「ツチノナカ、ホレルモノモダセルノカ?」
ンーゴまで。
しかも何その具体的なリクエスト。
……土を掘るっつったら……男のロマンとも呼べる、ドリルだよな。
「こんなのとか……」
「すげえじゃねぇかよ、あんちゃん! 何これ! すげぇ!」
……ゲッター2
「あ、でも魔力切れかかってるみたいだな。……防具の虹色も薄くなってきた」
「補給しないとダメだね」
シアンが苦笑いしてる。
そりゃこいつらが、これだけでこんなに興奮するたぁ思わなかっただろうからな。
とその時、遠くから俺らを呼ぶ声が聞こえてきた。
「ぅおーい、アラター、ヨウミちゃーん。いるかーい」
その気配は……誰か分からんが冒険者数人だな。
「あ、はーい、いますよー」
「集団戦の受け付けの時間、過ぎてない―?」
……ほんと、俺らも含めてはしゃぎすぎてた……。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~
柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」
テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。
この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。
誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。
しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。
その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。
だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。
「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」
「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」
これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語
2月28日HOTランキング9位!
3月1日HOTランキング6位!
本当にありがとうございます!
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした【改稿版】
きたーの(旧名:せんせい)
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。
その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ!
約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。
―――
当作品は過去作品の改稿版です。情景描写等を厚くしております。
なお、投稿規約に基づき既存作品に関しては非公開としておりますためご理解のほどよろしくお願いいたします。
アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~
eggy
ファンタジー
もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。
村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。
ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。
しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。
まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。
幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。
「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。
夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。
もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。
純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく!
最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる