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シアンの婚約者編
フレイミーの独白の続き並びに素性4
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陛下は私を、その男が営んでいる店に連れてくださいました。
陛下が私を連れてくださった目的は、ご自身の交友関係を私に知ってもらいたい、とのことから。
「……フレイミー様。元旗手とやらの店に行かれると聞きました。我々護衛隊も同行させていただきます」
と、隊長のアーズからの申し出からのやりとりもありましたが、それはひとまず置いといて。
しかし私は違いました。
その男とともにいる、希少種の魔物との交流。
そして私の屋敷に連れて帰ること。
いきなり二つ目の目的を果たすのは難しい、と我ながら思うけど、その下準備はしっかりと終わらせたい。
けれど、それができなかった。
……自分でも分かっていました。
その男の店の様子を知った時に、邪な思いが湧き出てきたのを。
その魔物達は、主であるその男に無理やり従わせている。
そうでなかったとしても、魔物達はその男に渋々従っている。
と思っていました。
けど現実は違い、あの男にじゃれつき、纏わりつき、時には怒り、叱り飛ばし、あげく、あの男が魔物達に蹴飛ばされたり叩かれたりしている。
なぜそんなにも、彼らはあの男にそこまで懐いているのでしょうか。
そして、その男と親し気に話をしている陛下のお顔を見た時に、醜い思いが湧き出てきたのを。
なぜ陛下は、あの男のことを話しているとき以上に、あの男と一緒にいる時にはこんなにも和やかなお顔をしているのでしょう?
……どうして私には、この男よりも知力も魔力も、おそらくは体力もはるかに上回る私には、この魔物達からは慕われないのでしょう?
……どうして私に、陛下はそのようなお顔を向けてくれないのでしょう?
そこで私は思いつきました。
そもそも私は、その魔物達を保護しようと考えてました。
その魔物達と会話していくうちに、彼の者の作るおにぎりが鍵であることを知りました。
ならば、この者を私の指揮下に入れればいい。
この者が欲しい物、求める物があれば与えればいい。
望むことがあれば叶えてやればいい。
その代わり、この店を私の管理下に置く。
そうすれば、この魔物達だって、より多くの人達との交流が持てるはず。
そうなれば、多くの人達が、彼らを理解するはず。
これこそが、この希少種の魔物を保護するだけでなく、国民にとっても、珍しい種族と交流することで生活の刺激となり、活力を生む娯楽となるはず。
なのに、この男……。
いや、この男の傍から離れないこの女……。
家族?
何を血迷ったことを口走っているのか!
※※※※※ ※※※※※
「か、家族? どういうこと?!」
何だよこの女。
急に声を荒げて首突っ込んできやがって。
「え? え、えぇ。というか、もう家族でしょ。ご飯一緒に食べるし、ンーゴはいつも地中で寝るけど、他のみんなはこの店の奥で、それぞれ自室で寝てるし。あ、ミアーノとテンちゃんは、時々別のところで寝るよね」
「おりゃあ時々、体調次第じゃ土の中の方が居心地いいときあるしなぁ」
体調というより、気分次第だろ?
俺とよりンーゴとの相性が良さそうだし、俺よりンーゴと一緒にいたがること多いしな。
「あたしはほら、誰かと一緒に寝たいときあるしね。そしたらあたしの部屋より、車庫の方が寝やすいでしょ?」
寝やすいも何も、無理やり眠りにつかせるくせに何を言うか。
……ところがこの女、この二人の発言の揚げ足を採りに来やがった。
面倒くせえったらありゃしねぇ。
「家族扱いする癖に、仲間外れにしてるってことね? 二人とも、かわいそうに……」
この女の頭ん中がうらやましいぜ!
このくそ寒い中でも、お花畑が健在ってことなんだからな!
気候が穏やかじゃねぇと、お花畑できねぇだろうしよ!
いいなぁ……頭ん中、暖かそうだなぁ……。
「あー……嬢ちゃん、あんた、頭大丈夫け?」
「ミアーノ、心配ないよ。あたしのお腹で眠らせてあげたら、一発で治るよ!」
待て待て。
テンちゃんのそれは、ある意味シャレにならん。
馬鹿は死ななきゃ治らない。
死ぬイコール永眠。
まさに永眠に向かって一直線じゃねぇか!
さすがにそれは、この女を守ってやらねぇといろいろと危ない。
「貴様らぁ! 黙って聞いておれば……。フレイミー様をどこまで愚弄するつもりだ!」
フレイミーから釘を刺されていた護衛兵がまた怒鳴りだした。
面倒事が起きると、すぐに収拾がつかなそうなくらいでかくなるよなぁ。
ところが。
「アーズ! 今は控えなさい!」
とフレイミーからの一喝。
それで静かになってくれるからちょっと助かる気はするが、そもそもそんな面倒な奴らを連れて来るなよ。
つか、問題抱えてここに来るなよ。
「とにかく! このお店とこの魔物達は、私の保護下に置きます!」
この国って、人権とかないのかね?
……いろいろとツッコミどころが満載だな。
「フレイミーさんよ、あんたがそうしなきゃいけない理由は何なんだ?」
まずそれを明確にしてから対応を考えるか。
可愛げのある理由で、みんなはそれに同意するなら受け入れてもいいかも分からん。
拒否するなら、穏やかに説得してお帰り頂く。
しかし物騒な理由なら……喧嘩上等、かなぁ。
「魔物達の生活の確保と同時に国民との交流を図り、この国の社会の力の源となっていただき、この国の繁栄を目指します」
国民と交流?
それができなかった現実を知らないのか?
それに、誰かから生活の保護を受けるってことは、その誰かがいなくなった後の生活の保障はできないってことだよな?
待てよ?
国民から受け入れられなかった者達の生活を守る。
受け入れなかった国民と交流を持つ……。いや、フレイミーの立場を考えると、持たせるってことだ。
それって……まさか……。
似たような環境の施設、あったよな。
もし、俺のこの想像が当てはまったなら……こいつらもこの国の住民として認めるなら、人権問題どころの騒ぎじゃねぇぞ?
「……こいつらに希望を聞くまでもない。答えは否。今の生活の方が、よほど国民のために活動していると断言できる」
みんなから注目されているのが分かる。
その心境は、見る者次第で様々だ。
「何? 私はお前がどう答えよう……」
フレイミーは何かを言ってるが、そんなことはどうだっていいし、みんなからどう見られても構わん。
なぜなら、それは……。
陛下が私を連れてくださった目的は、ご自身の交友関係を私に知ってもらいたい、とのことから。
「……フレイミー様。元旗手とやらの店に行かれると聞きました。我々護衛隊も同行させていただきます」
と、隊長のアーズからの申し出からのやりとりもありましたが、それはひとまず置いといて。
しかし私は違いました。
その男とともにいる、希少種の魔物との交流。
そして私の屋敷に連れて帰ること。
いきなり二つ目の目的を果たすのは難しい、と我ながら思うけど、その下準備はしっかりと終わらせたい。
けれど、それができなかった。
……自分でも分かっていました。
その男の店の様子を知った時に、邪な思いが湧き出てきたのを。
その魔物達は、主であるその男に無理やり従わせている。
そうでなかったとしても、魔物達はその男に渋々従っている。
と思っていました。
けど現実は違い、あの男にじゃれつき、纏わりつき、時には怒り、叱り飛ばし、あげく、あの男が魔物達に蹴飛ばされたり叩かれたりしている。
なぜそんなにも、彼らはあの男にそこまで懐いているのでしょうか。
そして、その男と親し気に話をしている陛下のお顔を見た時に、醜い思いが湧き出てきたのを。
なぜ陛下は、あの男のことを話しているとき以上に、あの男と一緒にいる時にはこんなにも和やかなお顔をしているのでしょう?
……どうして私には、この男よりも知力も魔力も、おそらくは体力もはるかに上回る私には、この魔物達からは慕われないのでしょう?
……どうして私に、陛下はそのようなお顔を向けてくれないのでしょう?
そこで私は思いつきました。
そもそも私は、その魔物達を保護しようと考えてました。
その魔物達と会話していくうちに、彼の者の作るおにぎりが鍵であることを知りました。
ならば、この者を私の指揮下に入れればいい。
この者が欲しい物、求める物があれば与えればいい。
望むことがあれば叶えてやればいい。
その代わり、この店を私の管理下に置く。
そうすれば、この魔物達だって、より多くの人達との交流が持てるはず。
そうなれば、多くの人達が、彼らを理解するはず。
これこそが、この希少種の魔物を保護するだけでなく、国民にとっても、珍しい種族と交流することで生活の刺激となり、活力を生む娯楽となるはず。
なのに、この男……。
いや、この男の傍から離れないこの女……。
家族?
何を血迷ったことを口走っているのか!
※※※※※ ※※※※※
「か、家族? どういうこと?!」
何だよこの女。
急に声を荒げて首突っ込んできやがって。
「え? え、えぇ。というか、もう家族でしょ。ご飯一緒に食べるし、ンーゴはいつも地中で寝るけど、他のみんなはこの店の奥で、それぞれ自室で寝てるし。あ、ミアーノとテンちゃんは、時々別のところで寝るよね」
「おりゃあ時々、体調次第じゃ土の中の方が居心地いいときあるしなぁ」
体調というより、気分次第だろ?
俺とよりンーゴとの相性が良さそうだし、俺よりンーゴと一緒にいたがること多いしな。
「あたしはほら、誰かと一緒に寝たいときあるしね。そしたらあたしの部屋より、車庫の方が寝やすいでしょ?」
寝やすいも何も、無理やり眠りにつかせるくせに何を言うか。
……ところがこの女、この二人の発言の揚げ足を採りに来やがった。
面倒くせえったらありゃしねぇ。
「家族扱いする癖に、仲間外れにしてるってことね? 二人とも、かわいそうに……」
この女の頭ん中がうらやましいぜ!
このくそ寒い中でも、お花畑が健在ってことなんだからな!
気候が穏やかじゃねぇと、お花畑できねぇだろうしよ!
いいなぁ……頭ん中、暖かそうだなぁ……。
「あー……嬢ちゃん、あんた、頭大丈夫け?」
「ミアーノ、心配ないよ。あたしのお腹で眠らせてあげたら、一発で治るよ!」
待て待て。
テンちゃんのそれは、ある意味シャレにならん。
馬鹿は死ななきゃ治らない。
死ぬイコール永眠。
まさに永眠に向かって一直線じゃねぇか!
さすがにそれは、この女を守ってやらねぇといろいろと危ない。
「貴様らぁ! 黙って聞いておれば……。フレイミー様をどこまで愚弄するつもりだ!」
フレイミーから釘を刺されていた護衛兵がまた怒鳴りだした。
面倒事が起きると、すぐに収拾がつかなそうなくらいでかくなるよなぁ。
ところが。
「アーズ! 今は控えなさい!」
とフレイミーからの一喝。
それで静かになってくれるからちょっと助かる気はするが、そもそもそんな面倒な奴らを連れて来るなよ。
つか、問題抱えてここに来るなよ。
「とにかく! このお店とこの魔物達は、私の保護下に置きます!」
この国って、人権とかないのかね?
……いろいろとツッコミどころが満載だな。
「フレイミーさんよ、あんたがそうしなきゃいけない理由は何なんだ?」
まずそれを明確にしてから対応を考えるか。
可愛げのある理由で、みんなはそれに同意するなら受け入れてもいいかも分からん。
拒否するなら、穏やかに説得してお帰り頂く。
しかし物騒な理由なら……喧嘩上等、かなぁ。
「魔物達の生活の確保と同時に国民との交流を図り、この国の社会の力の源となっていただき、この国の繁栄を目指します」
国民と交流?
それができなかった現実を知らないのか?
それに、誰かから生活の保護を受けるってことは、その誰かがいなくなった後の生活の保障はできないってことだよな?
待てよ?
国民から受け入れられなかった者達の生活を守る。
受け入れなかった国民と交流を持つ……。いや、フレイミーの立場を考えると、持たせるってことだ。
それって……まさか……。
似たような環境の施設、あったよな。
もし、俺のこの想像が当てはまったなら……こいつらもこの国の住民として認めるなら、人権問題どころの騒ぎじゃねぇぞ?
「……こいつらに希望を聞くまでもない。答えは否。今の生活の方が、よほど国民のために活動していると断言できる」
みんなから注目されているのが分かる。
その心境は、見る者次第で様々だ。
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なぜなら、それは……。
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